2010/12/26

獲物を梱包するマネキグモ(蜘蛛)




2010年6月下旬

若い杉の木立の横に張られた条網(ちょうど目線の高さ)で細長い体つきのクモが獲物をラッピングしていました。
馴染みのあるオナガグモにしては第一脚が太く、初めて見るクモです。


獲物は既に糸で簀巻きにされていて正体不明。
先に捕まえた獲物の小さな包みを触肢で抱えながら、第4脚で交互に糸を引き出しています。
太い第一脚で上下の糸に掴まっています。残る第2、3脚で獲物を保持し、回しながら梱包していきます。
ラッピングが済むと一個にまとめた包みを咥え、杉の葉下の隠れ家に運びました。
このとき頭に載せて運ぶのが本種の特徴らしいです。
条網に梳いた糸が見えます。
粘着糸が縮れたものかな?


撮影後にクモを一時捕獲して調べてみると、マネキグモ♀(Miagrammopes orientalis)亜成体と判明(体長8㎜)。
次回は名前の由来となった手招き動作を見てみたいものです。


【参考図書】
『観察の本7:クモたちの狩り(下)地中や水中のクモ』p6〜13「マネキグモの狩り」


ニホンカワトンボの情事




2010年6月下旬

渓流でニホンカワトンボMnais costalis)の交尾を初めて観察しました。
縄張りを守っていた♂を撮っていたら♀が通りかかりました。
すかさず飛び立った♂が把握器で♀の首根っこを捕まえ、岸の葉上にエスコート。
そのまま♀が腹部を曲げて交尾器を結合しました。(移精)
♀は翅を立てたまま。
一方、♂はときどき翅を広げます。
しばらくすると♂がハート型の連結を解いて少しだけ飛んで移動し、♀と向き合いました。
翅をときどき開閉しています(求愛ディスプレイ?)。
♀は静止したまま余韻に浸っている?...と油断していたらペアが別れて飛び去るシーンを撮り損ねてしまいました。
最後に一瞬だけ画面を横切ったのが♀かもしれません。
ニホンカワトンボ♂は♀の産卵まで付き添って交尾後ガード(尾つながりによる♀の警護)を行わないようで、少し驚きました。
なんとも淡白な関係です。
♂は渓流の枝に止まり、翅を開閉しつつ縄張り防衛の任務に戻りました。 

本種♂は非常に興味深い繁殖戦略を示すそうです。
今回の映像に登場する♂は翅が橙色型の一匹だけですが、このタイプは縄張り争いで強く、ご覧のように交尾相手を得ることができます。
集団中には翅が♀と同じく透明型の♂(喧嘩には弱い優男)も居て、彼らはスニーカー(間男)戦略で♀を得ると、それまでに交尾したライバル♂の精子を掻き出してから交尾に及ぶらしい(精子競争)。
彼らの熾烈なラブゲームの様子をいつか動画に撮ってみたいものです。


【追記】

  • ヒガシカワトンボ(ニホンカワトンボの旧名)の交尾で♂は把握器で♀の頭部をつかみ、♀は生殖門を♂の第2生殖器にあてている。この姿勢で交尾に先立って、ほかの♂の精子の掻き出しが行われる。
  • カワトンボの交尾は50〜150秒であるが、はじめから80%くらいの時間は精子の掻き出しに費やされる(注意深く観察すると♂がペニスを動かしているのが見える)。

『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』p70-71より


【追記2】
中公新書の浅間茂『カラー版 虫や鳥が見ている世界―紫外線写真が明かす生存戦略 』によると、

(ニホンカワトンボの)橙色の翅を持った♂は縄張りを持ち、他の♂が侵入するとすぐに追い払う。この♂は胴体の紫外線反射が強い。良い場所に縄張りを持っている♂ほど紫外線反射が強い。無色の翅を持つ♂は縄張り争いの留守を狙い、橙色の翅を持つ♂の縄張り内で産卵している♀を横取りして交尾する。この♂の紫外線反射は弱い。♀のふりをして交尾の機会を待つ♂といえる。♀の紫外線反射はほとんど見られない。縄張り行動は褐色の翅と♂の体の紫外線反射が関わっている。 (p41より引用
この本はとても面白く、私も紫外線で色々な生物の生態動画を撮ってみたくなりました。


マルボシヒラタヤドリバエの交尾後ガード




2010年6月下旬

側面しか撮れず残念。
一寸のハエにも五分の大和魂BBSにて問い合わせてみると、写真鑑定で寄生バエのマルボシヒラタヤドリバエGymnosoma rotundatum)と教えていただきました。
♀の背中に♂がずっとマウントしているだけで、交尾器は結合していません。
このまま飛んで逃げたので、おそらく♂が交尾後ガードしているものと思われます。
本種の♀はシラホシカメムシ類に産卵し、孵化した幼虫はこれを捕食寄生するそうです。







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