2010/12/24

イスカバチの巣穴を囲む樹脂の役割





2010年7月上旬

イスカバチの一種が営巣している板壁は千客万来です。
在巣の主が同種の別個体を追い払ったり、同じく借坑性のフタスジスズバチが巣穴を物色しに来たり、働きアリが餌を求めて徘徊していたり、寄生バチ(ヒメバチの一種)が飛来したりします。
巣穴bの入り口に塗られた樹脂は日に日に追加され、最後には板壁に巣穴を中心に放射状に並べられ、滴り落ちるほどの量になりました。



巣材として運び入れる際にうっかり巣穴の周囲を汚してしまうにしては丁寧な(戦略的な)塗り方です。
しばらく定点観察していると、この樹脂はどうやらアリなどの捕食性昆虫に対して忌避効果があるような印象を受けました。
板壁を徘徊するアリは樹脂に触角で触れるだけで慌てて逃げていきます。
すぐ上に樹脂の塗られていない別の虫孔(同サイズ)があるのですが、この穴c(空き巣)にはアリが平気で潜り込んで探索しています。(自然の対照実験)

≪追記≫
後日、巣穴cにもイスカバチが営巣を始めたようで、同様に樹脂が塗られました。



イスカバチの巣穴bと樹脂の縁取り




2010年6月下旬〜7月上旬

年季の入った板壁の地上130cmの所に開いた虫孔(直径2.5mm)にイスカバチの一種が出入りしています。
入り口はオレンジ色の樹脂で縁取られており、樹脂の量や配置は見に行く度に変わります。
板材が自然に樹脂を分泌するはずがありませんから、どうやら蜂が巣材として集めて来ているようです。
イスカバチの仲間はアブラムシを大量に狩って貯食するらしいのですが、観察の機会に恵まれませんでした。


↑一ヶ月後の様子。樹脂が滴り落ちています。


※ 前回の動画に撮った虫孔aでは蜂の姿を見なくなったので、同じ板壁で定点観察の対象を変えました。虫孔入り口のサイズは同じでした。


イスカバチの巣穴aと樹脂の縁取り



2010年6月下旬

杉林にある小屋の板壁に黒い蜂が止まり、小さな穴を物色していました。
直径2.5mmの穴はオレンジ色の物質で縁取られています。
指で触れてみると、粘性のある新鮮な樹脂と判明(杉のヤニ?)。
初めて見るハチで気になるので、定点観察してみます。
入り口に塗られた樹脂にはどんな役割があるのだろうか。
いつもお世話になっている「蜂類情報交換BBS」にて写真鑑定してもらったところ、青蜂@管理人さんよりアリマキバチ科イスカバチ属の一種であると教えて頂きました。
アブラムシを大量に狩る借坑性のハチで、育房の仕切りには樹脂を使うのだそうです。
画像から翅の亜縁室が2個、腹柄はないように見えます。その特徴からイスカバチ属の一種(Passaloecus sp.)だと思われます。イスカバチは、材の細い虫孔や屋根のカヤのずい孔などを利用して造巣し、各幼虫室の仕切り壁には一般に杉ヤニや松ヤニが使われるそうです。狩るのはアブラムシです。
Passaloecusで検索したところ、このようなウェブサイトを見つけました。リンク先のページ中程の画像群の一番左上をクリックしてみてください。ちなみにドイツ語のページです。検索でヒットした画像には、「Aphid Buster Passaloecus Nest」という画像もありました。イスカバチでアブラムシの駆除をしているようです。資料によると1室に20~50集めるとありますから、これだけ大量に営巣するとアブラムシ退治にかなり効果がありそうですね。

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