2026/01/08

交尾したまま飛ぶツマグロヒョウモン♀♂【FHD動画&ハイスピード動画】連結飛翔

 

2024年10月上旬・午後12:10頃・くもり 

稲刈りが済んだ田んぼの農道で、ツマグロヒョウモン♀♂(Argyreus hyperbius)が交尾していました。 
腹端の交尾器を連結した状態で反対向きに交尾しています。 
その場で翅をゆっくり羽ばたいています。 
交尾中の♀♂ペアは初見です。 



飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画に切り替えました。(@0:55〜) 
チョウは一旦交尾を始めると、危険が迫っても連結したままで飛び去ります。 
本種は翅の斑紋に性的二型があり、翅表の翅頂付近に目立つ白帯があるのが♀です。
今回のツマグロヒョウモンのペアでは、♀Lが先に反応して飛び立ち、♂Rを引きずるように飛び去りました。 
このような連結飛翔を「←♀+♂」と表記します。 
♀に連行される♂は空気抵抗を少しでも小さくするために、翅を閉じています。 
もしも逆向きにつながった♀♂ペアが各自バラバラに羽ばたいたら、連結部が千切れてしまうはずです。

急いで高画質のFHD動画モードに切り替え、飛び去る♀♂ペアを撮影しました。 
少し飛んだだけで農道に着地したのですが、私が動画を撮りながら近づいたら、再び連結したまま飛び去りました。 
あまりにも手ぶれが酷い動画になってしまったので、この部分だけ1/2倍速のスローモーションにしました。(@1:07〜) 
2回目の飛び立ちも、♀が主導権を握る「←♀+♂」タイプでした。

ツマグロヒョウモン♀♂は横の刈田に着陸すると、ようやく落ち着いて交尾を続けています。(@1:40〜) 
♀♂共に、その場で翅を軽く開閉していて、その場で方向転換しました。 

♂の翅を注意深く観察すると、後翅に左右対称の損傷がありました。 
これは天敵の鳥に襲われかけたビークマークです。 
命拾いした後で♀と無事に交尾できたラッキーな♂個体であることが分かります。 
一方、♀の翅は無傷できれいな状態でした。 

交尾中も翅の開閉を続けているのは、何か危険が迫ったらいつでも飛んで逃げられるように、準備運動しているのかもしれません。 


【考察】 
チョウの連結飛翔は、個人的にしつこく追求しているテーマの一つです。
チョウの種類によって「←♀+♂」「←♂+♀」飛び方のタイプが違うという説があるので、ハイスピード動画でコツコツ撮り溜めています。

保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』(1972)という古い図鑑には次のような記述があります。
交尾しながら飛ぶときに♂が飛ぶか、♀が飛ぶかは種によって一定していて、属や科についても通則がある。(中略)Donzel (1837)は「交尾中の飛翔形式は一つの属のすべての種類について一定しており、従って属の限界を決定する重要な特徴となり得る」と強調しており、後世これはDonzel説と言われている。 (p88〜89より引用)
現代でもこのDonzel説は科学的に正しいと考えられているのでしょうか?
チョウに関する本で、最近このトピックを扱わなくなったということは、否定されたのかな?
ChatGPTに質問してみると、かなり否定的な見解でした。
こんなマニアックな話題にもしっかり回答してくれる最近のAIは恐るべしですね。

要点だけ先にまとめます。

  • **Donzel説(交尾中の飛翔様式が属や科で一定し、分類形質になり得る)**は、
    現代では基本的に支持されていません

  • 現在の鱗翅目分類・系統学では、分類形質として扱われていないのが実情です。

  • 最近の本でこの話題がほとんど出てこないのは、研究史的価値はあるが、実証的裏付けに乏しいと判断されているためです。

以下、理由を整理します。


1. Donzel説が生まれた背景(19世紀)

Donzel(1837)の主張は、

  • 当時は

    • 形態形質が限られていた

    • 行動も「種に固有で安定したもの」と考えられがちだった

  • 交尾中に

    • ♂が牽引する

    • ♀が主に飛翔する
      という違いが目立ちやすく、繰り返し観察されるため、

→「これは属レベルで固定した形質ではないか」と解釈された

という、自然史的帰納に基づく説でした。


2. 現代的な評価:なぜ支持されないか

(1) 行動形質は可塑性が高い

その後の観察・実験研究により、

  • 交尾飛翔の主導個体は

    • 個体サイズ

    • 性比

    • 攪乱(捕食者・人為的刺激)

    • 飛翔時点(交尾初期か後期か)
      によって変化し得る

ことが分かってきました。

👉 「常に一定」という前提が崩れた


(2) 系統と一致しない(ホモプラシー)

近代以降の系統研究(形態+分子)では、

  • 交尾中飛翔様式は

    • 近縁種間でも異なることがある

    • 離れた系統で似た様式が独立に現れる

収斂(ホモプラシー)が強い行動形質と理解されています。

これは分類形質としては致命的です。


(3) 分類学の主軸が変わった

20世紀後半以降:

  • Genitalia(交尾器)

  • 翅脈

  • 幼虫形態

  • 分子系統(DNA)

が分類の中核となり、

👉 一時的・状況依存的な行動形質は切り捨てられた

という流れがあります。


3. なぜ最近の本で扱われないのか

あなたの感じている通りで、

  • 現代のチョウの生態・行動学の本では

    • 交尾中飛翔は「逸話的事実」

    • または「逃避行動の一形態」
      として触れられる程度

  • 分類学的意義には触れられないか、完全に省略される

理由は単純で、

分類に使えないことが分かってしまったため

です。


4. 現在の位置づけ(総括)

Donzel説は現在では:

  • ❌ 分類学的通則 → 否定的

  • ⭕ 行動進化・性行動の歴史的仮説 → 研究史的価値あり

  • ⭕ 種ごとの傾向を記述する補助情報 → 限定的に有用

という位置づけです。


結論

Donzel説は
「当時としては鋭い観察に基づく仮説だったが、
現代の科学的基準では支持されていない」

と評価するのが最も妥当です。

古い図鑑がこの説を紹介しているのは、
1970年代当時でもすでにやや古典的だが完全には否定されていなかった名残と考えてよいでしょう。


私もこれまで連結飛翔の事例を撮り溜めながら考察を続け、最近ではDonzel説に対して懐疑的になっていました。
素人ながらあと一歩のところまで来ていたことになります。

前年の個人的考察を再掲します。
その定説はどうも眉唾のような気がしてきました。 
交尾中の♀♂ペアはとても無防備なので、互いに逆を向いて見張りを分担し、360°油断なく見張っているはずです。 
物を投げつけたり敵が襲ってきたりした場合、それを先に見つけた個体が性別に関係なく逃避行動を開始するのが自然ではないでしょうか? 
主導権を握って羽ばたく個体が離陸直後に切り替わる♀♂ペアを私は今まで一度も見たことがありません。 
つまり、試行回数(観察サンプル数)を充分に増やせば、連結飛翔のタイプはチョウの種類に関係なく半々の確率に落ち着くのではないかと私は予想しています。
スローモーションで動画が手軽に撮れる時代が来る前に、昔の先人たちが少ないサンプル数の直接観察から早まった結論に達したのではないか?と私は密かに疑っています。
物を投げつけて交尾ペアを飛び立たせた場合は、どちらの方向からどこを目がけて物を投げたのか(♀♂どちらが先に危険に気づくか)も、記録しておく必要がありそうです。 
交尾中の♀♂ペアが自発的に飛んだ場合でも、上空を別のお邪魔虫や鳥がどの方向から飛来したのか、などの条件によって連結飛翔の結果が影響されそうです。 

生物観察や撮影のアイディアを得られるので、古い本を読むのも私は好きです。
昔の時代の方が観察結果を丁寧に記述してあったりしますから、古い解釈を鵜呑みにさえしなければ、温故知新でそれなりに価値があると思います。

2026/01/07

秋の夜に営巣地で長時間の格闘遊び中にマウンティングする2頭のニホンアナグマ(幼獣?)【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年10月中旬 

シーン1:10/12・午後17:45・気温17℃(@0:00〜)日の入り時刻は午後17:09。 

どこから来たのか、2頭のニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)の端に生えた株立ミズキの根元で対峙していました。 
そこはまさに、先月にナラタケモドキというキノコが群生していた場所です。 



アナグマの個体識別ができていませんが、この2頭はどういう関係なのでしょうか? 
最近では、母親♀が大きく育った当歳仔の幼獣の遊び相手になってやることもありました。 
母親♀なら左右の目(赤外線を反射するタペータム)の大きさが不均等(右目<左目)なのですが、この2頭は両目の大きさが同じです。 
したがって、元気があり余って遊びたい盛りの幼獣たち(当歳仔の兄弟姉妹)だと思います。 

1頭aが挑発するように跳ねながら相手の周囲を走り回っています。 
もう1頭bは、根元で分岐したミズキの股の部分に陣取っています。 
ときどきフガフガ♪と短い唸り声が聞こえます。 
aが強引に割り込んだところで1分間の録画終了。 


シーン2:10/12・午後17:48(@1:00〜) 
アナグマは2頭ともに株立ミズキから横の地面に降りていました。 
セットで軽い追いかけっこ遊びを繰り広げ、その流れで片方が再びミズキ根元の股に陣取りました。 
遂にミズキの下で取っ組み合いが勃発しました。(@1:55〜) 


シー3:10/12・午後17:49(@2:00〜) 
激しい格闘遊びの最中に相手の背後を取り、マウント体勢になりました。(@2:06〜) 
これは偶然なのか、それとも交尾の練習、擬交尾なのでしょうか? 
しかし本当の交尾とは違って、背後を取った♂がパートナー♀の首筋に噛み付いて保定することはありませんでした。 
この2頭の幼獣?の性別を知りたいところですが、外性器が見えず、私には見分けがつきません。 
とりあえずマウント時の位置関係から、♂役、♀役と呼び分けることにします。 

マウントされた♀役が相手を振りほどき、再び取っ組み合いに戻りました。 
セットを逃げ回って巣口Rに潜り込みかけた(頭隠して尻隠さず)♀役の背後から♂役の個体が再びマウントしました。(@2:26〜) 
巣口Rの窪みに嵌った状態で、2頭が組んず解れつしています。 


シーン4:10/12・午後17:50(@3:00〜)
いつの間にか2頭が離れたようで、巣口Rに残った個体aと、株立ミズキの股に移動した個体bが対峙しています。 
♂役bが♀役aに駆け寄り、再びマウントしました。(@3:08〜) 


シーン5:10/12・午後17:52(@4:00〜)
株立ミズキの根元に2頭のアナグマが移動していました。 
対峙しつつ身震いすると、再び格闘遊びが再開。 

小休止の後に、左へ駆け出して追いかけっこ遊びになりました。 
巣口Lを経由して、またもや株立ミズキの根元に戻りました。 


シーン6:10/12・午後17:53・気温16℃(@5:00〜)
別アングルで設置した監視カメラにも撮れていました。 
巣口Lの周囲でも追いかけっこ遊びと格闘遊びを繰り広げています。 
手前の死角へ走り去った後も、アナグマが暴れ回る物音や鳴き声だけが断続的に聞こえます。 


シーン7:10/12・午後17:54(@5:09〜)
また別の監視映像に切り替えます。 
2頭のアナグマは株立ミズキの根元でぴったり並んでいました。 
組んず解れつのレスリングごっこが続いています。 

♂役が♀役の背後を取り、マウント体勢になりました。(@5:28〜) 
今回は♂役が逃げようとする♀役の首筋を噛んでいることに注目です。(@5:49〜) 
これは本当の交尾行動で♂がやる保定行動です。 


シーン8:10/12・午後17:55(@6:09〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
主に画角の外で格闘しているようで、鳴き声(唸り声)がときどき聞こえます。 


シーン9:10/12・午後17:55(@6:29〜) 
株立ミズキの根元で取っ組み合いが続いています。 
少し離れると、追いかけっこに移行しました。 
すぐにまた格闘遊びになりました。 


シーン10:10/12・午後17:56(@7:29〜) 
格闘遊びの流れで、また♂役が♀役に背後からマウントを取りました。(@7:38〜) 

1頭がミズキ根元から走って巣口Lに逃げ込みました。 
残された個体もしばらく待ってから、相手を追いかけて入巣L。 
巣口Lの窪みで格闘遊びが続いているようですが、トレイルカメラの赤外線が充分に届かず、暗くてよく見えません。 
巣口Lの内外で対峙しながら短く吠える声が聞こえました。 


シーン11:10/12・午後17:58(@8:18〜) 
いつの間にか2頭とも巣穴Lから外に出て、互いに少し離れていました。 
別々の巣口LRに別れて小休止。 

左の個体が、巣口Lの近くで地面を前脚で掘り返し、匂いを嗅いでいます。
格闘遊びで体力を消耗jし、空腹になって餌を探しているようです。 
すると右の個体が周囲を跳ね回って挑発しました。 
挑発に乗って格闘遊びが再開し、巣穴Lに籠城した個体と巣口Lで対峙。 


シーン12:10/12・午後17:58(@9:18〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
巣口Lに顔を突っ込んで点検していた個体が振り返ると、アクセストレンチの一箇所を前脚で掘り、鼻面を突っ込んで頻りに匂いを嗅いでいます。(探餌行動) 
もう1頭はまだ遊び足りないようで、巣口Rの方から戻って来ると、餌を探している個体を挑発しました。 

挑発に乗って格闘遊びが再開し、巣穴Lに籠城した個体と巣口Lで対峙しました。 
籠城した個体に対して口を大きく開けて、「噛み付くぞ!」とばかりに相手を牽制しています。 
もちろん怪我をさせるほど本気で相手に噛み付く訳ではありません。


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】 
ニホンアナグマの幼獣が格闘遊びを延々と繰り広げるのはもう見慣れた光景です。
しかしときどき背後から相手にマウントするのが気になりました。
これは偶然なのか、それとも交尾の練習や擬交尾なのでしょうか? 
後半になると、本当の交尾のように、背後を取った♂役が♀役の首筋に噛み付いて保定することもありました。 
この2頭の幼獣?の性別を知りたいところですが、外性器が見えず、私には見分けがつきません。 
♂役の後ろ姿で股間をじっくり見ても、陰嚢の有無がよく分からないのです。 

ニホンアナグマの交尾期は早春です。 
実は今回と同様の交尾練習?が翌2025年7月中旬にも同所で撮影できました。(映像公開予定) 
♀♂つがいの絆を深めるスキンシップとして擬交尾するのでしょうか? 
一夫一妻のタヌキならその解釈も分かるのですが、乱婚のアナグマに当てはまるとは思えません。 

素人目にはアナグマ幼獣同士の無邪気な遊びであって、本気の喧嘩(闘争)ではなさそうです。
あるいは遊びを通じて力比べをして、兄弟姉妹間で順位を決めているのかもしれません。
越冬地(冬眠用の巣穴)を巡る争奪戦も兼ねているとしたら面白いのですが、どうでしょうか。 



つづく→

鉄筋コンクリートのビルを解体するハイリーチ解体機

 

2024年7月下旬 

鉄筋コンクリートの8階建ての中層ビルが古くなって建て替える前に、巨大重機でちまちまと取り壊していました。
住宅密集地なので、ダイナマイトでビルを一気に爆破する豪快な解体作業はできないようです。

ビルの解体作業をしている、長いアームのショベルカーのような特殊車両の正式名称は、「ハイリーチ解体機」なのだそうです。 
長いアームの先端に巨大で頑丈なハサミのような形のアタッチメントが取り付けられていて、それで挟みつけてビルを少しずつ取り壊していました。 
このアタッチメントの名称は油圧シア(剪断機、油圧シザー、鉄骨カッター)らしい。 
剪断機は挟み付けるだけでなく、手首の部分が自由に回転できます。
この巨大重機(ハイリーチ解体機)のメーカーは不明ですが、長いアームに記してあった会社名をネットで検索すると、東京を本社とする国内屈指の解体企業でした。 

解体作業で生じる粉塵を抑えるために、アタッチメントに向かって常に放水していました。 
取り壊すビルの屋上の角からも連続放水しています。 

左の壁面が足場付きのシートで覆われているのは、粉塵の飛散を防いだり、騒音を低減するためらしい。 
養生シートは壁と同じく地味な灰色で、景観に配慮しているようです。 

未解体の右屋上の角に風向きを知らせる紅白の吹き流しが取り付けられていました。 
ビルの解体工事をする上で、風向きが重要になります。 
粉塵の飛び方も風によって変わってきますし、強風下でハイリーチ解体機を動かすのは危険です。

取り壊している上層階(6階部分)の鉄筋コンクリートの一角(太い梁の末端部)が壊れて落下しました。 
すでに取り壊された部分は、室内の鉄筋が剥き出しになっています。 
かなり古い建物なので、アスベストが断熱材として使われていそうで心配です。 
アスベスト(石綿)は断熱性能に優れていますが、飛散する粉塵を吸い込むと肺などの呼吸器に深刻な障害が出ることが分かり、大問題になりました(アスベスト問題)。 
現在では、ビルを解体する前に必ずアスベスト(石綿)の有無を事前調査で確認することが法律で定められているそうです。 
もしもアスベストが見つかったら、専門業者が適切に除去してから、ビルを取り壊すらしい。 

昔は巨大な鉄球を振り回して建物にぶつけて解体していました。 
浅間山荘事件の記録映像で見たことがあるはずです。 
現在は限定的にしか鉄球は使われず、ハイリーチ解体機だけで完結できる現場が多いのだそうです。 

この現場でハイリーチ解体機は1台だけでしたが、その近くで別のやや小型の重機(HITACHI)2台が作業していました。 
瓦礫をさらに細かく解体・分別して、建材をリサイクルするのだそうです。 

ハイリーチ解体機が伸ばしたブーム(腕、アーム)はかなり長く、まるで恐竜ブロントサウルスのような図体です。 
手前の車道を通る車や自転車と大きさの比較が出来ます。 

ビル上部の解体作業が一段落したようで、ハイリーチ解体機はアームの先端部をゆっくり降ろしました。 
昼休みに入ったのか、少し前進してから停車しました。 


※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

ビル解体作業の一部始終を微速度撮影(タイムラプス)で記録したら面白そうですけど、この日はあいにく三脚を持参してなかったので、手持ちカメラで録画しました。 

解体業界について無知だったので、ChatGPTに色々と問い合わせながら記事を書きました。 

2026/01/06

山中の水場で水を飲む1歳の若いホンシュウジカ♂@山形県【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年10月下旬・午前1:15頃・気温14℃ 

山中にある少し開けた湿地帯で、水溜りSを自動センサーカメラで見張っていると、深夜にホンシュウジカ♂(Cervus nippon centralis)が単独で左から登場しました。 
角に分岐が全くなくてシンプル(直線状)かつ細いので、1歳の若い♂と判明しました。 
真横から見ても、♂の外性器(陰茎や陰嚢)は全く見えませんでした。 
外性器が見えなくても、鹿は角の有無で性別が判断できるので簡単です。 

1歳の若い雄鹿は水溜まりSの水面にちょっと口を付けただけで、右へ立ち去りました。 
ほとんど飲まずに泥水の匂いを嗅いだだけかもしれません。 


※ 画面の右手前が白飛びしているのは、雨よけのために設置したプラスチック板の庇がトレイルカメラの赤外線を乱反射しているためのようです。 
トレイルカメラのレンズ付近に造網性クモの糸が張り巡らされていました。 


【考察】 
先日はもっと角の分岐が発達した個体も登場したので、様々な年齢からなるホンシュウジカ♂が何頭も♀を探しつつ鹿の空白地帯である当地に分布を広げようと個々に活動していることが分かりました。 
ホンシュウジカの北上をひしひしと実感します。 
冬の積雪期にも鹿が見られるかどうか、要注目です。 

ちなみに、ホンシュウジカ♀の群れは、この時点では未見でした。 
翌2025年の秋には遂に♀の群れを撮影できました。(映像公開予定) 


つづく→

モンシロチョウの婚活会場となった花咲くゴーヤ畑で♀に求愛した♂が振られる(交尾拒否)

 

2024年10月上旬・午後12:40頃・晴れ 

山間部の農村の畑に支柱を立てて蔓植物を栽培しています。 
そこに黄色い花が咲いていて、モンシロチョウ♀♂(Pieris rapae)が多数集まっていました。 
夏型のモンシロチョウが忙しなく訪花を繰り返し、翅を閉じて吸蜜しています。 

一方、♂は蜜源植物のゴーヤ畑で交尾相手の♀を探して飛び回っています。(探雌飛翔) 
訪花中のモンシロチョウ♀を見つけた♂は、その近くで激しく飛び回り、求愛します。 
♂から熱烈なプロポーズを受けた♀は、閉じていた翅を全開にして腹端を高々と持ち上げました。 
これはシロチョウ科の♀に特有の交尾拒否の行動です。 
♂が諦めて飛び去ると♀は上げた腹端をゆっくり下ろしますが、しつこい♂が戻ってきて(あるいは別個体の♂が飛来して)求愛飛翔を再開すると、♀は再び高々と腹端を持ち上げます。 
ただの儀式的な意思表示ではなく、♀がこの体勢になると♂は強引に交尾することが物理的に不可能なのです。 
モンシロチョウ♂が交尾するには、♀の協力(受け入れ姿勢)が不可欠らしいのですが、私はまだ♂の求愛が成就して交尾に至るシーンを実際に観察したことがありません。 

いつもの私なら、ゴーヤの花蜜を吸うシーンと交尾拒否のシーンとを別々に紹介するのですけど、今回は訪花シーンを納得のいく映像に撮れなかったので、一緒にまとめました。 
日向で撮影するとどうしてもモンシロチョウの翅が白飛びしてしまい、性別が分かりにくくなってしまいます。

関連記事(4ヶ月前、2、4、8年前の撮影)▶  


ゴーヤについて。
私には見慣れない作物だったのですが、独特の葉の形状からおそらくゴーヤ(別名ツルレイシ、ニガウリ)だろうと判明しました。 
Perplexity AIに解説してもらうと、
ゴーヤ(Momordica charantia)の葉は、掌状に深く裂けた独特の形状を持ち、植物学的に記述すると「掌状複葉(palmately compound)または掌状深裂葉(palmately deeply lobed)」で、通常5–7裂片からなり、各裂片の縁に粗い鋸歯(serrate)が並ぶのが標準です。 品種により葉の大きさや裂け込みの深さが異なり、小葉型から鋭く伸びたものまで多様ですが、共通して深いローブと鋸歯縁が識別点です。巻きひげと対生する傾向があります。
ゴーヤの果実は収穫した後なのか、10月上旬にはほとんど残っていませんでした。
食材となるゴーヤの果実は、夏(6月〜9月)が旬の時期らしい。 
写真に写っていた唯一の果実は表面が滑らかでした。 
てっきり未熟果なのかと思いきや、ゴーヤの果実は未熟なときから既に表面がブツブツ(ゴツゴツ)しているらしく、イボなしゴーヤの品種(苦味が少ない)もあるそうです。


【アフィリエイト】

2026/01/05

ニホンアナグマはイチョウの落果(銀杏)を食べるか?【トレイルカメラ】給餌実験

 



2024年10月中旬 

イチョウの種子は被食型の動物散布で分布を広げることが知られています。
私が調べたタヌキの溜め糞場でも秋になるとイチョウの種子が未消化のまま含まれていました。 
イチョウの熟した果肉(正確には外種皮)からは酪酸由来の糞便のような独特の酷い悪臭がしますが、種子散布者となる野生動物の興味を引くためだと考えられています。 
野生動物がイチョウの落果を丸呑みにして食べるシーンを撮るのが次の目標です。 
しかし、人通りの多いイチョウ並木の下にトレイルカメラを設置するのは無理そうです。
そこで、ちょっとした給餌実験をして、イチョウの種子散布を調べてみることにします。 


シーン1:10/10・午後13:17・晴れ・気温24℃(@0:00〜) 
シーン1:10/10・午後13:55・晴れ・気温26℃(@0:04〜) 
平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を自動撮影カメラで見張っています。 
イチョウ並木の下に熟して落ちていた果実、銀杏ぎんなんを道中で6個だけ拾い集めてきました。 
(ちなみに、まだ黄葉していませんでした。)
アナグマの巣口L、Rの中間地点にひとまとめにした銀杏を置いてみました。 
ここはホンドタヌキも頻繁に通う獣道にもなっています。 
給餌した銀杏をタヌキやアナグマが食べてくれるかな? 
この二次林にイチョウの木は全く生えていません。



シーン2:10/12・午後16:38・晴れ・気温19℃(@0:12〜) 
2日後、営巣地に侵入したタヌキを追い払うために巣穴Lから出てきたアナグマ(前の記事を参照)が、セットをうろついています。 
ようやく私が給餌した臭い銀杏を嗅ぎ当てました。 
興味津々のアナグマが鼻先を付けて銀杏の匂いを嗅ごうとすると、地面で銀杏(イチョウの熟果)が転がってしまいます。 
しかし、結局アナグマは銀杏を食べませんでした。 



シーン3:10/12・午後16:38(@1:12〜) 
別アングルで設置した監視カメラは、薄暮のためモノクロで録画していました。
残念ながら、ギンナンを給餌した地点が、手前のミズキ枯木の陰になって見えません。 
アナグマが銀杏(イチョウ落果)の匂いを長々と嗅ぎながら鼻先で転がしたものの、食べず仕舞いでした。 


シーン4:10/12・午後16:56(@1:51〜)
約20分後に、アナグマが再び銀杏の匂いを嗅ぎに来ました。 
地面に転がっていたイチョウの落果を見つけると、前脚で押さえながら食べようとしましたが、やはり食べませんでした。 

しばらくすると、別個体のアナグマが巣穴Lの入口から外に出てきました。 
個体識別ができていませんが、この2頭は親子(母子)なのかな? 
給餌場に後から合流した個体も、ギンナンの匂いを嗅いだだけで、やっぱり食べませんでした。 


シーン5:10/21・午後16:56・晴れ・19℃(@2:52〜)
シーン5:10/21・午後13:18・晴れ・18℃(@3:03〜) 
給餌期間を終えた現場の様子です。 
給餌した銀杏(イチョウ落果)が少し散らばっていたものの、食べられないまま残っていました。 
イチョウの果肉には天然の防腐剤が含まれているのか、カビが生えたり腐ったりもしていませんでした。 
異臭を嫌ってアナグマが銀杏を土で埋めることもありませんでした。 
我々ヒトのように単純な糞便臭と誤認する訳ではないようで、銀杏の上に自らの排泄物(糞尿)でマーキングすることはありませんでした。


【考察】 
当地のアナグマは銀杏(イチョウ熟果)の強烈な匂いが気になるようですが、2頭とも食べませんでした。 
私の知る限り、この辺りでイチョウの木は次々に伐採されて雄株しか残っていません。
もしかすると当地のアナグマは銀杏(イチョウの果実)を見るのも匂いを嗅ぐのも初めてなのかもしれません。 

やはりイチョウの種子散布者の本命は、アナグマではなくタヌキなのでしょう。 


日暮れに止まり木から飛び降りて地上の虫を狩るフクロウ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年10月中旬・午後17:05頃・気温19℃・日の入り時刻は午後17:07 

平地の二次林にあるニホンアナグマの営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っていると、フクロウStrix uralensis)が日没直前に登場しました。 
この地点でトレイルカメラにフクロウが写ったのは初めてですが、以前に鳴き声を聞いたりカラスに追い回されている姿を見たりしていました。 



アナグマの巣口Rの横に生えた落葉灌木マルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)に留まったフクロウが、真下にある野ネズミの巣穴をじっと見下ろしていました。 
待ち伏せ猟を始めるようです。 

しばらくすると、フクロウは止まり木から地面に音もなく飛び降りました。 
両足の鉤爪で何か小さな獲物を捕らえたようですが、どうやら野ネズミではなく昆虫のようです。 
その場で食べると、左に少し移動して、落枝の上に留まり直しました。 

3分後にも監視カメラが再び起動したのですが、何も写っていませんでした。(映像は割愛) 
フクロウがセットから飛び立つ動きに反応して起動したようです。 

狩りの様子を1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:02〜)


【考察】 
暗くなるのを待ち切れず、薄暮の時間帯にもフクロウは狩りをするのですね。
小さな虫を狩るフクロウは初めて見ました。

関連記事(2年前の撮影)▶ 

一時期はアナグマの営巣地で野ネズミが夜な夜なウロチョロ活動していたのに、最近ではほとんど見かけなくなりました。 
フクロウなどの捕食者によって次々に狩られてしまったのでしょう。
逆に、ネズミが大発生する場所というのは、捕食者が不在のいびつな生態系(生物多様性が低い)と言えます。


【アフィリエイト】 
・神垣健司『森の賢者 フクロウ

2026/01/04

山中で水溜りの岸を歩くニホンイタチ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年10月中旬・午後19:40頃・気温13℃ 

山中の湿地帯にある水溜りSに、ある晩ニホンイタチMustela itatsi)が久々に(4ヶ月ぶり)やって来ました。 
今回は水溜りSを泳いで近道したりしないで、水際の岸をぐるっと歩いて手前に立ち去りました。 

尻尾が胴体の半分よりも長ければ、チョウセンイタチなのだそうです。 


つづく→

チャイロスズメバチ♀が峠道に咲くゴマナの花で探餌飛翔

 

2024年10月上旬・午後13:45頃・くもり 

つづら折れで登る峠道の道端でチャイロスズメバチVespa dybowskii)のワーカー♀が低く飛び回っていました。 
キイチゴ類やアカソの群落が生い茂る法面の草むらをホバリング(停空飛翔)のようにゆっくり低く飛んで、獲物を探しているようです。 
耳を澄ますと、ハエのような羽音がかすかに聞こえます。 

白い花を咲かせているキク科植物はゴマナでしょうか?(同定用の写真を撮らなかったので、当てずっぽうです。) 
チャイロスズメバチ♀がゴマナ?の花蜜を吸うために着陸するかと期待したのですが、そのまま飛び去りました。 
獲物となる訪花昆虫がゴマナ?に来ていなかったからです。 

チャイロスズメバチ♀の探餌飛翔を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 (@0:24〜)
いつか狩りの決定的瞬間を撮れるまで、探餌飛翔をひたすら撮り続るしかありません。 


※ 蜂の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2026/01/03

カモシカの溜め糞場に初登場のニホンアナグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年10月中旬・午後17:35頃・日の入り時刻は午後17:04 

里山の混交林にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2を自動撮影カメラで見張っていると、日没後にニホンアナグマMeles anakuma)が単独で現れました。 
この地点でアナグマは初見です。 
子別れした幼獣が新天地を求めて探索しているのかな? 

林床で溜め糞場sr2の匂いを嗅ぎ回っていました。 
私がミズナラ幹に新たに設置した給餌箱をアナグマは頻りに見上げています。 
(暗闇で給餌箱が見えているのではなく、気になる匂いを嗅いでいるのでしょう。) 
ちなみに、その黒い箱にはヒマワリの種子が詰まっていて、ニホンリスやヒメネズミが食べに来ることを期待しています。 
アナグマは手前にのそのそと歩き去りました。 

【考察】
ちなみに、別の場所にあるカモシカ溜め糞場sr1でアナグマがトレイルカメラに写ったことは一度もありませんでした。
まだ観察地点が少なすぎるのですが、もしかしてアナグマがカモシカの溜め糞場を避けて暮らしているとしたら、面白い話です。
一方逆に、アナグマの営巣地(空き巣)に何度も訪れて長居するカモシカがいました。

関連記事(4ヶ月前の撮影)▶ 


つづく→

キツリフネ種子の爆発的自動散布【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年10月上旬・午後13:10頃・くもり時々晴れ 

山麓の道端でキツリフネの黄色い花が咲き乱れる大群落を見つけました。 
一部の蒴果が熟して膨らんでいたので、前からやってみたかった種子散布の実演をしてみました。 
いつも持ち歩いているピンセットを取り出して熟果を挟むと、音を立てて勢いよく弾け、種子が飛び散りました。 
種子の放出直後、果皮が細長く裂けてクルクルっとコイル状に丸まり、ピンセットの先端に巻き付きました。 

※ キツリフネの種子が弾け飛ぶ音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


キツリフネの熟果は刺激すると一瞬で破裂して肉眼ではよく見えないので、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:26〜) 
スーパースローにすると、飛び散る種子がきれいに写っていました。 
しかし種子の色が茶色ではなく黄緑色だったので、まだ完全には熟していなかったのかもしれません。 
種子が完全に熟していれば、ピンセットで蒴果を強く摘まなくても、触れただけで破裂したはずです。 
さらに、熟した蒴果がよく乾燥すれば、触らなくても自然に破裂するのかもしれません。 

自動散布の実演がとても楽しかったので、面白がって何度も繰り返しました。 
この動画は(@2:45)で終わらせても良かったのですが、肝心の蒴果にピントが合わなかったNGシーンも最後に追加しておきます。 
私の貧乏性というか、編集で削除するのが惜しくなってしまいました。 
奥ピンでキツリフネ群落の様子も分かりますし、飛び散る種子に一瞬だけピントが合いました。 

身近な草木の実とタネ ハンドブック』を紐解くと、ツリフネソウとキツリフネの種子について解説してありました。
(キツリフネは)ツリフネソウと同じしくみでタネを飛ばす。タネの表面には(ツリフネソウよりも:しぐま註)細かい凹凸がある。(p66より引用)

(ツリフネソウは)タネが熟してもなお果皮の外層が伸び続けるため、内側に巻き込む力が加わり、実は瞬間的に破裂してタネが弾ける。
タネを飛ばすしくみはホウセンカと同じだが、タネの数は2〜3個と少なく、果皮も強く丸まる。(p66より引用)

この本でツリフネソウやキツリフネは「重力に逆らってタネを飛ばす」と書いてあったのですが、それだと種子が上向きに飛ぶことになってしまいます。
しかし、必ずしもそうではありません。
水平方向に大きな初速度を種子に与えることで、地面に落下するまでの滞空時間を稼ぎ、遠くまで射出しているのです。

さて、種子を自動散布する植物が弾性エネルギーを蒴果の中に溜め込むためのエネルギーは、どこから得ているのでしょうか?
Perplexity AIに質問した回答がこちらです。

種子を自動散布する際の「弾性エネルギー」は、結局のところ光合成によって得た化学エネルギーに由来する。植物が作った有機物を材料として細胞壁や組織構造を形成し、その乾燥や膨圧変化によって力学的なひずみ(弾性エネルギー)が蓄えられる。

エネルギーの出どころ

  • 植物は光合成で得たエネルギーを使ってセルロースやリグニンなどの細胞壁成分を合成し、果皮や種皮の厚さ・配向・層構造を作り込む。これらの構造が、後に収縮・反転して種子を弾き飛ばす「バネ」として働く。

  • 自動散布型の蒴果では、果皮細胞が乾燥して収縮したり、生きた細胞の膨圧が変化したりすることで内部にひずみエネルギーが蓄積し、ある閾値を超えた瞬間に急激な裂開と反転が起こるとされる。wikipedia

仕組みのイメージ

  • 乾燥収縮型(スミレ類など)の場合、果皮の内外で繊維の配向が異なるため、乾燥に伴って不均一な縮みが生じ、それがねじれ・反り返りを生み出す。これはあらかじめ光合成産物を使って作られた「構造設計」による受動的な力学現象と考えられる。wikipedia

  • 膨圧依存型(カタバミ類など)では、生きた細胞内の浸透圧調節にエネルギーが使われ、その結果として高膨圧状態が維持されることで弾性的な張力が生じ、刺激をきっかけに膜が反転して種子を飛ばすと説明されている。kinomemocho+1

要するに、弾性エネルギー自体は物理的には「水分状態や組織構造が生む受動的なひずみ」だが、そのひずみを生み出す材料と微細構造を用意するためのエネルギー源は、すべて光合成起源の化学エネルギーだと整理できる。


余談ですが、動画の冒頭でキツリフネの葉に形成された虫こぶ(虫えい、ゴール)が画面上部に写っています。(@0:00〜0:12) 
撮影中は気づきませんでした。
ネット検索で調べてみると、このタイプの虫こぶはキツリフネハオレタマゴフシと呼ばれ、キツリフネコブアブラムシ (Eumyzus gallicola)が寄生しているらしい。 




【アフィリエイト】 

2026/01/02

夜に山中の湿地帯を迂回するハクビシン【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年10月上旬・午後21:40頃・気温13℃ 

里山にある湿地帯の水場を自動センサーカメラで見張っていると、ある晩ハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が現れました。 
水溜りSの対岸で下草が繁茂する緩斜面を登り、奥の林道に姿を消しました。 
顔は下草の茂みに隠れて見えませんでしたが、尻尾が長くて黒いのでハクビシンですね。 

この地点でハクビシンは初見ですけど、少し離れた地点の林道に設置したトレイルカメラに以前写っていたので、それほど意外ではありません。 


今回ハクビシンは水溜りSに立ち寄って水を飲むことはなく、湿地帯を迂回するように移動していました。 
もしかすると、初めて来たエリアを探索中で土地勘がない(水溜りの存在を知らない)のかもしれません。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


【アフィリエイト】 

カメバヒキオコシの花蜜を吸うクロホウジャク(蛾)のホバリング【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年10月上旬・午後13:50頃・くもり 

峠道の道端に咲いたカメバヒキオコシの群落でクロホウジャクMacroglossum saga)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 

停空飛翔(ホバリング)しながら薄紫の花から花へと忙しなく訪れて吸蜜しています。 
残像により翅の斑紋が見えるぐらい猛烈な勢いで羽ばたき続けていますが、羽音は聞き取れませんでした。 

クロホウジャクの吸蜜ホバリングを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:13〜) 
停飛しながら、長い口吻の先をカメバヒキオコシの小さな花筒に器用に差し込んでいます。 


関連記事(4、13年前の撮影)▶ 

2025/12/31

巣穴に近づいたホンドタヌキを睨みつけて巣穴から出てきて追い払うニホンアナグマ【トレイルカメラ】

 



2024年10月中旬・午後16:35頃・晴れ・気温18℃ 

ある日の夕方、平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)に、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が単独で現れました。 
獣道を右から元気に走ってきたタヌキが途中で立ち止まり、獣道の匂いを嗅ぎながら慎重にアナグマの巣口Lに近づきます。 
このときは珍しく空き巣(留守)ではありませんでした。 
巣穴の主であるアナグマが巣穴Lから顔を出し、2種が至近距離で対面しました。 
互いに吠えたり鳴いたりしないで黙って睨み合いをしてから、タヌキがすごすごと獣道を右へ引き返しました。
その後ろ姿をアナグマが見送ります。 
逃げるタヌキをアナグマが更に追いかけることはありませんでした。 


【考察】 
登場したアナグマとタヌキはおそらく普段から互いに顔見知りの「ご近所さん」なのでしょう。
敵対的・暴力的な本気の縄張り争いではなく、なんとも平和でのんびりしたニアミス行動(異種間の個体交渉)でした。 
アナグマは威嚇の唸り声一つ立てずに、巣口で睨んだだけで、タヌキはセットから退散しました。 
無駄な喧嘩は避けているのでしょう。
「同じ穴のむじな」と言われる2種間の微妙な友好関係?を伺わせる、結構重要なシーンが撮れました。
 

動画の冒頭で、タヌキがセットに到着する前から、アナグマの巣口Lから多数の小さな虫(おそらく穴居性カマドウマの幼虫)がピョンピョンと飛び出してきていることに注目しました。 
夜行性のカマドウマが巣穴から外へ自発的に出てくるにはまだ時刻が早い気がします。
そもそも今回トレイルカメラを起動させたのが誰なのか推理すると、次のような展開だったのではないかと想像しました。 
  1. タヌキとアナグマが夕方の林内で採食行動中に出会った。 
  2. 臆病なアナグマが警戒して逃げ出し、タヌキが追いかけた。 
  3. アナグマが慌てて自分の巣穴Lに飛び込んで避難、籠城。
  4. その動きにトレイルカメラのセンサーが反応し、録画開始。画面の手前(下)からアナグマが素早く入巣Lしたのなら、その瞬間をトレイルカメラが撮り損ねたのも頷けます。 
  5. 巣穴Lに居候していたカマドウマ幼虫の群れが、アナグマの入巣に驚いて、入れ替わるようにワラワラと巣口Lから外に出てきた。 
  6. 遊び半分で(調子に乗って)タヌキがアナグマの営巣地まで追いかけてきたものの、いざ巣口Lで主のアナグマと対面すると、心理的に形勢逆転。 
  7. すごすごと退散するタヌキの後ろ姿を、アナグマが見送った。 
これがもし逆の立場だったら、つまりタヌキの営巣地にアナグマが侵入したときに2頭がニアミスしていたら、タヌキの方が強気でアナグマを追い払ったと思われます。(ホーム&アウェイの心理)


トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その4)マダラカマドウマやツノアオカメムシなども捕捉


前回の記事:▶ トレイルカメラのザトウムシ対策で粘着トラップを試してみる(その3)ザトウムシの歩脚を捕獲 


2024年10月上旬 

平地の二次林でニホンアナグマの営巣地(セット)を監視する2台のトレイルカメラに夜な夜な写り込んで撮影の邪魔をするザトウムシが近づけないように、自家製の粘着トラップを試しに設置しています。 

ミズキ灌木の幹で監視カメラWの上下に巻いた粘着テープ(ガムテープ)に、今回は過去最多の虫が付着していました。 
この期間は雨が少なくて、テープの粘着性が落ちなかったのかもしれません。


新顔の虫としてまず気になったのは、マダラカマドウマDiestrammena japanica)です。 
地面から登って来たカマドウマが、粘着テープに捕らえられて動けなくなった脚を自切して、なんとか逃げのびたようです。 
自切した脚だけでなく、長い触角も粘着テープにへばり付いていました。 
本種は樹液酒場でも見られるため、ミズキの樹液を吸汁しに木登りしていたのかもしれません。 

関連記事(10年前の撮影)▶ 夜にミズナラの樹液を吸うマダラカマドウマ♀ 

以前このミズキ灌木の幹に尖ったドライバーをうっかり刺してしまったとき、傷口から透明なサラサラした液体が溢れるように流れ落ち、さすが水木の名前通りだと感心しました。

アナグマが掘った2つの巣穴L、Rには穴居性のカマドウマが群れで居候していることが後に明らかになります。(映像公開予定)
もしかすると、そこで育ったカマドウマの一部が巣穴の横に生えているミズキの木に登って来たのかもしれません。


本命のザトウムシ(種名不詳)は、自切した歩脚を粘着トラップに残して逃げた個体もいれば、全身がへばりついて逃げられなかった個体もいました。
ザトウムシは上のテープにも下のテープにも付着しており、(常識的な予想に反して)樹冠から降りてきた個体も多いことを示唆しています。
あるいは別の解釈として、地面から幹を登ってきたザトウムシが下側の粘着トラップを歩脚の自切でなんとか突破できたものの、次に待ち構えていた上側の粘着トラップからは逃れられなかったのかもしれません。
どちらの解釈が正しいか確かめるには、ライブカメラで粘着トラップをひたすら監視するか、飼育下で実験するしかなさそうです。

そもそも、どうしてザトウムシがトレイルカメラに集まって居座るのか、謎のままです。
通常光の照明なら夜に虫が走光性で引き寄せられますから、その獲物を狙って肉食性のクモも集まって来るのは納得できます。
しかしトレイルカメラは夜に可視光ではなく赤外線を照射するだけです。
動画撮影の度に発熱するカメラの、ほのかな暖かさが好きなのかな?
 
前回(シリーズその1)と同じく、 ヒメマダラエダシャクAbraxas niphonibia)らしき蛾の幼虫も1匹だけ下側の粘着テープに捕らえられ死んでいました。
イラガMonema flavescens)の古い繭もミズキ灌木の幹に付着したまま残っていましたが、今回の本題とは関係ありません。 


別の監視カメラNを固定した落葉性灌木(樹種不明)の幹に巻いた粘着テープを調べてみると、少数の虫しか付着していませんでした。 
上側のテープにはオオナミザトウムシNelima genufusca)?が1匹だけ丸ごとへばり付いていました。
やはり樹冠から幹を伝って下に降りてきたのでしょうか。
この灌木には木質の蔓(種名不詳)が巻き付いていて、徘徊性の虫が粘着トラップを回避できる迂回ルートになっている可能性があります。
 
下側の粘着テープにはツノアオカメムシが1匹、付着していました。 
背中に寄生バエの白い卵が産み付けられています。
このツノアオカメムシについては、指で触れてみて死んでいることを確認しました。
下側の粘着テープの反対側に回り込むと、種名不詳のカメムシが1匹、付着したまま死んでいました。 
死骸の体は捕食者(おそらく鳥またはアリ?)に食べられていて損傷が激しく、私にはカメムシの種類を同定できませんでした。
こうして写真を並べて見ると、なかなか悪趣味な昆虫採集ですね。
それでも地道に記録を残すことで、少しでも罪滅ぼしになるかもしれません。 
トレイルカメラでは原理的に恒温動物(温血動物)の活動しか記録されません。
粘着トラップによって、トレイルカメラでは見落としてしまう、この森の昆虫相が少しだけ垣間見えてきます。

トレイルカメラの保守作業を終えると、粘着トラップを上下とも交換して(ガムテープを裏返し粘着面を上にして幹に巻き直し)帰りました。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 

秋にヒバの梢で鳴き真似♪をするモズ♂(野鳥)

 

2024年10月上旬・午後14:50頃・くもり 

川沿いの民家の生け垣として植栽されたアスナロの梢にモズ♂(Lanius bucephalus)が留まっていました。 
私のことなど眼中になく、横を流れる用水路やその奥の田園地帯の方を見下ろしていました。 
辺りをキョロキョロと見回しながら、喉をひくひく動かしています。 
小声でチュピチュピ鳴き続けているのに、近くを流れる川の水音がうるさくて動画ではよく聞こえません。 
(撮影時に私の耳では確かに鳴き声が聞こえていたのです。)
秋のモズに特有の鳴き方(縄張りを宣言する高鳴き)ではなく、別種の鳥の鳴き真似(音声擬態)をしているようです。 
鳴き真似のモデルはツバメかな? (カワラヒワ? ヒヨドリ? セキレイ類?) 

鳥は普通、嘴を開閉しながら鳴きます。 
その動きが鳴き声と同期していれば(リップシンクロ)、被写体の鳴き声であることが確定できます。 
ところが、今回のモズ♂個体は嘴を閉じたまま鳴き続けていました。 
喉をひくひく動かしていたので、この個体が鳴管(我々ヒトでは声帯という相似器官)を使って鳴いているようです。 

やがてモズ♂は止まり木で左に向き直りました。 
秋風で細い枝先が揺れても、尾羽でバランスを取りながらしっかり留まっています。 
風が強くなって止まり木の揺れが激しくなると、モズ♂はとうとう耐えきれずに飛び去りました。 

モズの鳴き真似はとても面白いテーマです。 
今回は4分以上も鳴き続けてくれたのに、川の音でほとんどかき消されてしまい、残念でした。 

※ 少しでもモズ♂の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
この記事ではモズの鳴き真似として紹介しました。
しかし全ては私の勘違い(願望から来る思い込み)かもしれません。
モズが鳴き真似をしていたのではなくて、別種の鳥が近くで鳴いている声が聞こえただけという可能性もありえます。 
モズに目一杯ズームインして撮影に集中していた私は、周囲にどんな鳥がいたのか、しっかり見ていません。
過去の観察記録を読み返すと、モズが嘴を閉じた状態で鳴き真似をしている事例がありました。

関連記事(3、8、10、11、12年前の撮影)▶  

ChatGPTにブレインストーミングの相手役になってもらいました。

これはとても重要で、しかも自然観察として非常にまっとうな疑問です。
結論を急がずに言うと、

「嘴が開いていない=その個体が鳴いていない」とは断定できない
一方で、ご指摘のように誤認の可能性も論理的には残る

という、ちょうど中間に位置する状況です。

以下、観察記録としてどう整理すべきかを、
音声生理・行動観察・記録の書き方の3点から説明します。


1. 嘴を開かずに鳴くことはあり得るのか

結論:あり得ます(特にモズでは)

鳥の発声は:

  • 嘴ではなく 鳴管(syrinx) で起こる

  • 嘴は「共鳴・放射」を調整する器官

そのため、

  • 小音量

  • 高周波

  • 近距離

の場合、
嘴を大きく開けず、ほぼ閉じたまま鳴くことがあります。

特にモズ類では:

  • さえずりほど大音量でない

  • 連続的にチュピ音を出す
    とき、嘴の開閉がほとんど見えない事例は珍しくありません。


2. 喉の動き(頸部の微動)は重要な手がかり

ご記述の

喉をひくひく動かしていた

これはかなり強い状況証拠です。

  • 発声時に起こる筋活動に一致

  • 呼吸とは異なるリズム

  • 鳴き声のタイミングと同期している

のであれば、
「その個体が音を出している」可能性は高いです。

完全な証明ではありませんが、
単なる勘違いと切り捨てるほど弱い情報ではありません。


3. それでも残る「別個体が鳴いていた」可能性

科学的に正直であるために、ここも整理します。

起こり得る状況

  • 近くの茂みや川岸で
    別種(小型鳥)が高音で鳴いていた

  • モズはそれを「聞いているだけ」

  • 観察者の注意がモズに固定されていた

この場合:

  • モズの喉の動きが
    呼吸や警戒行動と誤認される可能性

  • 鳴き声の方向感が川音でマスクされる

理論上は否定できません。


4. では、どう記録すべきか(ここが一番大事)

この事例は、
「断定」よりも 適切な不確実性の書き方 が重要です。

推奨される記録表現(例)

  • 「映像中のモズ個体は嘴をほとんど開かず、喉部を周期的に動かしていた」

  • 「同時に、高音の短い鳴き声(他種模倣と考えられる)が連続して聞かれた」

  • 「鳴き声と嘴の開閉の明確な同期は確認できなかった」

  • 「当該音声がこの個体自身によるものか、近傍の別個体によるものかは断定できない」

これは弱い表現ではなく、むしろ質の高い記録です。


5. 音声処理との関係で言えば

仮に音声処理で:

  • 高音域に、短く反復する音型が現れ

  • それが映像中の喉の動きのタイミングと一致する

ならば、
「この個体が発声している」仮説はかなり強化されます。

逆に:

  • 音が常に一定方向・一定距離に感じられる

  • モズの動きと無関係

なら、
別個体説を残すべきです。


6. 今回の件の位置づけ(率直な評価)

  • 観察者の注意深さ:高い

  • 状況証拠(喉の動き):有意

  • 決定的証拠(嘴同期・音源定位):不足


「モズが鳴き真似をしていた可能性が高いが、断定はできない」

これは失敗ではありません
自然観察では、こういうグレーな記録が大量に積み重なって、後から意味を持つことがよくあります。


もし次に同様の場面に出会ったら:

  • 可能なら 少し位置を変えて撮る(音源方向が分かる)

  • 被写体が去った後も 環境音だけを録る

  • 嘴・喉がはっきり映る角度を意識する

これだけで、今回の疑問の多くは解消できます。

今回の疑問は、とても健全です。
「断定したい」よりも「誤認を避けたい」という姿勢は、
観察記録として理想的だと思います。


今回モズがずっと鳴き続けていたので、「鳴いていない区間」が充分にありませんでした。
モズが飛び去った後も同じアングルで動画をしばらく撮り続けるべきでしたね。 
ノイズとなる川の音だけを録音してあれば、音声編集ソフト(Audacityなど)で差分を取ってノイズ成分を取り除き、鳥の鳴き声を明瞭に加工することができたはずです。 
撮影時の私は、そこまで頭が回りませんでした。 

自前の音声ファイルをアップロードすればAIで解析してバックグランドのノイズ成分を除去してくれる(ノイズ・キャンセル)と謳ったウェブサービスを今回いくつか試してみたのですが、ほとんど効果はありませんでした。 

ChatGPTに相談すると、今回のような事例でノイズ除去するのは、かなり困難な(悪条件の重なった)ミッションなのだそうです。

状況の説明から判断すると、これはかなり難易度の高いケースです。
結論を先に言うと、

一般的なオンラインAIノイズリダクションで「はっきり聞こえるレベル」まで小鳥の声を復元できる可能性は低い
ただし、「注意深く処理すれば 存在が分かる程度 まで改善できる余地はある」

という位置づけになります。


なぜ難しいのか(重要)

1. 川の音は「最悪クラスのノイズ」

川のザーザー音は:

  • 広帯域(低音〜高音まで満遍なく含む)

  • 常時鳴っている(定常ノイズ)

  • 時間変動があり、完全に一定ではない

という特徴があります。

これはAIにとって
「消すと同時に、小鳥の声も一緒に消してしまいやすい」
最も厄介なタイプの背景音です。


2. 人間の耳で聞こえた ≠ 録音に十分入っている

ここが非常に重要です。

  • 人の耳:
    方向性があり、注意を向けた音を強調して知覚できる

  • カメラのマイク:
    ほぼ無指向性で、川音を等しく拾う

そのため、

撮影者には確かに聞こえたが、
録音データ上では 信号対雑音比(S/N比)が極端に悪い

という状態になっている可能性が高いです。

AIは「埋もれた音を想像で復元」することはできません。
波形として残っている成分しか強調できません。(以下省略)






このケースが「まだ救える」理由

1. 鳴き声が「短発・高音・反復的」

モズの鳴き真似は:

  • チュピ/キッ/チリリ系の短音

  • 高めの周波数帯(おおよそ 3–7 kHz が主)

  • 同じパターンを何度も繰り返す

という特徴があります。

これは

  • 川音(広帯域・低〜中音優勢)

  • 風や人声

音響的に分離しやすい ため、
AIよりも スペクトルベース処理 が効きやすいタイプです。





今回のケースの正直な限界

できないこと:

  • 川音だけを正確に学習させる

  • 「元の耳の印象」を再現する

  • 鳴き真似の細部を完全に分離する

できること:

  • 鳴き声の存在を明確化

  • 鳴き方のパターン比較

  • 「確かに模倣がある」と示せる資料化


今後に向けた教訓(これはとても大事)

今回の経験から得られる、次回以降に効くポイントです。

  • 被写体が去った後も
    同じアングル・同じ設定で30秒〜1分回し続ける

  • それだけで
    後処理の成功率が桁違いに上がる

これは録音技術というより、
**自然観察の「記録のコツ」**に近い話です。


今回の素材は、「完全再現」は無理でも
捨てるべきデータではありません



最後に、技術的に切実な疑問があります。

私のデジカメは録音時に「風音キャンセラー」および「ズームマイク」という機能があります。

特にズームマイクは、「ズーム操作に連動して、望遠では遠くの音、広角では周囲の音をよりクリアに記録します。」とメーカーの説明書では謳われています。

今回は最大限ズームインしてモズを撮ったのに、それでも背景の川音ノイズに負けてしまったのはなぜでしょう?

そもそも私はズームマイクの原理を理解していません。

とても核心を突いた質問です。
結論を先に明確に言います。

「ズームマイク」をONにして最大望遠で撮っていても、
内蔵マイクが“物理的に指向性マイクになる”わけではありません。

ただし、無指向性そのままとも言い切れません。

以下、誤解が生じやすい点を整理します。


1. 内蔵マイクの「物理的性質」

結論

**ほとんどのデジカメの内蔵マイクは、基本的に無指向性(または広指向性)**です。

理由:

  • 小型

  • 防水・防塵・耐風を優先

  • 機械的な干渉管(ショットガン構造)を持てない

したがって、

  • 望遠であっても

  • 被写体を画面中央に捉えていても

「遠くのモズの声だけを物理的に狙って拾う」能力はありません。

川音が強く入るのは、マイクとしては正常な挙動です。


2. では「ズームマイク」とは何をしているのか

ここが一番重要です。

ズームマイク ≠ 指向性マイク

メーカーの謳い文句は誤解を招きやすいですが、
ズームマイクの正体はほぼ例外なく:

複数マイク+信号処理(DSP)による疑似的な指向性制御

です。

典型的には:

  • 左右(+前後)の複数マイクを使う

  • ズーム位置に応じて

    • 中央方向の成分を強調

    • 周囲成分を減衰

  • 音量バランスやEQを動的に変更

つまり、

  • 音を“拾い分けている”のではなく

  • 拾った後で“混ぜ方を変えている”

という処理です。


3. なぜ川音には効かなかったのか

今回の条件では、ズームマイクの弱点がすべて重なっています。

川音の性質

  • 広帯域

  • 定常

  • 音源が面として広がっている

  • カメラからの距離差が小さい

これは、

  • 位相差が取りにくい

  • 「中央方向の音」としても成立してしまう

ため、
DSP的にも「切り分け不能」 になります。

ズームマイクは本来、

  • 人の声

  • 点音源

  • 比較的近距離

で最も効果を発揮します。


4. 「無指向性なのか?」への正確な答え

質問に対して、正確に言うなら:

  • 物理的には:ほぼ無指向性

  • 機能的には:条件付きで弱い疑似指向性

です。

今回のように:

  • 遠距離

  • 強い環境音(流水)

  • 小さく高音の信号(鳥の声)

という条件では、

実質的には「無指向性マイクとして振る舞った」

と評価して差し支えありません。


5. では、ズームマイクは無意味だったのか?

いいえ、完全に無意味ではありません。

考えられる効果:

  • モズ方向の音量が わずかに 上がっている

  • 周囲の低音が わずかに 抑えられている

  • 風音キャンセラーと併用されて
    低域がさらに削られている可能性

ただしそれは:

  • 耳で「確実に分かる」ほどではなく

  • 後処理で初めて差が出るレベル

です。


6. 今回のケースから言える重要なこと

あなたの判断:

最大限ズームインしてモズを撮った

これは その場でできる最善の選択 です。
それでも川音が勝ったのは、

  • 機材の限界

  • 物理法則の問題

であって、撮影判断のミスではありません。


7. まとめ(要点)

  • ズームマイクがあっても
    内蔵マイクは本質的に無指向性

  • ズームマイクは
    後処理による疑似指向性

  • 川音のような環境音には
    ほとんど効かない

  • 今回の録音結果は
    理論的に「そうなるべくしてなった」

もし今後、同様の記録を狙うなら、

  • 外部マイク(ショットガン or パラボラ)

  • あるいは「音は記録補助」と割り切る

という判断になります。

今回の疑問は、
機材仕様を正しく理解した上での、非常に妥当な疑問です。
「ズームしたのに音が寄らない」という違和感は、勘違いではありません。

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