2021年9月中旬・午後15:05頃・晴れ
日当たり良好の山道を私が汗水たらして登っていると、ミドリヒョウモン♀♂(Argynnis paphia)の交尾ペアが驚いて私に向かって飛んで来ました。
邪魔されずに落ち着いて交尾できる場所を求めて飛び去りました。
約1/6倍速(15%)のスローモーションでリプレイすると、今回は♀が主導権を握る連結飛翔(←♀+♂)でした。
古い資料(1972)ですが、保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』には「交尾中における飛翔習性」と題した章があります(p88〜89)。
(ミドリヒョウモンの)交尾飛翔は←♂+♀、←♀+♂の両型。(p214より引用)この表記に従うと、今回の事例では♀が飛翔し、♂は交尾したまま♀に連行され飛翔しなかったので、←♀+♂となります。
関連記事(1、7年前の撮影)▶
・交尾中に連結飛翔するミドリヒョウモン♀♂
・交尾中のミドリヒョウモン♀♂:←♂+♀タイプの連結飛翔
これでミドリヒョウモン両タイプの交尾飛翔(←♂+♀、←♀+♂)2タイプの実例を動画で記録することが出来ました。
交尾中に危険に気づいた方が先に飛び立ち、そのまま主導権を握り、パートナーを連れて飛び去るのでしょう。
チョウの種類によっては交尾飛翔の主導権を握る性が決まっているのだそうです。(逆の例は見られない)
Donzel (1837) は「交尾中の飛翔形式は一つの属のすべての種類について一定しており、従って属の限界を決定する重要な特徴となり得る」と強調しており、後世これはDonzel説と言われている。
日本では、1948年、白水隆が詳しい総説を発表したことがあるが、その後観察例が多く追加されたが、まだ交尾飛翔例がまったく観察されていない属も少なくない。(同書p89より引用)
近年出版されたチョウ関連の書籍でこのトピックが扱われている本を知らないのですが、この説は廃れてしまったのですかね?
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