2014年5月下旬
里山の林床で食事中のニホンカナヘビ(Takydromus tachydromoides)を見つけました。
尾が短い個体で、過去に天敵に襲われ緊急避難のため尾を自切したようです。
カナヘビは首を激しく振って獲物を頭から丸呑みしようとしています。
餌食となった昆虫は腹部に黒と黄色の縞模様があり、ハチの仲間に見えました。
ミューラー擬態の警告色があってもカナヘビには通用しないようで、構わず捕食しています。
カナヘビは色盲なのかな? (※追記参照)
(未だハチから痛い目に会ったことのない若いカナヘビなのかもしれません。)
捕食メニューを同定するため獲物を奪い取ろうか躊躇したのですが、捕食シーンを最後まで見届けたくて、そのまま撮影を続行。
こういうジレンマのことを「虻蜂取らず」とは良く言ったものです。
カナヘビはスギの枯葉の上で見事な保護色になっています。
@0:45 獲物を飲み込めずに嘔吐し、舌舐めずり。ハチが最期の反撃として毒針で口の中を刺したのかと思いました。ところが獲物は死んでいるようで、もう動きません。
@1:50 アリが獲物を奪って巣へ運ぼうとします。
@2:20 泥棒アリに気づいたカナヘビが獲物を盗られないよう咥え直しました。反転して再び地面に獲物を置きました。
@3:05 右手からやって来たオオゾウムシ?に反応したカナヘビが再び獲物を咥えて左手に逃げました。林床を少し走り、また地面に獲物を置きました。
@3:52 私が撮りながら横に移動してアングルを確保すると、カナヘビは警戒して再び獲物を咥えました。獲物を横に咥え、飲み込もうと咀嚼しています。カナヘビは爬虫類なので、歯が生えているはずです。
@5:08 得物を地面に置きました。
@5:30 また獲物を咥え、噛んで飲み込もうとしています。私が撮りながら再び横に移動するとカナヘビは警戒して獲物を咥えたままフリーズ。映像をよく見ると、カナヘビのすぐ左にセミの幼虫が地面から露出しています。カナヘビはこれも食べるかと思いきや、気づいていない様子。
@7:30 長撮りで疲れてきたので、背負っていたザックを下ろしました。
@8:20 カナヘビが食事再開。ひたすら獲物を噛み砕いています。
@9:50 カナヘビは移動開始。ようやく獲物をほとんど呑み込みました。顔を枯れ枝に擦り付けた際に獲物の欠片が付着。
@10:20 遂に完食したカナヘビが舌舐めずり。鼻面に食べ残しを付けています。
@11:57 画面の上から徘徊性の黒いクモ(
@12:12 カナヘビの目の前を通り過ぎた瞬間、クモに飛びかかりました。後ろ姿なので、狩りの成否は不明です。おそらく失敗した気がします。
@12:51 引きの絵で撮影終了。
以上、完全ノーカットでお届けしました。
いつか是非カナヘビの飼育にも挑戦してみたいものです。
ところで、背後の林で鳴いているセミは調べてみるとエゾハルゼミでした。
今季の初鳴きです。
【追記】
ミノウスバ幼虫の警告色をカナヘビで研究した常喜豊『ミノウスバの体色の意味』によると、
・(ミノウスバ)幼虫の体色は、クリーム色の地に7本の黒い縦縞という、非常によく目立つものだ。幼虫は強く押さえると、妙な匂いのする透明な液の玉を体表に分泌する。(『虫たちがいて、ぼくがいた:昆虫と甲殻類の行動』第2-4章p90より引用)
・カナヘビはミノウスバ幼虫を発見すると、近寄って舌で幼虫に触れ、その後かみつく。ところが、すぐさま幼虫を放し、人間から見ればさもまずい物を口にした、という調子で口を何度も地面にこすり付ける。(忌避反応。 p91)
・カナヘビはミノウスバの体色を、ゆっくりとではあるが警告色として学習していたのである。(p93)ミノウスバ分泌液の忌避効果は強烈な苦味のキニーネに匹敵するらしいのですが、ヒキガエルは平気で捕食し、一気に飲み込んでしまうそうです。
左下にセミの幼虫が地面から露出 |
0 件のコメント:
コメントを投稿