2025/09/29

夜の水溜りで顔を洗うフクロウと周囲を飛び回るコウモリ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年7月中旬〜下旬 

シーン0:7/16・午前11:45・晴れ・気温32℃(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
山林の中に少し開けた湿地帯があり、湧き水が滲み出して浅い水溜りになっています。 
水場に来る生き物を無人センサーカメラ(新機種)で見張っています。 

夜な夜な通ってくるフクロウStrix uralensis)の登場シーンを以下にまとめました。 


シーン1:7/16・午後20:00・気温20℃(@0:03〜) 
久しぶり(15日ぶり)にフクロウが水場に来てくれて、ほっと一安心。 
辺りを見回して安全を確認してから、歩いて水溜りSに入水。 

やがて水面に漬けた顔を左右に素早く振って、洗顔を始めました。
我々ヒトのように手を使って顔を擦り洗いすることができないので、フクロウはこの洗顔法を編み出したようです。 

洗顔中にフクロウが足踏みする理由が私には分かりません。 
これから本格的に水浴をするのなら、わざわざ泥で水を濁らせなくてもいいのに、と素人目には思ってしまいます。 
浅い水溜りの底を足で掘って少しでも深くしたいのでしょうか。 
水底に潜む獲物を探しているのかな? 
もしかすると、この水溜りは浅く見えても底なし沼のようになっていて、足踏みし続けないとどんどん沈んでしまうのかもしれません。

結局、最後まで見届けられずに2分間の録画時間が終わりました。


シーン2:7/21・午後22:11・気温27℃(@1:40〜) 
5日後の晩遅くにもフクロウが写っていました。 
最近イノシシがヌタ打ちしたり泥濘を掘り返したりしたせいで、水溜まりSの地形が少し変わってしまいました。(映像公開予定) 

フクロウが後ろ向きで入水すると、水溜まりの中で足踏みしながら方向転換しました。 
このときコウモリの一種が上空を飛来しました。 
しかし何度も旋回するだけで、フクロウが来ている間は水溜りの水面に着水しませんでした。 
コウモリは超音波によるエコロケーションで、水場の状況をしっかり把握しているようです。 
飛びながら虫を捕食しているのでしょう。

フクロウは周囲を飛び回るコウモリを気にせずに、洗顔開始。 
泥水に脚を浸しながら、辺りをキョロキョロ見回しています。
今回も飛び去るまで見届けられませんでした。 


シーン3:7/22・午後23:15・気温22℃(@3:12〜) 
翌日も深夜にフクロウが来ていました。 
此岸から泥濘を歩いて入水すると、キョロキョロと辺りを見回しています。 
やがて力強く羽ばたくと、左上に飛び去りました。 
なぜか今回は洗顔も水浴もしませんでした。 
熱帯夜というほど気温は暑くないのですが、体を水で冷やしに来ただけのようです。 
それとも何か異変があって逃げたのかな?


シーン4:7/22・午後23:19(@3:55〜) 
3分後にフクロウが戻ってきました。 
(個体識別できていないので、別個体の可能性もありえます。) 

水溜りに入ると、すぐに顔を洗い始めました。 
辺りをキョロキョロ見回して警戒を怠りません。 


※ 水音や羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
結局この時期のフクロウは、水溜りで本格的な水浴をしてくれませんでした。 

神垣健司『森の賢者 フクロウ』という本を読んでいたら、「第4章 水場のフクロウ」に私が観察したことと同じ行動が書いてありました。
水場が浅いせいか、フクロウは水場でからだを前屈みにして、まるで顔を洗うように水を浴びる。水場をぐるぐる歩きながら、顔を水につけて洗っていることもあった。雨に日にも(原文ママ)水場で水浴びをするが、雛が巣立って森を離れるとフクロウは水場に姿を見せなくなる。(p42より引用
筆者のフィールドは広島県で、YouTubeチャンネルも開設しておられます。

つづく→

2025/09/28

土砂降りの日に水溜りの中から落枝を拾い上げて遊ぶニホンカモシカの幼獣【トレイルカメラ】

 


2024年7月中旬・午後15:35頃・雨天・気温20℃ 

山林内の湿地帯にある泥水溜りを2台の無人センサーカメラで見張っています。 
土砂降りの雨が降る昼間に、ニホンカモシカCapricornis crispus)の幼獣が単独で現れました。 
毛皮が雨で濡れそぼっています。 

 水溜まりSに来ると、カモシカ幼獣はジャブジャブと渡り始めました。 
水面に顔を近づけたものの、水を飲むでもなく、ただ匂いを嗅ぎ回って何かを探索しているようです。 

 水溜り内の泥濘に突き刺さっていた短い落枝が気になったようで、カモシカ幼獣は口で咥えて拾い上げました。 
ところが、ちょっと甘噛みしただけで、すぐに落枝を捨ててしまいました。
もう1本別な棒切れを水溜まりの中から口で引き抜くと、ちょっと弄んでから捨てました。 
棒切れ(短い落枝)を何か餌と誤認したとは考えにくいので、好奇心旺盛な幼獣による遊びの行動と思われます。 

首をねじって、雨で濡れた毛皮を口で毛繕いしてから、立ち去りました。 

母親♀は幼獣と別行動なのか、最後まで姿が見えませんでした。 
子別れするにはまだ時期が早いと思うのですが、母親からはぐれてしまったのかな? 

梅雨の大雨によって2つの水溜まりS、Nから水が溢れてつながり、一つの巨大な水溜まりになりつつあります。 
20分後には雨が止んで晴れました。(映像は割愛。) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
このカモシカ幼獣の行動は、動物の遊びと解釈できるでしょうか?
今回はChatGPTとのブレインストーミングがとても役に立ちました。
「まるで小枝で遊んでいるように見えた」というだけでは、観察者の主観や擬人的な解釈に過ぎません。
カモシカ幼獣が本当に楽しんでいるかどうか、感情を読み取れないのが問題です。
「あまりにも厳格に擬人化を排除すると、動物行動学で《遊びの行動》を扱えなくなるのではないか?」と素人ながら心配してしまいます。
その通りです。動物行動学では「遊び(play)」というカテゴリーは確かに存在し、研究でも広く使われています。ただし、学術的には「遊び=楽しんでいるかどうか」ではなく、特定の観察可能な行動パターンとして定義されます。

例えば、Burghardt の動物遊びの定義では:

遊びは 通常の機能(狩り、攻撃、防衛など)とは異なる行動パターン を含む

自主的に繰り返される

本来の目的に直接結びつかないが、学習や身体能力の発達に役立つ可能性がある

このように定義すれば、観察者が「楽しんでいるかどうか」を推測せずとも、遊びの行動として客観的に記録できるのです。


あなたの観察記録はまさに Burghardt の定義に沿った遊び行動(play behavior) の典型例として記述できますね。ポイントを整理すると:

  1. 主体:カモシカの幼獣(juvenile serow)

  2. 状況:雨の大雨の日、単独で水場に訪問

  3. 対象物:泥に刺さった短い落枝(sticks)

  4. 行動の内容

    • 口で咥えて引き抜く

    • 軽く甘噛みする

    • 捨てる

    • 別の枝でも同様の行動を繰り返す

  5. 解釈

    • 食べ物としてではなく、好奇心や遊びの動機による行動

    • 自発的で繰り返しがある

    • 本来の機能(摂食)とは直接関係がない



今回の行動は exploratory behavior(探索行動) と解釈することも十分可能です。

理由は以下の通りです:

  1. 観察される行動の内容

    • 枝を咥えて引き抜き、軽く噛んで捨てる

    • 繰り返して別の枝も同様に扱う

    → これ自体は「対象物の性質を確認している」「環境を探っている」行為としても説明可能。

  2. Burghardt の遊びの定義との重なり

    • 自発的である

    • 本来の機能(摂食など)とは直接関係がない

    → 「探索行動」と「遊び行動」は観察上の特徴が重なることがあります。つまり、両方の解釈が可能です。

  3. 科学文献での使い分け

    • Exploratory behavior は、「好奇心や情報収集のための行動」を中立的に示す表現

    • Play behavior は、「機能的目的とは異なるが学習や身体能力の発達に関連する行動」を強調

    • 観察だけでは「楽しんでいるか」は分からないため、より中立的に記録する場合は exploratory behavior を使うことが多い


結論として、今回のカモシカ幼獣の枝操作行動は play behavior と解釈しても良いし、より中立的に exploratory behavior として記録しても良い という二重の解釈が可能です。


動物による道具使用には厳密な定義があります。
それと同様に、動物がある物体を玩具(おもちゃ)として使った(もて遊んだ)と言うのにも、厳密な条件や定義があるのでしょうか?

はい、動物が「物体を玩具として使った」「弄んだ」と解釈する場合にも、科学的には厳密な条件や定義があります。道具使用(tool use)の定義と同様に、遊びや玩具行動も単なる主観的印象ではなく、観察可能な行動パターンに基づいて区別されます。


1. 動物遊び(play)の定義

Burghardt, G. M. (2005). The Genesis of Animal Play: Testing the Limits. MIT Press. によると、動物の遊び行動には主に次の条件があります:

  1. 自発的であること(Voluntary)

    • 強制されず、主体的に行われる行動である。

  2. 通常の機能とは異なること(Non-functional in the immediate sense)

    • 摂食、防御、攻撃など生存の直接目的には結びつかない。

  3. 繰り返されること(Repeated)

    • 同様の行動が何度も観察される。

  4. 動作パターンが変形・過剰・速すぎるなど、非日常的であること(Pattern modified)

    • 通常行動のバリエーションや誇張形態がある。

さらに 物体遊び(object play) の場合は:

  • 動物が物体に興味を示し、操作・噛む・転がす・投げる・持ち上げるなどの行動を行う

  • 行動は通常の摂食や攻撃などの機能に直接関与していない

  • 行動が反復されることが多い


2. 「玩具として使った/弄んだ」の科学的条件

  • 目的が摂食や攻撃ではない

    • 食べ物と誤認した場合は遊びとは言えない

  • 対象物は外部環境に存在する物体

    • 枝、石、葉、人工物など

  • 主体的・反復的な操作

    • 一度咥えて捨てるだけでなく、繰り返し操作することが多い

  • 観察上、快感・楽しさの直接証拠は不要

    • 「楽しんでいるか」は推測ではなく、行動パターンで判断


結論として、「動物が物体を玩具として使った」ことは、行動パターンに基づき科学的に定義できるが、感情や楽しさの有無は推測に留まります。
つまり、カモシカ幼獣が棒を口で咥えて弄んだ行動も、観察記録と行動パターンに基づけば「object play」として科学的に記述可能です。


今回私がなぜ探索行動(探餌行動)ではなく遊びという解釈をしたかというと、ニホンカモシカの成獣で泥濘の中から掘り出したもの(根茎など)を食べる様子を観察したことがないからです。


山中の水溜りで♂の警護なしで単独打水産卵する謎のトンボ♀【トレイルカメラ】

 

2024年7月中旬 

シーン1:7/16・午前11:45・晴れ・気温32℃(@0:00〜) 
山林にある湿地帯で湧き水や雨水が溜まった水溜りを無人センサーカメラで見張っています。 


シーン2:7/20・午後13:15頃・晴れ・気温27℃(@0:04〜) 
画面の右上奥、水溜まりNから溢れた水が流れ出る地点(湿地帯の泥濘)で、トンボ♀(種名不詳)が単独で飛びながら打水産卵を繰り返していました。 
トンボ♀は場所を変えて更に産卵してから、最後は右上に飛び去りました。 
その間、♀の近くで産卵警護する♂の姿は写っていませんでした。 

謎のトンボ♀の単独打水産卵を1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@0:34〜) 
遠くてトンボの種類を見分けられず、大型のヤンマ類なのかそれより小型のトンボ類なのかも不明です。 
オニヤンマ♀の単独打泥産卵(挿泥飛翔産卵)は体をもっと垂直に立てた姿勢でホバリングしながら上下動して産卵するので、今回の産卵動画の動きとは違います。

関連記事(2、15年前の撮影)▶ 

井上清、谷幸三『トンボのすべて(第2改訂版)』によると、
オニヤンマの♀は浅くて細い流れの上にやってくると、空中で少しホバリングしたあと、突っ立った姿勢のままストンと落下し、腹の先より突き出ている生殖弁を砂泥底に突き立てて産卵し、すぐ飛び上がり、また落下して産卵する。この動作をリズミカルにストンストンと繰り返します。(p69より引用)

同時期に別の池で見かけたオオシオカラトンボ♀の産卵行動と似ていますが、他にも候補がいるので決めつけることはできません。 



しばらくすると、手前の水溜まりSに右奥から1匹のトンボが飛来しました。 
水溜りSの上空を一回りしただけで、右奥の水溜まりNに戻りました。 

1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:26〜) 
更に1/3倍速のスローモーションでもう1回リプレイしてみましょう。 
残念ながらトンボの種類や性別を外見で見分けることはできませんでしたが、その行動から推理すると、おそらくトンボ♂が縄張りを張って占有飛翔しているのでしょう。 
交尾相手の♀を探し回り(探雌飛翔)、ライバルの♂が来たら縄張りから追い払うと思われます。 
動画の前後半で登場したトンボは同種とは限らず、別種かもしれません。


そもそも今回、監視カメラが何に反応して起動したのか不明です。
トンボは昆虫で変温動物のはずなのに、トレイルカメラの熱源センサーが反応したということは、飛翔筋の激しい運動により、気温よりも高く発熱しているのかもしれません。 
トレイルカメラに飛んでいるトンボが写っていたことがこれまでに何度もあるので、サーモグラフィカメラでトンボの体温を知りたいものです。

関連記事(2年前の撮影)▶ 

あるいは、たまたま飛来した鳥が高速で横切った結果、偶然トンボの産卵シーンが撮れたという可能性もあります。 


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