2025/04/24

早春の休耕地で採食するカラスの群れ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年4月上旬 

シーン1:4/5・午前10:25・晴れ・気温19℃(@0:00〜) 
休耕地に営巣したホンドタヌキの巣穴を自動センサーカメラで見張っていると、3羽のハシボソガラスCorvus corone)が写りました。 
巣穴の近くをトコトコ歩きながら、枯草に覆われた地面をあちこち啄んでいました。 
早春になって活動を始めた虫を捕食しているのでしょうか。 
カラスが手前に来てくれて種類を同定できたのは、このときだけでした。 
タヌキの巣穴にはなるべく近寄らないようにしているのかもしれません。 


シーン2:4/2(@1:00〜) 
休耕地の奥の区画だけ黄土色に見えるのは、田んぼで稲刈り脱穀した際に出た大量の籾殻を堆肥として一面に撒いているからです。 
カラスの群れは、手前の枯野よりもその籾殻エリアの方に好んで集まり、採食しています。 
おそらく、籾殻の中に混じっている少量の米粒を丹念に拾い食いしているのでしょう。 
左奥にだけ、白い残雪が少し見えます。 

映像を1.5倍に拡大しても、遠くてカラスの種類を同定できません。 
カーカーと澄んだ鳴き声が聞こえるので、ハシボソガラスではなくハシブトガラスCorvus macrorhynchos)かもしれません。 
カラスの混群かな? 
こんなに遠くの枯野に飛来したカラスの体温を検知して録画できるとは、トレイルカメラは優秀ですね。 
昼間は風揺れによる誤作動に悩まされるので、たまたまカラスが写っていただけかもしれません。 


シーン3:4/3(@3:18〜) 
これ以降、カラスが遠い奥のエリアで採食している場合は、1.5倍に拡大した上で5倍速の早回しにしてみました。 


シーン4:4/4(@3:45〜) 


シーン5:4/5(@4:09〜) 


シーン6:4/6(@4:20〜) 

シーン7:4/7(@5:02〜) 
早朝に霧が立ち込めたようで、レンズが少し曇ってしまいました。 
日が昇ると、レンズの水滴は自然に乾きます。


シーン8:4/8・午前10:25・晴れ・気温19℃(@5:20〜) 
奥の農道に自転車(バイク?)に乗ったヒト♂が現れました。 
林縁で山菜採りにでも来たのでしょうか? 
カラスの群れが警戒して、手前の枯野から一斉に飛び立ちます。 
そのヒトが居なくなると、再びカラスが集まって採食を始めます。 


※ 立木に固定したトレイルカメラがずれてしまい、画角が斜めになってしまっています。



春の旧営巣地でニホンアナグマ♂が後足で謎の土掻き行動【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬 

シーン1:4/28・午前2:05・気温12℃(@0:00〜) 
春に交尾相手の♀を探しに来たニホンアナグマ♂(Meles anakuma)が、死んだ個体の旧営巣地(空き巣)で巣口Lに頭を突っ込んで匂いを嗅いでいます。 
何度かスクワットマーキングしながら左へ立ち去る途中で、地面の土を後足で勢い良く掻きました! 


シーン2:4/28・午前2:05・気温11℃(@0:16〜) 
別アングルの監視カメラでも撮れていました。 
体型や顔つきは♀っぽいのですが、股間に睾丸が見えたので若い♂なのでしょう。 

巣口Lの匂いを嗅いでから、その縁で尻を擦りつけて匂い付け(スクワットマーキング)。 
直後に後足で地面の土を後ろに掻きました。 
右上奥の獣道を立ち去る途中でも、スクワットマーキングしていきました。 


【考察】 
アナグマが後足で土を掻く行動を見るのはこれが2回目です。 

繁殖期の♂に限定した行動なのでしょうか? 
まるで散歩中に興奮したイヌみたいな行動です。(pedal-marking) 
アナグマが巣穴を掘るときには前脚で土を後方に掻き出すのですが、それとは違います。

巣穴Lの奥では「いざりタヌキ」が餓死しているのではないかと私は疑っているのですが、その死臭を嗅いだ後の反応(嫌悪感?)なのかもしれません。 
しかし、前回はこことは違う別の巣穴(休耕地にあるタヌキの営巣地)でも同じ行動が録画されていたので、その可能性は否定できそうです。 
スクワットマーキングによる嗅覚的なマーキングだけでは満足できずに、地面を掻いて視覚的にも縄張り宣言するマーキング行動なのかな? 
アナグマの肉球には臭腺や分泌腺が無いそうです。

同一個体が「アナグマ♂参上!」とアピールする時にやる癖なのかもしれません。 



2025/04/23

ニワハンミョウ♂の求愛と♀による交尾拒否

 



2024年4月下旬・午後14:55・くもり 

田園地帯の舗装された農道で交尾を始めたばかりのニワハンミョウ♂♀(Cicindela japana)を見つけました。 
♀に背後からマウントした♂は、♀の胸部と腹部の間を大顎で咥えてしっかり掴まえ、腹端から茶色くて細長い交尾器(陰茎)を伸ばして♀の交尾嚢に挿入しようとしています。 

しかし、♀は激しく暴れて♂を振り落とそうとしています。 
この♀個体は、明らかに交尾拒否の行動をしています。 
前回の記事で観察した、♀が交尾を終了しようと暴れる行動(post-copulation struggle)よりも激しくて、横に転げ回る動き(ローリング)もしました。 
♂はじゃじゃ馬に振り落とされないように必死にしがみつき、まるで激しいロデオを見ているようです。 
♀も茶色の腹端を伸ばしながら下に屈曲しているのは、♂の交尾器が届かないようにしているのでしょう。 
普段は鞘翅の下に隠れている腹背が♀♂ともにメタリック・グリーンに美しく輝いて見えました。 
うまく交尾できた♀♂ペアの場合、♀は腹端を伸ばしていませんでした。 

激しく暴れている♀♂ペアに、左から別個体が登場しました。 
スロー再生すると(@2:49〜)あぶれ♂のようですが、♀の争奪戦にはならず、すぐに離れて行きました。 
獲物と誤認して近寄ってきたのかもしれません。 

♀に激しく抵抗された♂は結局交尾を諦めて、♀から離れて行きました。 
正面から見ると、♂の上唇および大顎は白いので容易に見分けられます。 
まるでホワイトニングした歯のように見えます。 
一方、♀は♂よりも体格が少し大きく、上唇と大顎が少し黄ばんで見えます。 
ハンミョウは肉食性ですが、怒った♀による性的共食いは起こりませんでした。 

♂から解放された♀が路上をうろつく様子をしばらく撮り続けていたのですが、しばらくするとさっきの♂(それとも別個体?)が別の♀個体の背中に挑みかかっていました。 
交尾する気満々の♂は腹端の交尾器を伸ばしていますが、この♀も激しく抵抗しています。 
今回の♀は、獲物(おそらくアリの一種)を咀嚼中でした。 
このペアも体格に明確な性差ありました(♀>♂)。 
交尾拒否されて一旦振りほどかれた♂が再び♀の斜め背後から近づこうとしたら、嫌がる♀は走って逃げました。 

ニワハンミョウの♀をひたすら動画に撮り続ければ、♂が駆け寄って交尾を挑むはずだ(効率よく撮れる)と気づきました。 
そこで、路上に立ち止まって身繕いしている個体を背側から撮り始めました。(@0:52〜) 
上から背側を見下ろすアングルでは顔色が見えにくくて撮影中は気づかなかったのですが、この個体は♂でした。 
さて、この♂はこれから獲物を狩りに行くのか、それとも♀を探すのでしょうか? 
ところが、背後から別個体(驚いたことに♀でした)がすばやく駆け寄りました。 
マウントしたかと思いきや、すぐに一旦離れました。 (背中を通り過ぎただけ) 
ところが直後に攻守交代で♂が♀に素早く駆け寄り、背後からマウントしました。
マウントされた♀が腹端を伸ばしてすのが交尾拒否の意思表示のようです。 
今回は♀が♂を振り落とそうと激しく暴れることなく、♂はあっさり諦めて離れて行きました。 

♂に解放された♀を撮り続けます。 
この♀個体の背中の中央付近に一対の黒い丸の斑紋があって(●●)、個体識別ができそうです。 
さっきの♂にはなかった目立つ模様です。 
♀は立ち止まって触角を前脚で拭い、化粧しました。 
同側の前脚と中脚を互いに擦り合わせる身繕いもしています。 
♀は再び路上徘徊。 

ところが私は途中で目移りしてしまい、少し離れた位置に佇んでいた♂に被写体を切り替えてしまいました。(@2:04〜) 
どんどん遠ざかる個体よりも、近くに来た個体をなるべく撮りたい、という理由もあります。 
この♂個体は大顎を大きく開閉し、クチャクチャと噛みほぐしていた獲物(クロアリ?)の残渣を吐き出して捨ててから、農道をうろつき始めました。 

ここまでのニワハンミョウ♀♂の行動を、1/5倍速のスローモーションでリプレイするので、じっくりご覧ください。(@2:16〜) 


【考察】 
ニワハンミョウの♂が出会った♀と交尾を始める瞬間をいつも見逃してしまいます。 
どうやら、ニワハンミョウには交尾前の儀式化された求愛行動というのはないようです。 
♀の背後から♂が隙を見て挑みかかり、いきなり交尾を試みるのでしょう。 
しかし交尾成否の決定権は♀にあり、♀が交尾拒否すれば♂はやがて諦めて離してくれます。 
♀が♂との交尾を受け入れる瞬間の撮影は、今後の課題です。 

ニワハンミョウの♀は、羽化後に一度交尾をするだけで、その後は♂に迫られてもひたすら拒否するのでしょうか? 
交尾後の♀は獲物(アリ)の捕食に努め、産卵に備えて栄養を蓄えるのでしょう。 
獲物を探し歩いている既交尾♀にとって、次々に交尾を挑んでくる♂の存在は煩わしいだけでしょう(セクハラ)。 
ここで問題になるのは、ニワハンミョウ♀の交尾回数です。
Perplexity AIに質問してみると、
ニワハンミョウ(Cicindela japana)の交尾回数に関する直接的なデータは限られていますが、ハンミョウ類全般の生態から推察すると、♀は複数回交尾する可能性が高いと考えられます。(後略)

日本のナミハンミョウでは、交尾後に再び同じ個体と交尾する事例が報告されています。 (参考ブログ記事 by 年金暮し団塊世代さん)

また、Perplexityが教えてくれた次の論文(Pseudoxycheila属の同所性ハンミョウ2種の交尾行動について)も面白そうなので、これからPDFをダウンロードして読んでみます。

TIGREROS, Natasha; KATTAN, Gustavo H. Mating behavior in two sympatric species of Andean tiger beetles (Cicindelidae). Bol Mus Entomol Univ Valle, 2008, 9: 22-28.

もしも♀が卵の遺伝的多様性を確保するために複数♂と何度も交尾するとしたら、今回見られたような交尾拒否行動は、交尾相手の♂を♀が厳しく選り好みしていることを示唆しています。 
その選別基準を知りたいものです。 
少し考えてみると、♂の体格でふるいにかけることは可能そうです。 
まず、大顎で♀の体をしっかり保定できない♂は論外でしょう。
体格があまりにもミスマッチ(♀>>♂)のカップルは、マウントした♂の交尾器が♀の交尾嚢に届きません。 
♀はちょっと交尾拒否してみて(precopulation struggle)、なるべく体格の大きな♂とだけ交尾するのかもしれません。 
交尾してもらえるように、小柄な♂が求愛給餌行動を進化させたら面白いのになー。 

♀を巡る♂同士の争いは、一度も見られませんでした。 

 一度だけ♂の背後から♀が駆け寄って一瞬マウントした(ように見えた)のが興味深く思いました。 
意中の♂を見つけて♀の方からモーションをかけた(ナンパした)のなら面白いのですが、その気になった♂が交尾を挑んでも♀は断固拒否して別れました。 
♀の尻を追いかけ回す探雌モードの♂と違って、狩りモードの♀は、動くものは全て獲物に見えてしまう(誤認)のかもしれません。 

今後は野外で片っ端から一時捕獲したニワハンミョウを個体標識(マーキング)した上で、配偶行動を観察すれば、もっと面白くなりそうです。 
しかし飼育下で♀♂ペアを交尾させる方が楽かもしれません。


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