2024/06/20

汗腺がないコウモリは体温冷却のために飛びながら水浴するのか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月上旬 

山中で湧き水の溜まった浅い泉に夜な夜な飛来するコウモリの群れを自動センサーカメラで記録しています。 
水場に訪れて水を飲んだり水浴したりする野生動物や野鳥を撮影する目的でトレイルカメラを設置してみると、最も頻繁に写るのはコウモリでした。 


シーン0:8/5・午後14:35(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
湧き水が溜まった浅い池から画面の奥に向かって水が流れ出て、沢の源流になっています。 


シーン1:8/5・午後19:19〜23:53(@0:04〜)日の入り時刻は午後18:48 
日没後に暗くなると、水場にコウモリがやって来ます。 

1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、着水後に急旋回して飛び去るコウモリが空中から何かを捨てていました。(@6:09〜) 
これは排泄行動なのか、それとも池で何かを捕獲したら獲物ではないと悟って捨てたのでしょうか? 
濡れた体から水滴が落ちただけのようには見えません。 


シーン2:8/6・午前0:11〜3:40(@6:27〜)日の出時刻は午前4:43 
深夜に日付が変わっても夜が明けるまでコウモリは次々と池に飛来します。 

少数の個体が繰り返し飛来しているのか、それとも多数の個体が1回ずつ飛来しているのか、知りたいのですが、どうやったら突き止められるでしょう? 
(素人が許可なくコウモリを捕獲するのは禁じられています。)

着水後に急旋回して飛び去るコウモリが足に何かを掴んでいるように見えたときがあります。(@6:55〜) 
私の気のせい(願望からの幻覚)ですかね? 
動画のフレームレートが15fpsと低いので、スロー再生しても動きがカクカクしていてはっきりしません。 

珍しく着水シーンを横から撮れたシーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@8:55〜) 


シーン3:8/6・午後21:05〜22:33(@9:56〜)日の入り時刻は午後18:46 
2頭(以上)のコウモリが同時に飛来することもあります。 


【考察】 
低空で水面スレスレに飛びながらコウモリが何をしているのか、という問題がなかなか解決しません。 

まず、池で捕食している可能性はどうでしょうか? 
海外にはウオクイコウモリという種類がいるのですけど、淡水のこの池は小さくて浅いので、獲物となる魚は居ません。(居るのはオタマジャクシやサンショウウオぐらいです。) 
池の上を飛んでいる昆虫やアメンボなどの水生昆虫を水面で狩っている可能性も考えましたが、スロー再生すると違うようです。 
狩りなら毎回違う場所に着水するはずですが、コウモリの着水地点は大体決まっているようです。 
この池は三方(画面の背後および左右)が崖に囲まれているため、飛来したコウモリは崖に衝突しないように急旋回しながら飛び回る必要があります。 
地形要因から飛行ルートが限られ、着水できる地点も限定されるのでしょう。 

次に、水を飲んでいるか、水浴しているのか、どちらでしょう? 
フレームレートの高い高画質の暗視動画が撮れる最新機種のトレイルカメラを導入するまで、謎解きはお預けです。 
プロの動物写真家なら多灯ストロボと赤外線センサーを池畔に設置して、着水の決定的瞬間を写真で切り取ろうとするでしょう。 
動画派の私としては、なんとか動画で記録したいのです。 


大井徹『獣たちの森』という本を最近たまたま読んでいたら、コウモリの解剖生理学について興味深い事実を知りました。
汗腺は老廃物の排出とともに体温調整の機能を持つ。人は全身に汗腺を持つが、食虫類、げっ歯類、食肉類の一部では足と肛門付近にのみある。鯨類といくつかのコウモリ、げっ歯類にはない。(p58より引用)
コウモリが発汗しないとすると、飛翔時に体温の急上昇を抑えるために、定期的に体毛を濡らす必要があるのかもしれません。 
つまり、飛びながら水浴を繰り返し、気化熱を利用して体温を冷やしているのかもしれません。 
さっそく文献検索で斜め読みしてみると、コウモリの翼は飛行時の空冷だけで体温が充分に低いらしく、胴体しか冷やす必要がないのだそうです。 

・Luo, J., Greif, S., Ye, H. et al. Flight rapidly modulates body temperature in freely behaving bats. Anim Biotelemetry 9, 45 (2021). https://doi.org/10.1186/s40317-021-00268-6
・RUMMEL, Andrea D.; SWARTZ, Sharon M.; MARSH, Richard L. Warm bodies, cool wings: regional heterothermy in flying bats. Biology Letters, 2019, 15.9: 20190530.

しかし、「体温調節仮説」にも問題があります。 
雨の日や霧の日には体を濡らす必要がないはずなのに、コウモリは晴れの日と変わらず池に飛来するのはなぜ?という疑問が残ります。 


毎回水面に波紋が広がることから、私はてっきりコウモリが飛びながら意図的に一瞬だけ着水しているのだと長らく信じていました。 
しかし、必ずしもそうとは言い切れないことに最近気づきました。 
側溝を流れる水面スレスレに飛ぶミツバチをハイスピード動画で撮影したところ、着水しなくても激しい羽ばたきの勢いで直下の水面が押し下げられ波紋を生じることが分かったのです。 



コウモリの飛翔シーンをハイスピード動画で撮ってみたいのはやまやまなのですけど、それには強力な赤外線投光器が必要です。

アナグマの旧営巣地で落ち葉をめくって虫を探すクロツグミ♂#2【野鳥:トレイルカメラ】

 



2023年9月下旬〜10月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の家族が転出した後の旧営巣地(セット)に通ってくるクロツグミ♂(Turdus cardis)の様子をまとめました。 


シーン0:9/25・午後14:04および14:32(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
アナグマの旧営巣地を新旧2台の自動センサーカメラで見張っています。 
二次林の林床には多数の落ち葉が散乱しています。 


シーン1:9/30・午前5:56(@0:08〜)日の出時刻は午前5:30。 
薄暗い早朝から画面の左端で黒い小鳥が地上を探餌徘徊しています。 
クロツグミ♂だと思うのですが、見下ろすアングルでは、胸が白いかどうか確認できませんでした。 


シーン2:10/1・午後17:04・気温20℃(@0:21〜)日の入り時刻は午後17:26。 
翌日の日没前の薄暮に、アナグマの巣口Lの真上に伸びた細い灌木(樹種はマルバゴマギ)にクロツグミ♂と思われる真っ黒な鳥が止まっていました。 
左下の林床に飛び降りると、左にぴょんぴょん跳んで(ホッピング)姿を消しました。 


シーン3:10/9・午前6:24(@0:35〜) 
8日後、秋雨がしとしと降り続く早朝に、クロツグミ♂がアナグマの巣口Rの横でじっと佇んでいました。 
しばらくすると、地面を1回啄みました。 
アナグマの巣口周辺には特有のアブがいつも飛び回っているのですが(映像公開予定)、クロツグミ♂はその成虫または幼虫を狩ろうと狙っているのかもしれません。 
ただし、雨の日にもアブが活動しているのかどうか、不明です。 
暗所を好むカマドウマ類がアナグマの巣穴Rに潜んでいるようなので、それが出てくるのを待ち伏せしている可能性もありそうです。 

やがてクロツグミ♂は落枝から落枝にピョンピョン跳んで林床を移動すると、落ち葉めくり行動を開始。 
嘴で落ち葉を素早くめくり、裏側に隠れている虫を捕食する作戦です。 


シーン4:10/9・午後16:47(@1:08〜) 
夕方にもクロツグミ♂がセットに飛来し、巣口Rの上に垂れ下がった蔓に止まっていました。 
嘴を足元の蔓で拭っただけで、左に飛び去りました。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正(モノクロ化)を施しています。 




2024/06/19

スギ防風林の溜め糞場に1〜2頭で現れ排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年9月下旬〜10月中旬 

田畑を囲むスギ防風林でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が通ってくる溜め糞場wbcを自動センサーカメラで監視しています。 
私には未だタヌキの個体識別ができていませんが、単独または♀♂ペアで代わる代わるやって来ます。 


シーン1:9/25・午後(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
スギの落葉落枝が積もった林床の赤丸で囲った位置に黒々とした溜め糞がこんもりと残されています。 
この画角では2つの糞塊が写っています。 
画面中央やや左の糞塊が最大の溜め糞です。 
実は、画面の左下外の死角にもう一つの溜め糞があります。 


その日の晩(午後18:25)からタヌキがペアで来ました。 
林床の匂いを嗅ぎ回っただけで通り過ぎました。 


シーン2:9/26・午前2:56(@0:56〜) 
未明に単独で来たタヌキが手前の溜め糞場で脱糞して行きました。 


シーン3:9/29・午前5:30(@1:36〜)日の出時刻は午前5:29。 
日の出直後にタヌキがペアで現れました。 
溜め糞場wbcには立ち寄らず、画面の右を手前から奥へ向かって1列縦隊で歩き去りました。 


シーン4:9/30・午前5:18(@1:51〜) 
夜明け前に単独で来たタヌキが奥の溜め糞場wbcで鼻面を上げて風の匂いを嗅いでいます。 
右向きで(東向き)排便しました。 
スギ大木の真下を右に通り過ぎると、立ち止まって身震いしてから右へ向かいました。 
(実は向かった先には、アナグマ専用の溜め糞場stmpがあるのですが、画角の外で写ってません。) 


シーン5:10/1・午後17:59(@2:42〜)日の入り時刻は午後17:26。 
日没後の晩に単独で来たタヌキが奥の溜め糞wbcの匂いを嗅いでいました。 
そのまま右を向いて脱糞(東向き)。 
用を足すと、獣道を手前に向かって元気に走り去りました。 


シーン6:10/2・午前2:14(@3:17〜) 
雨上がりの深夜に単独で現れたタヌキは、溜め糞場には来ないで右奥へ立ち去りました。 
タヌキが振り返ると白い目が光って見えます。 


シーン7:10/6・午後20:00(@3:34〜) 
晩にトレイルカメラが起動した理由が不明だったのですが、しばらくすると、左からタヌキが登場しました。 
奥の溜め糞場wbcに跨ると、後ろ向き(北向き)で排便し、左に引き返しました。 
もしかすると、ペアで行動するタヌキの先行個体を撮り損ね、後続個体だけが写ったのかもしれません。 


シーン8:10/7・午前0:19(@4:00〜) 
日付が変わった深夜に単独で来たタヌキが、約4時間半前に排泄されたばかりの新鮮な溜め糞wbcの匂いを嗅いでいました。 
溜め糞に跨って排便姿勢になったのですが、実際に脱糞したかどうか不明です。 
獣道を手前(左下隅)に歩いて来ました。 


シーン9:10/7・午前3:45(@4:38〜) 
約3時間半後の未明に、単独行動のタヌキが写りました。 
溜め糞場wbcには立ち寄らず、スギ大木の右の獣道を通って奥へ向かいました。 


シーン10:10/7・午後17:29(@4:51〜)日の入り時刻は午後17:17。 
日没後の晩に単独で獣道を奥から手前に向かって歩いて来ました。 
溜め糞場wbcには立ち寄らずに通り過ぎました。 


シーン11:10/8・午前3:21(@5:00〜) 
未明に単独で来たタヌキが奥の溜め糞場wbcに右向きで佇んでいました。 
尾を水平に伸ばしたまま、なんとなく排尿マーキングしたような気がするのですけど、どうでしょうか? 
獣道を奥へ歩き去るにつれて少しずつ尻尾を垂らしました。 


シーン12:10/8・午後15:01(@5:22〜) 
午後の明るい昼間に珍しくタヌキが単独で通りかかりました。 
溜め糞場wbcには立ち寄らず、手前に歩き去りました。 


シーン13:10/11・午後23:57(@5:29〜) 
単独で来たタヌキが右から回り込んで奥の溜め糞wbcの匂いを嗅いでから、身を翻して手前に歩き去りました。 


シーン14:10/12・午前3:17(@5:58〜) 
日付の変わった未明に単独でタヌキが奥の溜め糞場wbcに来ていました。 
そのまま溜め糞に跨って左向きで排便すると、対面のスギ大木の右を通って奥の雑木林へ姿を消しました。 


シーン15:10/12・午前3:44(@6:38〜) 
26分後に別個体のタヌキが右下から登場しました。 
そのまま奥の溜め糞場wbcに進み、左上(北西)を向いて排便しました。 
既存の溜め糞の上ではなく、端に自分の糞を追加しました。 
その後はスギ大木の根元を右へ通り過ぎ、アナグマ専用の溜め糞場stmpに向かったようです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正(モノクロ化)を施しています。 



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