2024/06/14

根曲がり巣穴の横で落ち葉をめくって虫を探し歩くクロツグミ♂【野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年9月下旬

平地のスギ防風林にある「根曲がり巣穴」を見張っていると、営巣地周辺の林床にクロツグミ♂(Turdus cardis)と思われる黒い鳥が登場しました。 


シーン1:9/23・午後13:56(@0:00〜) 
クロツグミ♂なら腹面は白いはずですが、上から見下ろすと真っ黒な背中しか見えません。 
巣口を取り囲む根曲がり灌木(樹種はマルバゴマギ?)を経由して、ホッピングしながら左へ向かいました。 



シーン2:9/25・午前8:08(@0:15〜) 
2日後は、珍しく日中にフルカラーで録画されていました。 
(旧機種のトレイルカメラは昼間の録画の挙動が不安定で悩まされます。) 
右上の朽ちた風倒木に黒い鳥が止まっています。(赤丸に注目) 
林床に飛び降りると、採食行動(落ち葉めくり?)を始めたようですが、後ろ姿で肝心の口元が見えません。 


シーン3:9/25・午前8:11(@0:55〜) 
同一個体?のクロツグミ♂が戻ってきたようです。 
林床の落ち葉を嘴で左右に素早く跳ね除けて、下に隠れた虫を探しています。 

クロツグミ♂の嘴は黄色いはずですが、この動画ではそう見えないので、私の同定が間違っているのかと不安になります。 

高木清和『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』を紐解いてクロツグミの食性を調べると、
地上を跳ね歩いて餌を採る姿はツグミに似て落葉や土をくちばしでかき分けて餌を探す。(中略)食性:昆虫類、幼虫、クモ類、ミミズ類、木の実(p86より引用)

バードリサーチニュースの生態図鑑でクロツグミの食性を調べると、
主に地上で昆虫やムカデ,ミミズなどを食べる.木の頂で飛翔性の昆虫を捕食することもある.キヅタ,ヒョウタンボク,サクラ類などの実も食べる.ヒナにはミミズを多く運ぶ. 

 

まさに図鑑の記述通りの採食行動をしています。 
ただし、落葉めくりをする鳥は何種類も知られています。


シーン3:9/25・午前9:30・晴れ(@1:13〜) 
驚いたことに、根曲がり巣穴の中にクロツグミ♂が一時侵入していたようです。 
なぜ私が驚いたかというと、もしもテンやイタチなど肉食獣の巣穴だとしたら下手すると自殺行為になるからです。
逆に、野鳥が恐れることなく巣穴に入ったということは、(今は)肉食獣が棲む巣穴ではないのでしょう。
入巣シーンは撮り損ねたものの、巣穴から外に出て来る様子が撮れていました。 
ピョンピョンと跳んで(ホッピング)出巣すると、そのまま右へ飛び去りました。

この時期の根曲がり巣穴には、野ネズミぐらいしか野生動物(哺乳類)は住んでいないようです。 
他には暗所を好む昆虫(カマドウマ類?)が巣穴の奥に集結しているようで、それを狙ってタヌキが捕食しによく来ます。 


今回のクロツグミ♂も、虫を食べるため巣穴に潜り込んだのでしょう。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


こんな平地の森にもクロツグミが生息しているとは知りませんでした。 
以前、この近くで猛禽?に捕食された黒い鳥の謎がこれで解けました。 


つづく→ 


【アフィリエイト】 

2024/06/13

夜の水場に飛来するコウモリに狩られないよう必死で逃げ惑う蛾ほか【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月中旬〜下旬 

山中で湧き水が溜まった泉に自動センサーカメラを設置すると、夜な夜なコウモリが飛来します。 
コウモリが飛びながら一瞬だけ着水するのですが、このとき水を飲んでいるのか水浴びしているのか突き止めたくて、しつこく撮影しています。 


シーン0:8/19・午後13:32(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
池から溢れた水は画面の奥に向かって流れ、沢の源流となります。 


シーン1:8/19・午後20:21(@0:03〜) 
晩になると、レンズに覆いかぶさるようにザトウムシの一種がうろついています。 
細長い歩脚が至近距離で動くと目障りです。
奥の森から飛来したコウモリは、このザトウムシを獲物として狩ろうとしませんでした。 
低空で飛びながら池に一瞬だけ着水すると、急旋回して何度も着水を繰り返してから森に戻ります。 
着水の度に泉の水面には波紋が広がります。 

コウモリが飛びながら超音波を発したはずなのに(エコロケーション)、ザトウムシは全く逃げませんでした。(緊急逃避行動なし) 


シーン2:8/19・午後20:31(@0:49〜) 
画面の下端に注目してください。 
池の中の落枝に小型のキリギリス?カマドウマ?がよじ登りました。 
次に飛来するコウモリはこれを獲物として狩るかと期待したのですが、いつの間にか居なくなっていました。 
この位置の虫を狙ってコウモリが飛びながら狩ろうとすると、池畔の崖に激突しそうというリスクがあるのかもしれません。 


シーン3:8/22・午後19:43(@1:06〜) 
今回の記事で一番の目玉となるのは、このシーンです。 
3日後の晩に、コウモリがいつものように水場に飛来すると、珍しく虫が慌てて逃げ惑いました。
こんなシーンをこれまで撮れたことがありません。

1/3倍速のスローモーションでリプレイすると、よく分かります。(@1:09〜) 
奥から手前に向かって飛んでくるコウモリの前を、不規則なジグザグ高速飛翔で夜蛾が必死で逃げていたのです。 
夜蛾はなんとかコウモリに狩られずに逃げ延びました。 
このときコウモリは珍しく着水せずに急旋回したので、たまたまコウモリの飛行ルートに夜蛾が迷い込んでしまったというよりも、コウモリは夜蛾を狩ろうと追いかけていたように思います。 

夜行性の蛾にとって最大の天敵はコウモリです。 
エコロケーションの超音波を感知すると、捕食されないように飛翔パターンを急激に変えたり、ジャミング(妨害)する超音波を自ら発する蛾もいるのだそうです。 
体表がコウモリの超音波を反射しにくいように進化した虫もいるそうです。(ステルス擬態)
超音波を使った熾烈な軍拡競争が夜な夜な繰り広げられているのです。



続けて、手前のレンズ付近をガガンボが慌てたように右から左へ飛んで横切りました。 
高速で飛来するコウモリの超音波を感知して、ガガンボが逃げ惑っているのでしょうか? 
ガガンボの飛び方は、元からこんな感じかもしれません。 

この水場に飛来したコウモリが見事に獲物を狩った決定的瞬間を撮れたことが一度もありません。
旧機種のトレイルカメラはフレームレートが15fpsしかなくて、低過ぎる(太刀打ちできない)ようです。
そもそもコウモリが飛びながら夜行性昆虫を追いかけるシーンが撮れたのも今回が初めてです。
コウモリは狩りが目的でこの水場に飛来している訳ではないという印象を受けています。

我々ヒトの耳にはコウモリのエコロケーションを全く聞き取れませんが、バットディテクターという電子機器で超音波を可聴域に変換することが可能です。 
トレイルカメラとバットディテクターを組み合わせてコウモリの捕食行動を記録してみたいのですが、なかなか実現できていません。 
飛翔時のエコロケーションを声紋解析するだけで、コウモリの種類が同定できる可能性がある点が魅力的です。 
コウモリが狩りモードになると、独特のエコロケーションに切り替わるはずです。

モエギザトウムシ?♀♂の求愛と交尾拒否

 



2023年9月上旬・午後12:40頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場phがある周辺のスギ林床で多数のモエギザトウムシ♀♂(Leiobunum japonicum)?が活動していました。 
基本情報として、ザトウムシは体格に性的二型があり、基本的に♀の方が大きいのだそうです。(♀>♂) 
また、鋏角は♂の方が大きいらしい。(♀<♂) 
つまり外見でザトウムシの性別を見分けることが出来ます。 

下草(ヤブコウジ実生の葉)の上に居たモエギザトウムシ?♀個体が方向転換し、移動を始めました。 
林床を奥から歩いて来た別個体♂がこの♀を見つけると、♀に向かって積極的に突進してきました。 
そのまま正面から向き合うと、いきなりがっぷりと組み合いました。 
体格差があるのに、長い歩脚を屈伸しながら口器で互いに噛み合っているようです。 
短いキスを交わしただけで、♀♂2匹はすぐに別れました。 
今までこんな行動を見たことがなかった私はてっきり喧嘩(闘争)なのかと思ったのですが、調べてみると求愛行動だったと分かりました。 
クモの♂は触肢に移精してから♀の外雌器に挿入します(交接)。 
それに対して、ザトウムシ♂は陰茎を♀の交尾器に挿入する点で配偶行動が大きく異なります。 

林床を逃げていく♀個体に注目して撮り続けると、すぐにまた別個体の♂と遭遇しました。 
♀の背後から追いかけてきた♂は回り込んで、今回も互いに正面から向かい合って口器でがっちり噛み合いました。 
数秒後にはすぐ♀♂ペアを解消して別れました。 
しかし長い歩脚が絡み合って、別れるのに少し苦労しているようです。 

しばらくすると、一旦別れた♂が再び♀に迫りました。 
♀は嫌がっているようですが、そこへ3匹目が乱入してきました。 
この混乱に乗じて、♀は♂のしつこいセクハラから逃げ延びたようです。 

 一連の求愛行動および交尾拒否を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@2:02〜) 
ポイントとなるのは、♂が陰茎を伸ばして♀と結合したかどうか、です。 
1回戦で♀と正面から組み合った際に、♂が白い陰茎を伸ばしかけたように見えたのですが、どうでしょうか?(@3:04〜) 
2回戦は背側からの撮影アングルだったので、交尾に成功したのかどうか、素人目には分かりませんでした。
うまくいく場合は、オスはススッとメスの脚をすり抜け(メスが寛容になる)胴体を潜らせ胴体を鉢合わせます。(関連動画『ザトウムシのコミュニケーション』by 生きもの観察記録さんの解説より引用)
私の動画では♀♂ペアが互いに腹面を合わせなかったので、今回も♀が交尾拒否したようです。
♀が受け入れても、ザトウムシの交尾はせいぜい5秒ぐらいで終わってしまうのだと教えてもらいました。
ザトウムシ♂は既交尾♀と交尾する前に陰茎を使ってライバル♂の精子を♀の性器から掻き出す行動(精子置換)をしないのでしょうか?


【参考動画】
↑「モエギザトウムシの求愛(拒絶するメス)①」 by 生きもの観察記録さん

モエギザトウムシのメスが交尾を拒絶する場合、胴体を倒立させることがある(他には前脚でオスの胴体をはさむ等)。

オスはちょこまか動くメスの脚をくぐり抜け、最後にはこの鉄壁の拒絶を突破していかないといけない。オスメスの頭と頭が付き合わさらないと、交尾に至らない。

「モエギザトウムシの求愛(メスの交尾拒絶行動)」と題した同じ動画が別サイト「動物行動の映像データベース」にも掲載されていました。

ちなみに、私の動画では、♀は倒立による交尾拒否はしていません。

↑「モエギザトウムシの求愛(拒絶するメス)②」

オス(下側)のからの交尾を拒絶するメス(上側)のモエギザトウムシ。第1脚を閉じてオスの胴体の侵入を防いでいる。
これまでの飼育下では、メスの交尾拒絶行動は①胴体を倒立させる、②脚を閉じる、の2パターンが観察された。
私の動画で、モエギザトウムシ♀が脚を閉じて♂の求愛を拒絶したかどうか、素人目には見分けられませんでした。


「ザトウムシの交尾」で画像検索してみると、交尾中のザトウムシ(モエギザトウムシとは別種)を接写した見事な写真が土壌動物写真家ジーク氏のブログ記事に掲載されていました。
♂が長い陰茎を伸ばして♀と結合した様子が側面からしっかり見えます。
私も次回はザトウムシの交尾に成功するシーンを動画で記録したいものです。


【アフィリエイト】 
 ・鶴崎展巨『ザトウムシ』  ザトウムシ・ファン待望の書籍が発売予定です!(予約受付中) 

ランダムに記事を読む