2023/12/17

落ち葉や若葉を掻き集めて巣穴に運び込むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】巣材集め

 



2023年5月上旬・午後18:10頃(日の入り時刻は午後18:40) 

日没の30分前にニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が営巣地(セット)の奥の二次林に入って行く後ろ姿が撮れていました。 
林内で立ち止まって何をしているのかと思いきや、林床の落ち葉を掻き集めているようです。 
落ち葉だけでなく周囲の低木から若葉も毟り取り、一緒にまとめています。 
両手で巣材を抱えてピョンピョン後退しながら、巣穴へと運んで行きます。 

自動センサーカメラが次に起動したときには、アナグマ♀が集めた巣材を両手に抱えたまま、右手前の巣口Rまで帰って来ていました。 
そのまま巣口Rの左側の穴に後ろ向きで入りました。 
巣内で育つ赤ちゃんのために新鮮な寝床が必要になったのでしょう。

巣内で寝床を整えるとと、♀が再び巣口Rから外に出て来ました。 
身震いしてから広場と巣口Lを経由して左へ歩き去りました。 
私が新しい藁を与えたときもそうだったのですが、アナグマ♀は巣材集めを連続してやることはないようです。 
重労働で疲れてしまうのかな? 

この個体は体つきからして♀タイプなのですけど、ヘルパー(若い♂)かもしれません。 
赤外線の暗視モードに切り替わらないと、左右の目の大きさでしっかり個体識別できません。 
明るい時間帯は黒い過眼線で小さな目がほとんど隠れてしまっているのです。

まだ観察例が少ないのですが、今のところ、巣材を集めるのはいつも夜ではなく未だ明るい夕方の時間帯です。 
これはアナグマの決まったルーチンなのでしょうか。 


アナグマが定期的に落ち葉掻きをするために、営巣地(セット)の周辺だけ林床の落ち葉がきれいに無くなっていて地面が露出しています。
自然林でこの状況は不自然なので、フィールドでアナグマの営巣地を探すときの手かがりになりそうです。
落ち葉(枯葉)だけでなく緑の木の葉も集めていたのが興味深く思いました。
質より量を確保するためにやったのでしょうか?
虫よけの薬効とかアロマ成分が含まれている特定の植物の生葉を選んで採集しているとしたら、とても面白い行動です。
それを調べるためにはまず、巣穴から寝床の巣材を採集して、使われている植物を同定しないといけません。
例えば巣穴の周囲に自生しているマルバゴマキという灌木は、漢字名「丸葉胡麻木」が示す通り、葉をちぎると本当に香ばしいゴマの香りがします。
アナグマにもこの芳香はリラックス効果があったりするのかな?



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


春の里山で残雪を跳びはねて横切る越冬明けのニホンアマガエル

 

2023年5月上旬・午後13:50頃・晴れ 

里山を流れる沢の源流部の渓谷が冬の雪崩で埋もれていたのですが、その雪がだいぶ溶けていました。 
両岸の地面よりも雪面が高く盛り上がっていたのに、低くなっていました。 
標高が低くて初夏には完全に消失するので、雪渓というほどではありません。 

土で汚れた残雪の上にニホンアマガエルHyla japonica)が居ました。 
越冬明けの個体が日光浴していたようですが、雪上では体温が上がらないでしょう。 
カエルは変温動物ですから、雪上では低体温で仮死状態なのもしれません。(行き倒れ) 
アマガエルの生死を確かめるために私が動画を撮りながら靴の先で蹴るふりをすると、ピョンピョン跳んで逃げ始めました。 
そのまま連続して跳ぶと、雪の無い地面に無事に上陸しました。 
気温や雪面の温度を測るべきでしたね。 
連続跳躍の様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 

ちなみに、雪崩で埋もれた渓谷を渡るカモシカなど野生動物の足跡は見つかりませんでした。 
雪面がガリガリに固いと足跡が残りにくいのです。
それともスノーブリッジの下の見えない空洞を踏み抜く恐れがあるので、危険を察知して春の間は通行を回避しているのかもしれません。

2023/12/16

育児の合間に巣外に出てヘルパー♂と相互毛繕いするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年5月上旬

アナグマの営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで別アングルから監視することによって互いに補完し合い、間違った解釈に陥ることが減ります。


シーン1:5/1・午後14:25・(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
右手前にある巣穴Rと左奥にある巣穴Lが林床に2つ並んでいます。 


シーン2:5/1・午後19:48・(@0:03〜) 
晩にニホンアナグマMeles anakuma) の♀(右目<左目)が左からやって来て、巣口Rの前に座り込みました。 
仰向けになって毛繕いしたり体をボリボリ掻いたりしています。 
やがて巣穴Rからヘルパー♂(若い息子)が外に出てきました。(@0:40〜) 
身震いしてから♀に近づき、相互毛繕い始めました。 

正直に言うと、2頭目の個体は素人目には♀に見えるのですが、若い♂はいわゆる♂らしい体つきになっていないのでしょう。 
♀と違って、ヘルパー♂は左右の目の大きさが同じです。 


シーン3:5/1・午後19:49・(@1:34〜) 
♀とヘルパー♂の相互毛繕いを5倍速の早回しでご覧ください。 
しばらくすると、♀が右手前の巣穴Rに入りました。 
巣内で待っている赤ちゃんに授乳したり世話をしないといけません。 
ヘルパー♂は広場に残って、仰向け毛繕いを続けています。 


シーン4:5/1・午後19:53・(@2:22〜) 
ヘルパー♂が広場から手前に伸びる獣道を歩いてきます。 
私が置いた藁が地面に敷かれていることに気づくと、匂いを嗅ぎ回りました。 
急に出現した見慣れない藁に警戒して、獣道を引き返してしまいました。 



シーン5:5/1・午後19:55・気温11℃(@2:41〜) 
別アングルで撮れた監視映像に切り替えます。 
ヘルパー♂は起動したトレイルカメラを見て警戒していましたが、警戒を解くと広場に戻りました。 
仰向けに座り込んで体掻きや毛繕いを始めました。 
仰向けで開脚してくれたときに股間の外性器(陰茎や睾丸)を確認したいのですが、ちょうど手前に生えた灌木で隠れてしまっています。 


シーン6:5/1・午後19:55・(@3:04〜) 
別アングルの映像に切り替えます。 
ヘルパー♂が広場に座って体の手入れをしています。 


シーン7:5/1・午後19:56・(@3:22〜) 
遂に立ち上がって身震いすると、私が置いた藁を避けるように左へ立ち去りました。 
途中で立ち止まって茂みの陰でウロウロしています。 


シーン8:5/1・午後19:59・(@3:40〜) 
再び広場に戻って体の手入れに余念がありません。 



シーン9:5/1・午後20:02・気温15℃・(@3:58〜) 
別アングルのカメラに切り替えました。 
広場で身震いしてから右へ歩き出しました。 
地面を少し引っ掻いてから、回り込んで右へ向かいます。 
私が置いた藁を避けるように迂回しました。 
結局、ヘルパー♂は私が与えた巣材(新しい敷き藁)を巣穴に搬入しませんでした。
翌日になってからようやく♀が巣穴に持ち去りました。



シーン10:5/1・午後20:06・(@4:09〜) 
また別アングルの映像に戻りました。 
奥から戻って来たヘルパー♂がゆっくり回り込むようにして入巣Rしかけたものの、広場に戻って体掻きと仰向け毛繕い。 
ヘルパー♂が戻ってきたのではなく、余所者の♂が夜這いに来たのかもしれません。 


シーン11:5/1・午後20:10・(@4:43〜) 
巣口Rを覗き込んでいたヘルパー♂が慌てて飛び退きました。 
巣穴Rから♀が外に出てきて軽く唸り声♪を発しました。 
訪問者を撃退せずに仲良く相互毛繕いに移行したので、♀の相手は求愛♂ではなくヘルパー♂だったようです。 

この時期に♀と同居しているヘルパー♂の役割がよく分かりません。 (§追記参照)
暇そうに時間を潰しているだけのように見えます。
本当に母親の子育てを助けているのでしょうか? 
♂は赤ちゃんに授乳することができません。 
鳥類のヘルパーと違って、アナグマのヘルパー♂は♀に甲斐甲斐しく餌を運んできて与えることはありません。
♀が自分の食事のために巣穴を留守にする(外出する)間、ヘルパー♂が巣内で子守をしているのかな?
ヘルパー♂が大規模な造巣工事に従事している様子はありませんし、営巣地(セット)を侵入者から守る用心棒のようなものなのでしょうか? 


シーン12:5/1・午後20:12・(@5:33〜) 
長々と続く相互毛繕いを5倍速の早回しでお届けします。 
正面を向いたときに暗視カメラに写る左右の目の大きさが均等かどうかで、♀とヘルパー♂を見分けています。 


シーン13:5/1・午後20:13・(@5:52〜) 
相互毛繕いを止めて、今回も♀が先に入巣Rしました。 

広場に残ったヘルパー♂は、独りで仰向け毛繕いを続けています。 
立ち上がって身震いすると、再び巣口Rに頭を突っ込んで中の様子を伺っています。 


シーン14:5/1・午後20:23・(@5:52〜) 
広場から歩いて右手前の林内に消えました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


§【追記】
熊谷さとし『身近に体験!日本の野生動物(2)タヌキを調べよう』(2006)という本は、後半でニホンアナグマについて扱っています。

 アナグマもほんとうは、秋になるとタヌキのように「子別れ」をして、子どもは親からはなれるはずなのだが、母親は♀を1頭だけ手もとにのこし、翌年の子どもの世話をさせることがある。
 これは「ヘルパー制度」とよばれるもので、キツネやオオカミ、イノシシなどでもよく知られている行動だ。ヘルパーは子守ばかりでなく、妊娠中の母親に食べものを運ぶこともする。
ヘルパー制度は、母親の子そだてを楽にして、子どもの安全を守るほか、ヘルパーに子どもが生まれたときの子そだての訓練にもなる。(p25より引用)

最近の研究によると、アナグマのヘルパーは若い♂なのだそうです。
貴重な資料なのですが、この本の情報は古いので鵜呑みにすることはできません。
下線部の給餌行動について、私は観察したことがありません。
アナグマの主食はミミズです。
鳥と違ってアナグマのヘルパーが生け捕りにしたミミズを巣内で待つ母親♀に持ち帰ることは難しいでしょう。
ヘルパーはフィールドでミミズを捕食してから帰巣し、母親♀に吐き戻して給餌するのでしょうか?
確かめるには巣穴の中に監視カメラを設置しないといけませんね。


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