2023/08/06

山中の池でトレイルカメラが捉えたオニヤンマ♀の産卵(その2)

 


2022年8月上旬・午後13:40頃・晴れ 

里山で湧水が溜まった泉を自動センサーカメラで見張っていると、オニヤンマ♀(Anotogaster sieboldii)が単独で飛来しました。 
日陰になっている左岸でホバリング(停空飛翔)しながら、岸辺の浅瀬に腹端をチョンチョンと付けて産卵しています。 
池の浅瀬に沿って移動しながらあちこちで産卵を繰り返し、飛び去りました。 
オニヤンマ♀の産卵行動を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:22~) 

この時期はずっとオニヤンマ♂がこの水場で縄張りを張って交尾相手の♀を待ち伏せしていたのに、♂の留守中を狙ったかのように♀が産卵に来たことになります。 
これは前回も同じでした。 


交尾済みのオニヤンマ♀は♂のしつこいセクハラで産卵行動が邪魔されるのが嫌で、意図的に♂を避けているのかもしれません。 
それとも監視カメラに写っていないだけで、実は首尾よく交尾できた♂が近くで♀の産卵を見守っているのでしょうか? 

水場に飛来したオニヤンマ♀を♂が捕捉して交尾に至る瞬間をトレイルカメラで記録するのは、よほどの幸運に恵まれないと難しそうです。 


※ 癖のある旧機種のトレイルカメラを騙し騙し使い続けています。 
明るい昼間の動画撮影に難があり、なぜか画面全体がピンク色に点滅するのです。 
あまりにも不自然で見づらいので、動画編集時に自動色調補正を施してモノクロに加工しました。


2023/08/05

冬毛のホンドテンが夜に出歩く雪山のスギ林道【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2022年12月下旬~2023年1月上旬 

根雪が積もった里山のスギ林道に設置した自動撮影カメラに写ったホンドテン(Martes melampus melampus)の記録です。


シーン1:12/30・午後16:51・気温-2℃・(@0:00~) 
日の入り時刻は午後16:32。 
雪が降る晩に冬毛のテンが新雪の林道を左から右へ元気に走り去りました。 


シーン2:12/30・午後18:11・気温-2℃・(@0:07~) 
1時間20分後に、テンが再登場。 
低温下ではどうしてもカメラの起動が遅れがちです。 
前回と同じく左から右へ新雪の林道を駆けて行きます。 
同一個体が縄張りをぐるっと一周して戻って来たのか、それとも別個体なのでしょうか? 


シーン3:12/31・午後19:40・気温-1℃・(@0:14~) 
翌日の晩にも、小雪がちらつく中をホンドテンが登場。 
テンは雪道でも足取りが早く、カメラの起動が間に合いません。 
今回も左から右へ小走りで通り過ぎました。 

スギ樹上からの落雪で、雪面が荒れています。 
道端に突き刺さっていたスギの落枝(カモシカがよく眼下腺マーキングしていた対象物)はほとんど雪に埋もれてしまいました。 

夏にホンドテンはほとんど写らなかったのに、冬になると頻繁に出没するようになったのが不思議です。 
積雪期は頑張って行動範囲を広げないと獲物が捕れないのかな? 


シーン4:1/4・午後17:21・気温-4℃・(@0:22~) 
日の入り時刻は午後16:36。 
年が明けた晩に雪が降っています。
左から登場したテンが雪道を歩いても、足が雪の中にあまり潜りません。 
ということは、クラスト凍結した雪面に薄っすらと新雪が積もっているようです。 
雪面にテンの足跡が残ります。 


最後にホンドテンの雪道歩行(走行)を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:31~) 



雪上のタヌキ溜め糞に群がるフユユスリカ?の謎

 

2022年12月下旬・午後14:00頃・晴れ

スノーシューを履いて山麓近く(標高〜320m地点)のスギ植林地を探索していたら、ザラメ雪の上にホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の溜め糞場opを新たに見つけました。 
周囲の雪面にはスギの落枝や落ち葉が散乱していて、タヌキの足跡も多数残っていました。
新鮮な糞の中に植物の種子が少し混じっています。 
糞の下の雪が少し溶けて、雪を茶色に染めています。 
スギ林床には日がほとんど射さないので、太陽熱ではなく排泄直後の糞の体温のせいで雪が少し溶けたのだと思われます。 

この日は他の地点の溜め糞場も見て回ったのですが、根雪が積もった後なので、糞虫類はおろかハエ類も全く来ていませんでした。 
ところが、ここではタヌキの糞塊にユスリカの仲間が数匹集まっていたので、非常に驚きました。 

このユスリカは、獣糞の表面から吸汁しているのでしょうか? 
口元をマクロレンズで接写すべきでしたね。 
平凡社『日本動物大百科9昆虫II』を紐解いてユスリカ類について調べると、
成虫は摂食をしないものと考えられていたが、花の蜜の吸汁、飼育下で蜂蜜溶液などをなめるという事実の観察から、この考えは訂正された。実際、成虫の口器の形態は、液状の物質を摂取していることを明確に裏づけている。(p126より引用)
動画を注意深く見直すと、糞上を歩き回るユスリカが先の尖った腹端をチョンチョンと糞に付けていました。 
ユスリカ♂の触角はブラシ状に発達しているはずですから、♀が産卵しているのだと謎が解けました。 
孵化した幼虫が冬の間にタヌキの糞を食べてゆっくり育つのでしょう。

溜め糞の周囲の雪面を徘徊する個体もいますが、雪上は気温が低くて風もやや強いので、飛べないようです。 
現場で気温を測るべきでしたね…。 
厳冬期の雪上生活に適応するために翅を退化させた昆虫もいますけど、今回見つけたユスリカには翅があるので、晴れて暖かい日には普通に飛び回るのでしょう。

ネット検索で調べてみると、フユユスリカ属という名前からして魅力的なグループがいるそうです。

参考サイト:
フユユスリカは、フユユスリカ属に分類される体長4~5mmほどの小さなユスリカの仲間で、名前のとおり、冬になると川から羽化して成虫となります。

近藤繁生「深泥池のビワフユユスリカ(新称) Hydrobaenus biwaquartus について」ため池の自然 No. 37(2003) によると、
フユユスリカは、エリユスリカ亜科フユユスリカ属Hydrobaenus に含まれるユスリカで、わが国では、現在およそ30種の成虫が記録されている(佐々, 1998) が、幼虫については 4 種が知られているにすぎない(山本, 2001)。本属の幼虫は一般的に貧栄養の湖や河川の沿岸帯に生息し、休眠のため 2 令で繭を形成することが知られている。

 

ただし、今回はユスリカを採集してないので、しっかり同定した訳ではありません。
雪国の冬季(積雪期)に見かけたからと言って、フユユスリカの一種とは限らない? 
他の季節にタヌキの溜め糞場でユスリカを見かけないのは、一体なぜでしょう? 
ハエ類など優占種に追い払われてしまうのかな? 
フユユスリカが特に耐寒性を獲得した秘密も不思議です。 
捕食者(捕食性昆虫)の居ない冬季は生存に有利なのでしょう。 

ここ数年、タヌキの溜め糞場に集まる虫たちを重点的に観察してきたので、当地で見れる登場メンバー(「うんちレストラン」の常連客)はほぼ見尽くしただろうという自負がありました。 
それでもなお、観察する時期や時間帯を変えれば驚くような発見が未だ残っていて、自然観察は奥が深いとつくづく痛感しました。 

後日、この地点にトレイルカメラを設置して、本当にタヌキが排便に通ってきていることを確かめました。 









【追記】
どうやらタヌキ以外の動物の糞にも集まるようです。


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