2023/03/16

タヌキの溜め糞に集まる様々なハエ類に序列はあるか?

 



2022年9月中旬・午後13:45頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の尾根道に残した溜め糞場cに集まるハエ類をマクロレンズで接写しています。 
オオマダラヒロクチバエEuprosopia grahami)が地面を歩き回っています。 
なぜか迂回するようにぐるっと回り込んでからタヌキの溜め糞に到着しました。 
溜め糞で待ち伏せている肉食性のハネカクシ類に捕食されないように警戒しているのかもしれません。
関連記事(9日前の撮影)▶ アカバトガリオオズハネカクシがタヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せオオマダラヒロクチバエを狩る
タヌキの糞塊にようやく到達すると、オオマダラヒロクチバエは口吻を伸縮させて獣糞を舐め始めました。 
ズカズカと近づくと先客のキンバエ(青緑色:種名不詳)は飛んで逃げました。 
(先客を追い払った?) 

タヌキの糞を吸汁するオオマダラヒロクチバエの左後ろからツヤホソバエ科(Sepsis sp.)が乱入しました。
Sepsisは両翅を激しく振り立てる動きでオオマダラヒロクチバエを牽制しました。 
うんちレストランから追い払った訳ではなく、Sepsisは通り過ぎただけでした。 

今回登場したハエ3種の体格を比べると、Sepsis sp.<キンバエsp.<オオマダラヒロクチバエ でした。 
ところで、「ハナアブ類のあいだには、種類により花を利用するさいの優劣関係がある。優位の昆虫が来たら席をゆずる」ことが知られているそうです。
(田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』p113-114より) 
樹液酒場に集まる昆虫類の間に力関係の序列があるのは有名ですが、訪花するハナアブ類にも序列があるとは驚きました。 
それなら獣糞に集まる糞食性のハエ類の間にも餌資源をめぐる争いや序列があっても不思議ではありません。
ハネフリバエ科Euxesta sp.やツヤホソバエ科Sepsis sp.が翅を盛んに振り立てる謎の誇示行動は、体格のハンディキャップを補って異種間の縄張り争い(牽制)を少しでも有利に運ぶためにやっているのかもしれません。 
ハエには武器がありませんから、派手な異種格闘戦や「糞山の大将」を目指すバトルロイヤル(喧嘩・闘争)にはなりません。
それでも地道に動画撮影して、獣糞上でハエ同士がニアミスする度にどちらが逃げたかを丹念に記録すれば、何か傾向が見えてくるかな?

2023/03/15

野ネズミはカラマツの根元でアリジゴクを捕食するか?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月下旬・夜 

里山で雑木林の斜面に立つ泥汚れのついたカラマツの木を自動センサーカメラで見張っていると、ときどき野ネズミ(ノネズミ)が写ります。 

シーン0:9/19・午後14:18・くもり 
明るい日中の現場の様子です。 


シーン1:9/22・午後21:10・雨 (@0:04〜) 
画面の赤丸で囲ったところ(右上隅)を注目してください。 
野ネズミが雑木林の斜面を駆け上って行きました。 
ネズミのような体の小さな哺乳類が雨に濡れたらすぐ低体温症になるのではないかと素人考えでは心配になるのですが、実際は雨夜でも変わらず採餌活動に励むようです。 

ちなみに、カラマツの幹が根元付近で強く湾曲している(多雪地帯の山林に特有の樹形)ために、雨が降っても根本の地面はオーバーハングした幹に遮られて濡れません。 
標高が高い場所になると、しばしば矮小な木がねじ曲がった樹形となり、風の強い海岸地では風衝形を呈したものが見られる[10]。(wikipedia:カラマツより引用)

シーン2:9/22・午後21:27・(@0:12〜) 
雨が止んで、うっすらと霧がかかっているようです。 
画面の左端から白く光る目が現れました。 
野ネズミが走って左から右へ斜面をトラバース。 


シーン3:9/24・午前00:17・雨 (@0:27〜) 
雨が降る深夜に野ネズミが採餌活動しています。 
シシガシラという羊歯などの下草が生えている画面右上の斜面で食べ物を探し歩いています。


シーン4:9/24・午後21:09 (@0:44〜) 
画面の左下から野ネズミが登場。 
斜面を登って泥カラマツの根本に辿り着くと、乾いた土の地面を少し掘りました。 
ドングリなどの木の実(堅果)を運んでいた訳ではないので、貯食行動ではありません。
すり鉢状の巣穴がいくつも出来ています。
9月上旬の撮影

泥カラマツの根本の地面は前述のように常に乾いているため、その立地を利用してアリジゴク(蟻地獄)が営巣しています。 
アリジゴクの群れがすり鉢状の巣穴を掘って耕すために、集団営巣地の土はサラサラです。 
もしかすると、野ネズミは闇夜にアリジゴクの巣を見つけてウスバカゲロウの幼虫を掘り出して捕食したのかもしれません。
残念ながら、後ろ姿ではよく分かりません。 
その後、野ネズミはカラマツの左の斜面を登って行きました。 
もしアリジゴクを捕食したのなら、野ネズミは味をしめて(学習して)集団営巣地に狩りをしに繰り返し通ってくるはずですけど、どうでしょうか? 


シーン5:9/24・午後21:46 (@1:11〜) 
37分後、赤い丸の中にご注目。 
シシガシラに覆われた斜面を野ネズミが登って行き、すぐに姿を消しました。 


シーン6:9/25・午前00:20 (@1:19〜) 
泥カラマツの幹の背後にときどき隠れながら、右上の斜面をチョロチョロと徘徊しています。 
最後はカラマツの左の斜面に移動しました。 


※ 動画編集時に一部は自動色調補正を施しています。 


【追記】
飼育下の野ネズミに試しにアリジゴクを与えて捕食するかどうか実験することはできそうです。



マルバハッカで訪花吸蜜するベニシジミ夏型♂【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年7月中旬・午後15:45頃・晴れ  

山麓の農村部の道端に咲いたマルバハッカ(別名アップルミント)の群落で、夏型のベニシジミ♂(Lycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
腹部が細く、前翅の翅頂が尖っているので、♂のようです。 
翅を半開きのまま吸蜜しています。 

訪花中に後翅を左右交互にゆっくり動かしています。 
ベニシジミは尾状突起を持ちませんが、よく見ると痕跡のような短い尾状突起があります。 
ベニシジミでは尾状突起が退化したのか、それとも自己擬態するシジミチョウ類の前適応の段階にあるのでしょうか?
日本産ベニシジミ科全種の分子系統樹が解明されていれば、それを元に議論(推測)できるのですが、 なぜか未だ無いようです。

左前翅が引っかき傷で深く切れているものの、飛翔に支障は無いようです。 
花から花へ飛んで移動するだけでなく、隣接する花穂には渡り歩いて吸蜜を続けます。 

アップルミントの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:43〜) 
たまたま近くで獲物を待ち伏せしていたハエトリグモとの関係が面白かったです。 
ハエトリグモにはピントが合わず、種名まで分かりません。 
マルバハッカの花蜜を吸っているベニシジミ♂の背後でハエトリグモが蔓植物(ボタンヅル?)の葉に乗っていました。 
ベニシジミの方をしっかり凝視しています。 
ベニシジミ♂が飛び立った直後、奥で見ていたハエトリグモがビクッと動きました。 
跳びついて捕食するには距離が遠過ぎるのでしょう。(ハエトリグモの射程範囲外) 
再度ベニシジミが飛び去った際にもハエトリグモは目で追いました。(@2:00〜) 
(ハエトリグモは眼球だけ動かすことができないので、体ごと向き直ります。) 

実はベニシジミが居た花穂には別個体の小さなハエトリグモも潜んでいました。 
歩脚が黄色いので、ウスリーハエトリHeliophanus ussuricus)かもしれません。 
ベニシジミが2回目に飛び去った直後(@2:00〜)、ウスリーハエトリ?はアップルミントの花穂から隣の葉先へ跳び移り、更に葉裏からしおり糸を引いて懸垂下降しました。 
ハエトリグモが狩る獲物としては、ベニシジミは大き過ぎる気がします。

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