2023/03/03

クルマバナの花蜜を吸うウラギンスジヒョウモン♂

 

2022年7月中旬・午前11:30頃・晴れ

休耕田に咲いたクルマバナの群落でウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome laodice japonica)が訪花していました。 
翅を開閉しながら口吻を伸ばして吸蜜しています。

2023/03/02

スズメバチが飛来しても怯まずに払い除ける樹上のニホンザル

 


2022年9月中旬・午前11:15頃・くもり 

林道脇でコナラの二又になった部分の枝に腰掛けた若いニホンザルMacaca fuscata fuscata)が体を手でボリボリ掻きながら、咀嚼したノブドウ果実の残渣を吐き出しています。 
そこへ左からスズメバチのワーカー♀が飛来しました。 
樹上にスズメバチの巣があって猿を攻撃しに来たという訳ではありません。
猿が食べていたノブドウ果実の糖度は、スズメバチを誘引するほど高いはずがありません。 
コナラの枝から甘い樹液が少し滲んでいたのかもしれません。 
(私の鼻では樹液の発酵臭は嗅ぎ取れませんでした。)
1/5倍速のスローモーションでリプレイしても(@1:03〜)、スズメバチの種類をしっかり見分けられませんでした。 
ニホンザルはスズメバチを恐れる素振りもなく、無邪気に右手を軽く振って追い払いました。
 咄嗟に蜂を手掴みしようとしたのかもしれません。 
これは我々ヒトがスズメバチと遭遇した際に絶対やってはいけないことです。 
飛んでいるスズメバチが顔に向かってこられるとどうしても反射的に腕を振り回したくなるのですが、特にスズメバチの巣の近くでこれをやると蜂を一層怒らせることになります。
怒った蜂は警戒フェロモンを放出して仲間を呼び寄せることになって致命的です。 
野外でスズメバチと出会ったときの対処法は、鉄の意志で身を固くして動きを止めて(フリーズ)スズメバチをやり過ごすか、ゆっくり後退するしかありません。
話が少し逸れましたが、毒針をもつ有剣類の蜂がせっかく黄色と黒の縞模様(警告色)でミューラー型擬態しているのに、ニホンザルには恐怖を抱かせる効果があまりなかったことになります。 
このニホンザル個体はスズメバチの怖さを未だ学習してない(刺されて痛い目にあった経験がない)のでしょう。
しかし、スロー再生すると一瞬だけ歯を剥き出したのは軽い恐怖の現れなのかな? 



その後、ニホンザルは手に持っていた何か黒い謎の塊を口に運びました。 
手前の枝が邪魔で採食メニューの正体を見極めることができません。 
なんとなく、樹皮から剥ぎ取ったキノコを食べたような気がするのですけど、どうでしょうか? 
オニグルミの腐りかけた果実のようにも見えますが、堅果の回りの黒ずんだ果皮はタンニンが渋くてとても食べられないはずです。 
口を使ってオニグルミの果皮を剥いだところで、硬い殻を割って食べる方法を猿は知っているのでしょうか? 
賢いカラスは高いところから硬い路面に繰り返し落としてその衝撃でクルミの殻を割り、中身を食べます。 
ニホンザルは硬い石や枝をハンマーのように打ち付けてクルミを叩き割るしかないはずですが、私は未だ彼らの道具使用を実際に見たことがありません。 
このニホンザルは若い個体ですから好奇心が旺盛で、採食中に遊び半分でクルミの実を弄んでいただけかもしれません。
ちなみに、猿が登っていたコナラの枝には未熟なドングリが大量に実っていました。 

最後はおまけの映像です。
(おそらく)同一個体が木から木へ渡り歩いたり、しつこく撮影する私に嫌気が差して木から地上に下りて走り去るところまで見届けました。

タヌキの溜め糞を崩し、後ろ向きに転がして巣穴に運ぶセンチコガネ

 

2022年9月中旬・午後12:00頃・晴れ・気温33℃ 

溜め糞場sを長期監視するトレイルカメラの電池を交換するために、里山のスギ林道にやって来ました。 
枯れたスギ落ち葉および落枝の上に、水気の多い緩い軟便がこんもりと残されていました。 
監視カメラの映像をその場でチェックすると、この位置に排便したのはアナグマではなくホンドタヌキNyctereutes viverrinus)と判明。 

タヌキの糞塊で1匹のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)がせっせと働いていました。 
頭楯の前縁が半円形なので、オオセンチコガネではなくセンチコガネと見分けられます。 
柔らかい糞塊をほぐして小さな塊に切り分けると、前脚で糞玉を手前に掻き寄せるように転がしながら後ろ向きに(後ずさり)運んでいました。 
どうやら糞塊のすぐ横のスギ落ち葉の下にセンチコガネの巣穴があるようです。 
しばらく待つと、センチコガネが再び巣口から顔を出し、次の糞玉を採取しに向かいます。
糞塊上で奮闘しているセンチコガネが腹面を向けてくれました。 
腹面は鈍い青緑色の金属光沢があります(構造色)。 
この搬入(糞ころがし)を何度も繰り返す結果、タヌキの溜め糞は次第に地中へ埋められて食べ尽くされてしまいます。
 
関連記事(2ヶ月前の撮影@同地点)▶ タヌキの溜め糞場から糞の欠片を後ろ向きに転がして運ぶオオセンチコガネ

ハエ類は緑と青のキンバエ(種名不詳)やオオマダラヒロクチバエ、キバネクロバエ?の他、メタリックに輝く微小のハエも溜め糞場に来て、獣糞を舐めていました。(吸汁) 
♀のハエは溜め糞に卵を産み付けるはずですが、ハエの産卵シーンは未だ見たことがありません。 

アカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)およびサビハネカクシOntholestes gracilis)が糞塊を徘徊し、ハエなどの獲物を狩るチャンスを虎視眈々と狙っています(獲物を待ち伏せ)。 
アカバトガリオオズハネカクシがミドリキンバエ?の狩りに失敗した直後にセンチコガネの後を追って巣穴に侵入することもありました。 
しかし肉食性のハネカクシも硬い甲冑で身を守る糞虫には歯が立たないはずです。 
まさかセンチコガネの卵や幼虫を捕食するのかな? 
いつかファイバースコープを使って、センチコガネの巣内を観察してみたいものです。 (巣穴に差し込んでも先端のレンズがすぐに汚れてしまって撮影は無理なのかな?)

ムネアカオオアリ♀やもっと微小なアカアリ(種名不詳)も溜め糞場sに来ていました。 

タヌキの溜め糞には多種多様な虫が訪れ、複雑な食物連鎖の生態系が成立していることがよく分かります。 

ランダムに記事を読む