2022年8月下旬
里山のスギ林道にある溜め糞場sを自動撮影カメラで見張っている記録です。
シーン1:8/25・午後19:26・気温21℃
林道を右から来たニホンアナグマ(Meles anakuma)が下草の匂いを嗅ぎながら自分たちの溜め糞場に近づくと、左を向いたまま脱糞しました。
暗視カメラが照射する赤外線が強過ぎるのか、白飛びしてアナグマの顔に縦縞がよく見えません。
縦縞が薄い個体なのかな?
カメラの設定で赤外線LEDの光量を調節できると知ったので、少し下げてみることも検討します。
今回のアナグマは排便しながら前進し、林道上に糞を点々と撒き散らしました。
ただし、タヌキの溜め糞の上に重ねてアナグマが脱糞することはありません。
この行動はアナグマに特有なのか、タヌキでは見たことがありません。
アナグマの排便は縄張り宣言のための匂い付けという意味合いが強いのかもしれません。
林道を左に立ち去る前に、アナグマはスギの木の根元に生えた下草に尻を擦り付けました。
排便直後の肛門周りを下草で拭いているようにも見えますが、この行動はしゃがむ姿勢で肛門付近の臭腺を擦り付けるアナグマに特有な匂い付けの行動(スクワットマーキング)なのだそうです。
ここはタヌキと共有している溜め糞場なので、アナグマはタヌキに対抗して匂いを強くアピールする必要があるのかもしれません。
つまり、自分の糞や臭腺の匂いで結界を張っているのでしょう。
実際に、画面の手前半分がタヌキの領域、奥の半分がアナグマの領域という風に2種は棲み分けています。
シーン2:8/26・午後21:37・気温23℃ (@0:15〜)
翌日の晩、左から走ってきたホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)が溜め糞場sで排便せずに素通りしました。
それよりも注目すべきは、赤丸で囲んだ前日にアナグマが残した糞です。
1匹の黒い糞虫がアナグマの糞塊から離れ、スギの落葉で覆われた林道を右に歩き去りました。
動きが遅いので、5倍速の早回し映像に加工しました。
センチコガネまたはオオセンチコガネだと思うのですが、定かではありません。
糞塊の横をタヌキが通りかかったから糞虫が慌てて逃げ出した、という訳でもなさそうです。
糞塊の近くに巣穴を構えて、そこに帰るところだったのでしょう。
糞虫は巣穴と糞塊を往復していると考えられますが、今回撮れたのは糞に向かうシーンではなく、逆に糞から離れるシーンでした。
糞虫は変温動物ですから、いくら活発に獣糞の分解活動に励んでいてもトレイルカメラのセンサーは感知できません。
たまたま恒温動物(哺乳類や野鳥)が通りかかったときの監視動画に、糞虫が写っていればラッキーです。
夜でも糞虫が溜め糞場に続々と飛来するのかと予想していたのですが、そのようなシーンは未だ一度も撮れていません。
つづく→同じ日に溜め糞場を別々に訪れる2頭のニホンアナグマ(顔白、顔黒)【トレイルカメラ:暗視映像】
関連記事(1月前の撮影)▶
・アナグマとタヌキの溜め糞に向かって歩く夜行性の糞虫【トレイルカメラ:暗視映像:5倍速】
・トレイルカメラが捉えたオオセンチコガネの糞転がし行動【5倍速映像】