2022/11/19

アナグマとタヌキの溜め糞に向かって歩く夜行性の糞虫【トレイルカメラ:暗視映像:5倍速】

 

2022年7月下旬 


里山にあるスギ林道上でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)とニホンアナグマMeles anakuma)が共有している溜め糞場sをトレイルカメラ(自動撮影カメラ)で長期監視しています。 
林道上に転がっている長いスギ落枝のすぐ右隣(画面中央)に黒々と見えるのがアナグマの糞塊で、落枝の左下にあるのがタヌキの糞塊です。 
夜に記録された暗視映像の中で、糞虫の活動をまとめてみました。 
変温動物の糞虫が暗闇で動き回ってもトレイルカメラは反応しませんが、恒温動物(哺乳類)がたまたま林道を通りかかると熱源の動体検知センサーによって監視カメラが起動します。 

シーン1:7/21・午後22:07 
スギの落葉が大量に散乱している林道上を黒くて小さな謎の甲虫がゆっくり歩いていました。(赤い矢印に注目) 
5倍速の早回しでまずはご覧ください。(@0:00〜) 
後に等倍速でリプレイ。(@0:41〜) 
アナグマが排泄した溜め糞に向かっているようですが、到着前に録画が切れてしまい残念。
おそらく糞虫の仲間がアナグマの糞便臭に誘引されてきたのでしょう。 


シーン2:7/23・午前2:30 
2日後の深夜、カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
林道を右から歩いて来た謎の甲虫がアナグマの溜め糞に到着しました。(赤い矢印が示す黒点に注目) 
5倍速の早回しでまずはご覧ください。 (@0:20〜) 
後に等倍速でリプレイ。(@2:08〜) 


シーン3:7/29・午後19:36  
更に6日後の晩、何が原因でカメラが起動したのか謎です。 
5倍速の早回しでご覧ください。(@3:41〜) 
林道上の巣穴から出てきた虫がタヌキの溜め糞に向かって歩いています。 (赤い矢印で示すのを忘れました…。)
地面がスギの落葉に覆われていて、かなり歩きにくそうです。 
糞塊に辿り着く前に残念ながら尻切れトンボになってしまいました。 



アナグマの糞に来る糞虫と、タヌキの糞に集まる糞虫では、種類が微妙に異なるのでしょうか? 
嗜好性があるのなら面白い話です。 
単純に糞の鮮度の問題かもしれません。

夜行性の糞虫が溜め糞に飛来するシーンはトレイルカメラで未だ撮れたことがありません。 
いつも必ず林床を歩いて溜め糞に向かいます。 
糞虫に関する本を読むと、「夜でも糞塊に飛来する」と書いてあるのですが、私のフィールドでは確認できていません。
新たに飛来した個体ではなく、近くに巣穴を構えている個体が夜も歩いて糞塊に通っているのでしょう。
夜に現場入りして糞虫の活動を直接観察したいところですが、この林道をツキノワグマが往来することが判明したので、無理は出来ません。 

徘徊性の甲虫にとって長いスギ落枝が障壁になっている可能性があります。 
例えば「糞転がし」をするオオセンチコガネは、道中にある太い落枝が障害物となり、乗り越えることができません。 
落枝を境にアナグマとタヌキが反対側に(少し離れて別々に)溜め糞を形成しています。 
夜行性の動物が暗闇でこの落枝に躓いたり、野ネズミが長い落枝を蛇だと勘違いしてパニックになったりしています。 
自然界の営みに私はなるべく介入したくないのですけど、後日この長いスギ落枝を林道上から取り除きました。



0 件のコメント:

コメントを投稿

ランダムに記事を読む