2022/06/12

食後に雪面を走り回るイオウイロハシリグモ(蜘蛛)

前回の記事:▶ ガガンボを捕食する雪国のイオウイロハシリグモ(蜘蛛)
2021年12月上旬・午後12:30頃・晴れ 

食後のイオウイロハシリグモDolomedes sulfureus)亜成体はクローバーの葉の上に乗って休んでいました。 
横から口元を見ても獲物はもう見えません。 
クモの食事は体外消化で固形物を飲み込むことはありません。 
食べ残したガガンボの残渣があるはずなのに、それを捨てるシーンを見届けられませんでした。 
食後の身繕いも見ていません。 

のんびり日光浴しているクモのすぐ目の前の枯草で微小な虫(トビムシの仲間?)が徘徊しています。
しかし、満腹したクモは飛びかかって狩ろうとしません。 

やがてクモが草の茂みの中をウロウロと徘徊し始めました。 
草の下に潜り込む際に腹部の下面がちらっと見えたのですが、外雌器の有無は確認できませんでした。 
触肢は♀タイプで、時期的におそらく亜成体だと思います。 
黒光りする大顎(牙)が目立ちます。 

遂にイオウイロハシリグモは残雪の上を走り出しました。 
残雪から露出したパッチ状の草地を渡り歩いています。 
草の根際に開いた穴に潜り込んだり雪面にまた出てきたりと、活発に徘徊しています。 
右の第2および第3歩脚が根元から欠損した6本脚の個体でも歩行に支障はありません。 

※ 基本的に映像素材を時系列順に並べただけですが、最後のシーン(@1:38〜)だけは一番始めに(獲物を捕食する前に)この個体を見つけたときの様子です。ついでに追加しておきました。 


2022/06/11

凍った雪面を夕方に散歩する雪国のイエネコ

 

2022年2月中旬・午後17:10頃・晴れ

表面がガリガリに凍った雪面にイエネコFelis silvestris catus)が立ち止まっていました。 
キジトラの去勢♂です。 
猫は体重が軽いこともあり、この雪質では足が沈みません。

尻尾の先を左右にくねらせながら、前方の一点を見つめています。 
何か獲物を狙っているのでしょうか? 
猫の目線の先にある細い水路の中でたまにカルガモが隠れて休んでいることがあるのですけど、今回は撮影アングルが悪くて私からは見えませんでした。 
実は撮影を始める前からナーゴ、ナーゴ♪と猫が頻りに鳴く声がしていたので、もう1匹の猫がどこか近くに潜んでいるのかもしれません。

やがてキジトラ♂は雪原をゆっくり歩き始めました。 
ヒトが歩いた足跡が雪に深く潜ったまま凍って凸凹しており、猫にとっては歩きにくそうです。 
画面手前から別個体のネコの鳴き声がして、キジトラ♂は振り返りました。 
手前の落葉樹の枝が邪魔で肝心の猫にピントがなかなか合いません(前ピン状態)。

キジトラ♂は雪原に隣接する駐車場にようやく到達しました。 
雪原から駐車場に降りる際に後ろ姿の股間に去勢された睾丸の跡がはっきり見えました。 
駐車場はきれいに除雪されていて、舗装路が露出しています。
キジトラ♂は駐車場を右へトコトコ歩いて行きます。 
手前の立木の陰に隠れてから猫の姿を見失ってしまいました。 
ここで私は撮影を終えたのですけど、実はキジトラ♂は逆方向に引き返して隣の雪原に侵入していました。 
私がこっそり隠し撮りしていることにキジトラは気づいていて、フェイントをかけたのではないか?という気がしてなりません。
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「猫は炬燵で丸くなる」と童謡で歌われるように、猫は寒がりだという固定観念をもつ人が多いかもしれません。 
しかし雪国の猫は意外にたくましくて、昼も夜も厳冬期の雪原を元気に歩き回ることが分かりました。 
これは若い猫だからこそで、老いた猫は億劫(寒がり)になって雪原を巡回しなくなるのかもしれません。

2022/06/10

ガガンボを捕食する雪国のイオウイロハシリグモ(蜘蛛)

 

2021年12月上旬・午後12:15頃・晴れ 

山麓を流れる用水路(※)沿いの土手にうっすらと雪が積もりました。 
※ 暗渠でしかも、この時期は水が流れていません。
未だ根雪になる前なので、ところどころ緑の草が雪に埋もれずに顔を出しています。 
パッチ状の草の上でイオウイロハシリグモDolomedes sulfureus)が日光浴していました。 
右の第2および第3歩脚が根元から欠損した個体で、おそらく亜成体と思われます。 

イオウイロハシリグモの目の前に大型のガガンボの一種が飛来し、まるで吸い寄せられるようにクモの近くの雪上に着陸しました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
このガガンボの種類を見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて頂けると助かります。 

ガガンボは翅を畳むと、草の葉をよじ登り始めました。 
その振動を感知したイオウイロハシリグモは、獲物に素早く駆け寄ってあっさり捕獲に成功しました。 
これは待ち伏せ型の狩りと言えるでしょうか。
電光石火の早業をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
12年前も昔にイオウイロハシリグモを飼育したことがあるのですけど、当時も狩りの瞬間は観察できておらず、今回が初見です。 
クモは触肢と第1脚で獲物を素早く押さえ込んでいます。 
ガガンボの細長い腹部に噛みついて毒液を注入し、吸汁を始めたようです。 
今回の狩りでは、腹端の糸疣から絹糸を出して獲物を簀巻きにすることはありませんでした。

ガガンボの長い翅が邪魔で持て余しています。 
クモはガガンボの翅を食事中に噛み切って捨てるかと思いきや、クシャクシャに丸めながら吸汁を続けました。 

後半は撮影アングルを少し変更しました。 
イオウイロハシリグモの大顎と触肢がかすかに動いているものの、背側から見下ろすアングルでは小さく丸めた獲物の状態がよく見えません。 

クモは越冬する前に、凍結防止のため絶食して胃腸を空っぽにするはずです。 
雪が積もる時期になっても未だ食欲があるとは意外でした。 
長い冬越しに備えて、獲物をたくさん食べて脂肪を蓄えているのでしょう。 

食餌中もクモは太陽に対して正対し、直射日光をしっかり背中に受けています。 
周囲は残雪ですから、日光浴で体温を上げているのでしょう。 
クモの体温が上がれば消化活動も活発になるはずです。
撮影直後に気温や雪面の温度を測ったのですが、その値を記した野帳を紛失してしまいました…。 



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