2019年9月下旬・午前11:15頃
川の本流に注ぐ浅い水路で複数のミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)ペアが連結打水産卵していました。(映像公開予定)
尾繋がり(連結態)のままコンクリート護岸に静止ししている♀♂ペアを見つけました。
疲労困憊で休んでいるのでしょうか?
飛び立つ瞬間を狙って撮った240-fpsのハイスピード動画を撮ってみました。
♀は腹端を水中に浸しているのですが、産卵中なのかどうか不明です。
しばらくすると♂が先に羽ばたき、♀を空中に引き揚げました。
続いて♀も羽ばたいたので、死んではいませんでした。
その後は普通通り、連結打水産卵を再開しました。
少し離れたコンクリートブロックに連結態(尾繋がり)のまま休憩している別の♀♂ペアを発見。
♀の腹端が死角で見えないのが残念です。(産卵中?)
しばらくすると♀が羽ばたいて離陸を試みるものの、♂は疲れ切っているのか無反応でした。
♀にしてみればペアを解消して元気な♂と組み直したいかもしれません。
やがて♂が先に羽ばたき、♀を引き揚げるように離陸しました。
連結打水産卵を再開したはずですが、見失いました。
wikipediaでミヤマアカネを調べると、まさに今回観察したことが記載されていました。
産卵の途中で「キ」の字に連なったまま植物などにつかまり休息することも多い。
▼関連記事(9日前に別の水路で撮影)
用水路で連結打水産卵するミヤマアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】
2019年9月下旬・午後14:40頃
郊外の民家の庭先に咲いたニラの群落でヤマトシジミ♂(Zizeeria maha)が訪花していました。
普通種ですが、この組み合わせは初見です。
よく似たルリシジミの方をたまたま先に知った私は、今回もうっかり誤同定するところでした。
翅裏の斑点模様を図鑑とよく見比べると、ルリシジミではなくヤマトシジミでした。
翅を閉じたまま花序の上で向きを変えたり少し歩いたりしながら、口吻を次々に花へ挿し込んで吸蜜しています。
本種は尾状突起が無いのに左右の翅を互いに前後に擦り合わせている行動が、いつ見ても不思議です。
尾状突起を持つシジミチョウ科でよく見られる自己擬態行動が進化してくるための前適応なのか、それともヤマトシジミでは尾状突起が退化したのか、エコエボデボの研究で誰か解明して欲しいものです。
あるいは、翅表の鱗粉から♀を誘引する性フェロモンを放出するために擦り合わせている、という大胆な仮説はどうでしょう?
翅を閉じていると、ヤマトシジミの性別が見分けられません。
翅表の色を確認するために、花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@4:08〜)
羽ばたいた翅表の青が薄かったので、♂とようやく判明しました。
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ヤマトシジミ♂@ニラ訪花吸蜜 |
2019年9月下旬・午後13:25頃・晴れ
川沿いのコンクリート護岸を繰り返し探索飛翔している微小な蜂がいました。
セイボウ科という寄生バチの美麗種で、頭部および胸部は金属光沢の青色、腹部全体がメタリックな赤色に輝いていました。
セイボウの仲間について疎いのですが、リンネセイボウ♀(Chrysis ignita)ですかね?
生物分類学の父リンネが学名をつけた由緒正しい蜂です。
コンクリート表面の小孔を念入りに探索している様子です。
行動から、寄主の巣を探索中の♀だと思います。(まさか♂の探雌行動ではないですよね?)
リンネセイボウの寄主はオオフタオビドロバチ♀♂(Anterhynchium flavomarginatum)などのドロバチ類なのだそうです。
私が見張っていたツルガハキリバチ?の巣穴を見つけて巣口に着陸。
借坑性のドロバチ類が営巣していても不思議ではない穴なのに、リンネセイボウ♀はなぜか穴の中には侵入せずに飛び去りました。
既に侵入・物色済みなのか、それとも寄主の泥巣の有無は匂いを嗅いだだけで分かるのでしょうか?
(実はこの穴の奥にはトックリバチの泥巣らしい構造物もありました。)
日本産セイボウ類の中でハキリバチ類に寄生した記録が報告されているのは、今のところオオセイボウだけなのだそうです。
【参考文献】寺山守, 須田博久, and 田埜正. "日本のセイボウ--飛ぶ宝石." 月刊むし 472 (2010): 2-15. (インターネット上でPDFファイルを無料ダウンロード可)
ちなみに、日本のセイボウ類には分類学的な問題が未だ残っているらしい。
リンネセイボウはユーラシア大陸に広く分布する種であるが、数多くの亜種が記載されており、研究者によってはそれらのいくつかを独立種とみなすといったように、種の認定の難しさを示している。日本でも、ここでは1種としておいたが、実体として複数の同胞種から構成されている可能性もある。(同文献p15より引用)
その後はようやく立ち止まり、しばらく身繕いをしました。(@5:18 〜 5:24)
とにかく被写体が微小で忙しなく飛び回るため、蜂に振り回され、動画撮影は至難の業です。
むきになっても超絶級の難易度でした。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
後半は等倍速でリプレイ。(@4:08〜)
リアルタイムの動画を見ても目が回りそうで、何のことやらさっぱり分からないでしょう。
それでもガッカリして動画ファイルを捨てたりしてはいけません。
せっかく撮った素材をスローモーション加工すると結構見応えのある映像になるので、オススメです。
私の経験では、4K動画など無闇に高画質で撮るよりも、フレームレートを60fps(またはそれ以上)のFHD動画で撮影するのが、生き物の素早い行動を記録する上でポイントだと思います。
240-fpsのハイスピード動画でも飛び立つ瞬間をなんとか撮れました。(@3:59〜4:07)
ピントが合う前に素早く飛び去ってしまい、失敗続きでした。
撮影後にビニール袋を使って採集を試みたのですが、失敗して逃げられました。
捕虫網が無いと無理ですね。
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リンネセイボウ♀@コンクリート護岸 |
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リンネセイボウ♀@コンクリート護岸+飛翔 |