2019/04/18

珍しい色(中間型)のコカマキリ♀を見つけた!



2018年10月中旬

郊外の路上で見慣れない色のカマキリが居ました。
私が近づくと静止し、私を見上げています。
複眼の中央にある偽瞳孔が昼間なのに黒く、やや広がっています。
飼育経験からすると、寿命が近いのかもしれません。
元気なカマキリなら私の動きに合わせて顔を動かすはずなのに、私が回り込んでもこのカマキリは顔の向きが変わりませんでした。

私が指を近づけると体を左右に揺すりました。
そのまま指で触れると慌てて逃げ出しました。
慌てたせいか、路上に転んで擬死(死んだふり)しました。
(これも老化現象だったりして…?)

パッと見ただけではこのカマキリの種類が分からず、一時的に捕獲することにしました。
手掴みすると鎌を構え、翅を広げて威嚇します。
よくよく調べると、コカマキリ♀(Statilia maculata)でした。
通常のコカマキリは茶色ですが、珍しい緑色型が稀にいると聞いています。
しかし、今回の個体はその中間のような色をしています。

そっと離すと自分から地面に飛び降り逃げて行きました。
車に轢かれないように、撮影後に改めて道端の草むらへ放り投げてやりました。


保育社『検索入門:セミ・バッタ』という図鑑でコカマキリについて調べると、

褐色型は明るい黄土色から暗黒褐色までさまざまで、個体に寄る濃淡の差が大きい。淡色の個体では、紅色味をおびることがある。後翅は体色に準じた褐色で網目状の模様を現すが、その発達程度は個体差が大きい。褐色型の場合、前胸背にある黒色帯はふつう明瞭に発現する。緑色型の個体は少ない。緑色型の後翅は、ほぼ無紋で半透明。前胸腹板の黒色帯は発現しない。体全体が赤褐色味をおびた緑色で、後翅には褐色の網目状の模様が明瞭な、中間型と思われる個体がまれに見られる。(p156-157より引用)

どうやら、今回の個体は中間型の体色らしいです。

もう一つ、図鑑を読んで初めて知ったのは分布についでです。
「本州では山形県・宮城県以西」とのこと。
私のフィールドでコカマキリはありふれた普通種ですが、分布の北限に近いのだそうです。




※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


コカマキリ♀緑色(中間)型@路上
コカマキリ♀緑色(中間)型@路上

2019/04/17

ウラナミシジミ♀が後翅を擦り合わせる訳とは?



2018年10月中旬

水路沿いに咲いたセイタカアワダチソウの群落でウラナミシジミ♀(Lampides boeticus)を見つけました。


▼前回の記事(2ヶ月前の8月中旬に撮影)
尾状突起を破損したウラナミシジミの飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】

東北地方をフィールドとする私にとってウラナミシジミは去年まで一度も見たことのなかった珍しい蝶なのですが、今年になってこれが早くも2頭目の出会いとなります。
本種はツマグロヒョウモンと同じく南方系で渡りをする蝶ですから、今年の夏の猛暑や地球温暖化を利用して北進中なのでしょう。



この個体は訪花中ではなく、翅を閉じて蕾に止まり休んでいました。
飛び立つ瞬間を動画撮影しようと私がしつこくちょっかいをかけたら、左右の後翅を擦り合わせる行動を始めました。
地味な動きですけど、これは自衛のための自己擬態行動なのでしょう。


福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると、

ウラナミシジミ類などの後翅には、糸のような尾状突起がある。このつけ根には赤斑や黒点などがあり、翅を閉じてとまると、ある種の昆虫の頭部に見えるのかもしれない。後翅をすり合わせるようにして動かすと、1対の尾状突起は、ちょうど昆虫の触角のように動くので、捕食者が偽の「頭部」を攻撃すると、蝶はそれを与えて反対側に飛び、難をのがれることになる。この場合、尾状突起の先端が白色となりめだちやすいことは注目される。 (p104より引用)


(ウラナミシジミの)後翅の後端には黒い斑点が2つあり、2つの斑点の間には細い尾状突起が突き出ている。この黒い斑点と尾状突起は複眼と触角に似ていて、頭部に似た模様をもつことで身体の方向や頭部の位置について敵の目をあざむいていると考えられている。(wikipediaより引用)


ところが、この個体は右の尾状突起が破損していて左側しか残っていませんから、擬態の効果は半減してそうです。
右後翅の肛角部付近の眼状紋を狙って鳥が嘴でつついたのかもしれませんが、通常のビークマークは左右対称に破損するはずです。
更に、前翅も縁がギザギザに損傷していることが長旅の苦労を偲ばせます。
欲を言えば、翅の状態がきれいな(尾状突起が無傷の)個体で撮り直したいものです。

やがて少し飛んで近くのセイタカアワダチソウの葉に止まり直しました。
今度は翅を全開にして日光浴です。
残念ながら私には翅表を見せてくれず、下面しか撮れませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→飛び立ち


ウラナミシジミ♀:翅裏@セイタカアワダチソウ蕾
ウラナミシジミ♀:下面@セイタカアワダチソウ葉+日光浴

2019/04/16

モミの木の落とし物を食べるハシボソガラス(野鳥)



2018年10月中旬

山麓の農村で民家のトタン屋根をハシボソガラスCorvus corone)が歩き回っていました。
ときどき何かを啄んで食べています。
望遠レンズを使ってもよく見えませんでしたが、気になる採食メニューを推理してみます。
まず、虫を食べているようには見えませんでした。
すぐ隣にモミの大木が聳え立っているので、枝から屋根に落ちた球果(マツボックリ)の種鱗を食べているのでしょうか?
それともモミの雄花が枯れて落ちたものを食べたのかな?(モミの花は5月に咲くらしい)
厳冬期ならともかく、実りの秋ですから周囲に食料は豊富にあるはずです。
それなのに、あまり美味しそうでもない針葉樹の落とし物をわざわざ食べているのが逆に興味深く思いました。
もしかすると好奇心旺盛な幼鳥が何でも味見していたのかもしれません。(嘴の中の色が見えず、幼鳥か成鳥か見分けられていません)

途中からもう1羽も屋根に飛来して2羽になりました。
最後は屋根の端から飛び降りました。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
いつものように手ブレ補正処理すると、画面の大半を占めるトタン屋根が規則的に繰り返す波型模様になっている影響でアルゴリズムが手ブレを上手く検出できず、不自然な映像になってしまいました。
諦めて手ブレはそのままでお届けします。


ハシボソガラス(野鳥)@トタン屋根/モミの木の下+採食
ハシボソガラス(野鳥)@トタン屋根/モミの木の下+採食

ランダムに記事を読む