2016年9月下旬
民家の生垣として植栽されたベニカナメモチ(=レッドロビン)の真っ赤な葉にニホンアマガエル(Hyla japonica)が座り込んでいました。
喉がヒクヒク動いているので、生きています。
強い毒を持つ種類のカエルは派手な警告色に身を纏います。
それに対してニホンアマガエルが捕食者から身を守る自衛戦略は、目立たない保護色のはずです。
赤と緑は保護色どころか反対色(補色)ですから、このままでは目立ちまくりです。
まさか、この個体は赤緑色盲だったりして…?(※ 追記参照)
こんな暢気な(無鉄砲な)個体は、捕食圧によって淘汰されてしまうのではないでしょうか?
この辺りでニホンアマガエルを捕食しそうな天敵としては、例えばハシボソガラスとモズが生息しています。
それとも、これから周囲の環境に合わせて体色がゆっくり変化するのかな?
しかし、真っ赤に変色したニホンアマガエルなんか、未だかつて見たことがありません。(せいぜい褐色の迷彩模様が精一杯でしょう)
もしかすると、天敵に襲われる危険を承知の上で、ベニカナメモチの樹液に誘引された虫を待ち伏せしているのかもしれません。
それでもやはり、赤く色づいた葉ではなく緑の葉が付いた小枝で待ち伏せする方が得策でしょう。
▼関連記事アマガエルにとってスズメバチを捕食するのは手強そうですが、ハエ類が甘い樹液を舐めに来ていても不思議ではありません。(未確認)
・ベニカナメモチの樹液を舐めるコガタスズメバチ♀
・ベニカナメモチ生垣の樹液を舐めるキイロスズメバチ♀
実はこの時期、樹液に来る虫を観察するためにレッドロビンの生け垣を見回りしていたら、今回カエルを見つけたのです。
しかしこの時、生垣に虫は来ていませんでした。
日光浴していた可能性もありそうです。
赤い葉の方が緑の葉よりも太陽光をよく吸収していて暖かいのかな?(うろ覚えの物理学の知識では逆のような…。)
急いでいた私はスナップショットを撮っただけでその場を離れてしまいました。
じっくり観察すれば何か面白い発見があったかもしれません。
※【追記】
ニホンアマガエルの色覚はどうなっているのか、気になりました。
ネット検索すると、お転婆さんのブログ「アマガエルのお話」で飼育下の実験(色覚テスト)を試行錯誤なさっていました。
問題への取り組みはこうあるべきだなと感銘を受けました。
更にネット検索すると、酪農学園大学のブログで以下の記述を見つけました。
何か勉強会のレジュメを載せた記事のようです。
・少なくともいくつかのカエルの種は、色覚をもっている。
・青色選好性がみられた。
・実験により、3種のカエルは三色型色覚、2種のカエルは二色型色覚をもっている事がわかった(二色型…赤と青を灰色から弁別できたが、黄色と緑はできなかった)→色覚特性の詳細、種間変動の可能性はよくわからない。
ただし、情報の出典が書かれていませんでした。
【追記2】
一方、レッドロビンの葉が赤く色づく理由はそもそも何でしょう?
カナメモチやモミジのように、若葉が赤く色づく樹種が多い。(中略)若葉が赤く色づくのは、若葉を紫外線から守る目的や、害虫に見えにくい色のためとの説がある。 (林将之『葉っぱはなぜこんな形なのか?:植物の生きる戦略と森の生態系を考える』p180より引用)後半の「赤が害虫に見えにくい色のため」という説は初耳で興味深く思ったので、個人的な覚書として書き残しておきます。