2015年10月下旬
ノシメマダラメイガの飼育記録#29
生のニンニクだけを餌にしてノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)が育つか?という実験をしていました。
諦めかけて放置していたら、容器内で遂に羽化したばかりの成虫を1頭見つけました。
繭から抜け出した直後らしく、体液を翅脈に送り込んで翅伸展している途中(後半)でした。
慌てて動画と写真で記録します。
翅がすっかり伸び切ると、その翅を立てて乾かします。
ノシメマダラメイガが翅を閉じている(立てている)姿勢はこれまで一度も見たことがないので、とても珍しく思いました。
male wing gland?
成虫の口吻は退化していますが、口元でときどき開閉しているのは下唇鬚?でしょうか。
腹端を少し持ち上げていて、コーリング姿勢に似ているかもしれません。
しばらくすると閉じた翅を再び広げたのですけど、その瞬間は見逃しました。
羽化に気づいたのが外出の間際だったので、撮影に全然集中できませんでした。
記録として中途半端ですけど、ゼロよりましなので。(完全版が撮れたら差し替えます。)
次に機会があれば羽化の一部始終を微速度撮影でじっくり記録したいものです。
桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、「ノシメマダラメイガは午後にだらだらと羽化する」らしい。(p148より引用)
さて、この結果からノシメマダラメイガはニンニクだけを食べて卵から成虫まで育つことが分かりました。
大量の産卵数に比べて生存率は極めて低いです。
幼虫が栄養失調で共食いしたかもしれません。(未確認)
一つ不思議なのは、密閉容器内でこれまで全くノシメマダラメイガの交尾行動を観察していないことです。
もしかすると、ニンニク臭が性フェロモンの働きを撹乱する作用が有るのかな?と思ったりしました。
つづく→#30:巣内で休眠越冬するノシメマダラメイガ(蛾)老熟幼虫
2015年1月中旬
▼前回の記事
携帯電話アンテナ塔に就塒前集合するカラスの群れ(冬の野鳥)
日没後に塒へ飛んで帰るカラスを追跡すると、郊外で高圧線の鉄塔のてっぺん周辺にカラスの大群が集結していました。
鉄塔を中心に左右の高圧線にカラスが続々と着陸し、鈴なりになっています。
カラスが鳴き騒ぐ声もかすかに聞こえます。
いよいよ暗くなってきて画質も粗く、最大限にズーム(光学10倍)してもカラスの種類(ハシボソガラス/ハシブトガラス)を見分けるのは無理でした。
隣りの鉄塔付近の高圧線にも同様にカラスが群がっていることに気づきました。
私が左の鉄塔に歩いて接近してから撮ろうとすると、警戒したカラスは頭上の高圧線から一斉に飛び立ってしまいました。
どうやら近くにある鎮守の森へ向かっているようです。
カラスの行動に影響を与えずに塒入りを観察する難しさを痛感しました。
本格的にやろうとしたら、ブラインドを用意して隠し撮りする必要がありそうです。
冬の日没後は釣瓶落としに暗くなり、鉄塔のようなはっきりした対象物を狙わないとAFのピントが合わなくなりました。
赤外線投光機も到底届かない高所なので、暗視映像ではなくノーマルな動画撮影です。
私が樹の下に立ち止まって撮り続けると、カラスの群れがまた高圧線に舞い戻ってくれました。
高圧線は何本も並行して走っているのに、カラスが止まるのは特定の(一番上の)一本だけでした。
カラスの大群が乗っても全体重で高圧線が切れる事故が起こらないように強度が設計されているのでしょう。
私がじっと待っていると、高圧線からカラスが今度は自発的に次々と飛び立ち、鎮守の森(の方角)へ向かいました。
高圧線の鉄塔はカラスが就塒前集合する過渡的な塒だと分かりました。
巨大な鉄塔は遠くからでもよく目立つので、あちこちから群れが合流する中継地点となっているようです。
カラスの大群が鳴きながら暗い夜空を乱舞する様はいかにも威圧的です。
このような群飛は塒周辺の安全を確かめたり、天敵などを追い払ったりする示威行動なのでしょう。
※ 就塒前飛行を撮ったパート(@5:18〜)のみ動画編集時に自動色調補正を施して明るさをかなり増しています。
撮影時刻は午後17:11〜17:21。
ちなみに、この日の日の入り時刻は午後16:41、月齢は5.1(三日月)。
つづく→杉林の塒で鳴くカラスの群れ♪(冬の野鳥)
2015年12月上旬
▼前回の記事
越冬休眠していたフタモンアシナガバチ新女王の覚醒
コガタスズメバチ巣の定点観察@祠・軒下#6
採集してきたコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)の古巣の外被を慎重に解体して中を調べていると、とても小さな蜂が一匹出てきました。
キアシブトコバチ(Brachymeria lasus)のようです。
寄生蜂の一種ですがスズメバチ類を寄主としている訳ではないので、コガタスズメバチの生活史と直接の関係はありません。
隠れ家を壊されたせいで休眠から覚醒し、飛ぶ元気はないものの辺りを歩き回ります。
方眼紙の上に自発的に乗ってくれて、採寸の手間が省けました。
『ハチハンドブック』p25によると、キアシブトコバチは樹皮下などで成虫越冬するらしい。
▼関連記事
群飛・集合するキアシブトコバチの謎
したがって、スズメバチの古巣に潜んで冬越ししても不思議ではありませんね。
私は本種の性別判定法を知らないのですが、越冬するのは♀だけなのですかね?
それとも♂も越冬して、春になったら交尾するのかな?
残念ながら、飼育下での越冬には失敗しました。
以下は標本写真。
ちなみに断熱効果に優れた古巣内で越冬していた居候としては他に、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)新女王も1匹だけ見つかりました。(映像なし。以下に標本写真)
スズメバチの空き巣は千客万来ですね。
シリーズ完。