2015年10月上旬・午前6:52〜8:10
花を食べる造網性クモの謎#8:花の種類を変えてみると?
イシサワオニグモ♀(Araneus ishisawai)はアメリカセンダングサを特に好んで食べてくれたのでしょうか?
アメリカセンダングサ以外のキク科の花を対照実験として給餌してみることにしました。
近くに生えていたノコンギクの頭花を摘んできて垂直円網に投げつけても、隠れ家(キイチゴ?葉裏)のクモは無反応でした。
鳴らした音叉で花に440Hzの振動を与えると、ようやくクモが甑まで出てきました。
もう一度花に振動を与えると、獲物が暴れていると騙されてクモが花の所まで駆けつけました。
花に触れて調べている間にあともう5回、繰り返し振動を与えてみます。
しかしクモは菊の花に噛み付いたまま静止しているだけで、期待した梱包ラッピングをしてくれませんでした。
ようやく噛んでいた花を手放すと、その花を網に放置したままで甑に素早く戻りました。
信号糸を登り、隠れ家に帰りました。
花を噛んでいる間に花蜜や花粉を摂取したかどうか、外から見ているだけでは分かりません。
隠れ家に持ち帰ってゆっくり食べるほど気に入った味ではなかったのかな?
餌ではなく異物だと認識したにせよ、異物を除去しないで放置するのは初めての反応です。
更にしつこく音叉でノコンギクの花を震わせても隠れ家のクモは無反応でした。
「狼少年の嘘にはもう騙されないぞ!」と学習したようです。
そこで今度は音叉を直接網に付けてやると、クモはすぐに網に降りてきました。
その先はもうクモは騙されず、異物の花を放置したまますぐ隠れ家に戻ってしまいました。
諦めかけたら、何故かしばらくするとイシサワオニグモ♀が隠れ家から網へ自発的に戻って来ました。
先程は何か身の危険を感じて逃げ帰ったのかもしれませんね。
甑に占座したクモは網を歩脚でしゃくり、異物の在処を探り当てると、ようやくノコンギクの花を網から外して捨てました。
その場で網を引き締め、もう他には異物が付いていないことを確認しています。
糸を切ったことによる網全体への影響(張力のバランスなど)を調べているのかもしれません。
甑に戻ると、朝日を浴びながら歩脚の先を舐めて身繕いしています。
捨てられたノコンギクの花はシダの葉に落ちていました。
しばらく日光浴してから、ようやく隠れ家に戻りました。
ちなみに午前8:08に測った気象状況は、気温19.2℃、湿度85%。
つづく→#9:網に付いたノコンギクの花を取り除くジョロウグモ♀(蜘蛛)
2015年10月上旬
里山の林床で徘徊するクロシタアオイラガ(Parasa sinica)の派手な幼虫を見つけ、採集して持ち帰りました。
終齢幼虫が営繭場所を探索しているのか?と思い、飼育してみます。
板の間に置いて仰向けにしてみます。
棘だらけでカラフルな配色の背面とは裏腹に、腹面はのっぺりしていて腹脚がどこにあるのかよく分かりません(退化傾向にある?)。
警戒してしばらく擬死(死んだふり)してから起き上がろうと奮闘を始めます。
寝返りを打つように身を攀じってまず上半身だけ起き上がり、そのまま前進することで下半身も起こします。
その動きが面白くて、何度も繰り返してしまいました。
最後は幼虫の歩行を正面から接写してみました。
イラガの仲間は頭部がフードに隠れています。
頭部で∞の字を書きながらゆっくり前進します。
歩く地面を調べているだけで、絹糸は未だ吐いていないと思います。
木の棒を登らせると滑落することがありました。(映像なし)
背中の刺は柔らかいのか、背中から落ちても折れません。
仰向けになると体を捻り上半身が接地したら前進しながら起き上がります。
海老反りから後転で起き上がるパターンもありました。
つづく→クロシタアオイラガ(蛾)幼虫の営繭異常【60倍速映像】
2015年10月上旬
境界標に営巣したヒメクモバチの定点観察#11
シーン1:午前10:50
寄主のヒメクモバチ(旧名ヒメベッコウ;おそらくAuplopus carbonarius)♀bが在巣のときに、境界標の左の縁から寄生蜂が泥巣に近づいてきました。
寄主と正面から向かい合い、ヒメクモバチが追い払いました。
しかし激しい闘争行動と呼べるようなものではなく、軽く突進する素振りを見せるだけでした。
ヒメクモバチは穏健な性格なのでしょうか。
もしかすると、コクロオナガトガリヒメバチ♀の姿形が寄主に擬態していてヒメクモバチ♀の目には紛らわしく見えるのかもしれません。
それとも、コクロオナガトガリヒメバチは白い触角を激しく動かすことで寄主を幻惑しているのかな?
寄生蜂は境界標の角を曲がった死角に隠れるだけで、執念深くチャンスを窺っています。
しばらく境界標の天辺を徘徊してから、寄生蜂は飛び去りました。
シーン2:午前10:52
寄主のヒメクモバチ♀bが吸水に出掛けた隙に寄生蜂がまた飛来しました。
泥巣の近くを徘徊している間に母蜂が泥巣に戻って来たので、絶好の産卵機会を逃しました。
ヒメクモバチ♀に睨まれた寄生蜂は境界標の天辺に登ってから、あっさり飛び去りました。
泥巣をガードしている間に、寄生蜂は未練がましく周囲を飛び回っています。
寄生蜂に挑発を繰り返されても深追いせず、泥巣から動かないのは賢明な防衛戦略と言えるでしょう。
しつこい天敵がようやく居なくなると、ヒメクモバチ♀は巣材集めのため地面に歩いて降りました。
泥玉を持って登り、造巣作業を続けています。
次は飛び去り、おそらくまた水を飲みに出掛けたようです。
シーン3:10倍速映像
シーン1、2と同時並行に微速度撮影した映像(@2:59〜)にも寄生蜂との攻防が写っていました。
引きの絵では小さな蜂は見えにくいのですけど、コクロオナガトガリヒメバチ♀は触角に白い部分があるのでなんとか見分けられます。
この日の総括:
この日は寄生蜂の産卵が見られず、前回ほど泥巣に執着して近づかなくなったのは何故でしょう?
寄主の巣作りの進捗状況を見に来ているだけかもしれません。
寄主ヒメクモバチの育房内で胚発生が進み、寄生蜂の産卵に適さなくなったのでしょうか?
母蜂の造巣ペースを見定め、次の貯食物が新しい育房に搬入されるまで待っているのかもしれません。
寄生蜂が人懐こくカメラの三脚に乗って来ることもありました。(映像は撮り損ね)
一方ヒメクモバチ♀も寄生蜂の存在に気づいているのにも関わらず、平気で巣を留守にしたり造巣活動を続けているのは不思議です。
もしこの日初めて観察していたとすれば、我が子を危険に晒す投げやりの態度にも見えたでしょう。
前回の観察(5日前)ではしつこい寄生蜂のせいで母蜂は泥巣に釘付けになり、ひたすらガードしていました。
造巣どころではなく、泥巣のガードを優先していました。
▼関連記事
寄生蜂コクロオナガトガリヒメバチ♀の産卵および寄主ヒメクモバチとの攻防
シリーズ完。