2014/02/23

スズメ(野鳥)は有毒ヨウシュヤマゴボウの実を採食するか?



2013年11月上旬

民家の庭でヨウシュヤマゴボウの茂みにスズメ(Passer montanus)が賑やかに鳴きながら群れていました。
手前の茂みが邪魔でよく見えずもどかしいのですが、羽繕いしたり何か実を採食したりしています。
有毒植物であるヨウシュヤマゴボウの黒く熟した実をスズメが啄んでいるのか、それともたまたまヨウシュヤマゴボウの茂みで休んでいるだけなのか、非常に興味があります。
ヨウシュヤマゴボウの群落に巻き付いた別の蔓植物の実を啄んでいるのかもしれません。
明らかに私のことを警戒していますけど、少なくとも熱狂的にヨウシュヤマゴボウの実を採食するほど大好物という訳ではなさそうです。

鳥類では、成鳥が(ヨウシュヤマゴボウの)果実を摂食しても種子を破砕しないかぎり影響は少ないが、雛が摂食すると、死亡率の増加や運動失調などが見られる。(wikipediaより)


撮影当時の私は、ヨウシュヤマゴボウが有毒植物であるという聞きかじった知識が頭にあったために、鳥が集まるのを不思議に思ったのでした。
ところがその後、色々な本を読んで勉強してみると、ヨウシュヤマゴボウの実を野鳥が食べるのは普通であることを知りました。

【追記】
「ヨウシュヤマゴボウの実を食べるキジバト」と題した生態写真が『カラー版自然と科学37:カワセミのすむ川』という本のp22に掲載されていました。




【追記2】
ヨウシュヤマゴボウという周食散布の外来植物が侵入してきている。この植物の果実は鳥に好んで食べられることが知られている。
(直江将司『わたしの森林研究―鳥のタネまき​に注目して』p136より引用)
ハシブトガラスがベランダに落としたフンやペリットに含まれる種子を調べた研究の結果、ヨウシュヤマゴボウの種子を散布していることが分かった。(同書p113棒グラフより)

果実をよく食べる鳥では、腸が短いこと、(解毒のために)肝臓が大きいことが知られている。
(同書p41より引用)

【追記3】
ピッキオ編『花のおもしろフィールド図鑑:夏』によると、
(ヨウシュヤマゴボウの)実は熟すと真っ黒になりますが、その時、実の柄は真っ赤に変化します。これは、赤と黒の目立つコントラストで鳥を多く呼び寄せるためといわれています。実験で真っ黒な実を緑色のくしに刺してみたら、赤いくしの時と比べて鳥に食べられなかったのだそうです。(p117より引用)


【追記4】
藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、
10月中旬ごろになると(中略)この時期のヒヨドリの餌は、ヨウシュヤマゴボウの実やカキの実などです。 (p73より引用)



【追記5】
紙谷智彦『果実の二色ディスプレイ戦略:植物はどのように鳥を誘引しているか』という総説によると、
ヨウシュヤマゴボウは、多年生の大型草本で日本にも外来種として定着している。果実は黒の単一色で、果柄から茎までは深紅にそまることから、典型的な形態的二色表示型の植物である。(中略)操作実験の結果からは、形態的二色表示による明瞭な果実持ち去りの効果が示された。 (『種子散布 助けあいの進化論〈1〉鳥が運ぶ種子』p56より引用)

ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)ー秋に赤→黒に熟す。アルカロイド、サポニン等を含み、人が中毒する事故がある。(野間直彦「毒を持つ液果の話」同書p86より引用) 

飛べ!ウスバミスジエダシャク【蛾:ハイスピード動画】



2013年6月中旬

渓流横のエンレイソウの葉の上に見つけた蛾です。
翅を全開にして止まっていました。
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。
物を投げつけたら1回で逃げてしまったので、後半は更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

新・蛾像掲示板にて問い合わせたところ、デカイガさんから「ウスバミスジエダシャク(Hypomecis punctinalis conferenda)ではないか」と教えて頂きました。



2014/02/22

網にかかったノシメトンボ♀を隠れ家に運んで食すイシサワオニグモ♀



2013年9月下旬

林道脇に正常円網を構えるイシサワオニグモ(Araneus ishisawai)♀成体の定点観察。

朝一番に見た時は網の甑(こしき)で下向きに占座していたクモが、いつの間にか円網左上の隠れ家に移動していました。
枠糸を固定した倒木の枝先を昼間の隠れ家としているようです。
ただし隠れ家と言っても、外からは丸見えです。
特に枯葉などでカモフラージュしている訳ではありません。


「クモ生理事典2011」によるとイシサワオニグモは
網の一端を折り曲げて簡単な住居を作り,昼間はその中に 潜む.

脚先で信号糸?に触れ、網の振動を感知できるように待機。

現場の近くで捕獲したノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum
)を円網に投げつけ給餌してやりました。(予め前翅をむしってあります。)
ところが隠れ家のクモは知らぬ顔で無反応。
食欲がないのか、午前中は寝ているのか、あるいは網の振動が隠れ家まで伝わらなかったようです。
網にかかった獲物を草の葉でつついたらトンボが暴れ、ようやく気づいたクモが獲物に駆け寄りました。
(映像はここから。)
まず獲物に噛み付いて毒液を注入し、獲物の動きを止めます。
次に捕帯で獲物をグルグル巻きにラッピングし始めました。

前日(夕方)は獲物の包みを甑に持ち帰って捕食しましたが、今回(午前中)は甑を通り過ぎて隠れ家にテイクアウト。

前回の記事はこちら→「網にかかったオオアオイトトンボ♀を捕帯でラッピングするイシサワオニグモ♀(蜘蛛)」
網の中央(甑)で白昼堂々、食事をするのは目立ち過ぎて野鳥やクモバチなどの天敵に襲われる危険が高いのでしょう。

獲物を枠糸に固定してぶら下げると下向きに静止し、身繕い。
ようやく落ち着いたクモが獲物の包みを手繰り寄せると、捕食開始。
食事(体外消化)の途中で何度も獲物を糸でラッピングし直します。
再ラッピングの際は捕帯の量が少ない気がします。
獲物が暴れているときとは違い、使う糸を倹約しているのでしょう。

クモが大顎でトンボの固いクチクラをカリカリ、バリバリ噛む音がときどき聞こえます。
初めクモはトンボの胸部を噛んでいましたが、やがて細長い腹部に口を付けて吸汁していました。
ノシメトンボ♀の尾端から卵塊が出ていました。
食事とラッピングを繰り返すと、次第に獲物はコンパクトな包みになりました。
体外消化が進むと、タンパク質が溶かされて獲物は真っ黒に変わりました。
翅がなければ最早トンボとは分からないでしょう。


つづく→「イシサワオニグモ♀(蜘蛛)の体外消化」

腹部の両肩に突起がある。
腹面中央に外雌器と垂体が見える。
体外消化が進むと獲物は原形を留めず黒変。

ランダムに記事を読む