2012/10/30
ヤマジガバチの労働寄生#5:謎の襲撃
2012年7月下旬
その後もジガバチ♀H白は飽きもせずに巣坑の本閉鎖に精を出しています。
巣の乗っ取りを企むジガバチ♀P水に目をつけられたことを知っているため巣口を埋め固めをいつもより一層念入りに行っているのだろうか?
アリが近づくと撃退します。
♀H白の作業中に再び黒いハチが飛来するも、今回は一瞬で飛び去りました。@0:29
少し警戒しただけですぐに作業を再開。
1/5倍速のスローモーション↑で襲撃(ニアミス)シーンを確認してみましょう。
辛うじてジガバチだと分かるだけで、性別やマーキングの有無はよく見えません。
先程マーキングした♀P水が戻って来たのかもしれませんし、♂が交尾しようと飛来した可能性もあります。
閉鎖作業でジージー♪鳴く声が別のジガバチを誘引しているんじゃないかという気がしてきました。
もし録音したジガバチの鳴き声をスピーカーで再生すると他のジガバチ♀が様子を見に飛来するだろうか?
労働寄生♀対策として、鳴き声を発することなく黙って巣坑の閉鎖を行う♀突然変異個体がそのうち出現し、ステルス戦略が集団中に広まるかもしれない(進化)…などと妄想しながら蜂を眺めていました。
後半、外出から帰った♀H白が巣坑に何か赤い物を押し込んで埋め固めています。@4:34
肝心の搬入シーンはピントがぼけて撮り損ねました。
次の獲物(芋虫)かと一瞬焦りましたが、赤い木の実やキノコの破片だろうか?
(ジガバチ腹部の赤色にも見えて、まさか♀P水を噛み殺して埋めているのかと猟奇的な想像が先走ったりもしました。)
埋め固めの次の作業として、巣口周辺の偽装工作が始まったのかもしれません。
つづく。
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ヤマジガバチの労働寄生#4:ミネラル摂取
2012年7月下旬
巣から離れたジガバチ♀H白が地面を徘徊しつつ落ち葉を舐めていました。
巣口の押し固めで酷使した顔は土で汚れています。
黒い舌を伸ばして舐めた跡が濡れていることから、唾液または飲んだ水を吐き戻しながら溶かした塩分を吸っているようです。
蝶の仲間ではよく見られる摂食行動ですが、蜂で観察したのは初めてかもしれません。
鱗翅目だと地面や獣糞を舐めてミネラル摂取するのは大体♂と相場が決まっています。
確か、精巣の発達に必要なんだとか。
やがて私の黒いカメラバッグのベルト部分に止まると一心不乱に舐め始めました。
長年ベルトに染み込んだ汗や皮脂を摂取しているのでしょう。
摂食中はジージー♪鳴いたりしません。
おとなしくしているこの機会を利用して、♀H白をじっくり接写してみました。
(胸背と顔のアングルは動画のみで、写真は撮る前に逃げられました。)
横に定規を並べて置いて採寸してみます。
ヤマジガバチまたはサトジガバチの一体どちらなのか、写真鑑定できるでしょうか?
少なくともジガバチ♀H白および♀P水は同種なのか別種なのか知りたいところです。
後日、同じフィールドで捕獲した♀♂はヤマジガバチと写真鑑定して頂きました。
通りすがりのクロアリとニアミスしてもジガバチは向きを変えただけで、夢中で舐め続けます。
その際、アリを威嚇するように翅を振るわせました。
私の体に止まって汗を直接舐めに来ることはさすがにありませんでした。
もちろん昆虫は暑い夏でも我々ヒトのように発汗しませんが、ジガバチ♀も激しい重労働の合間に塩分を欲するというのは興味深く思いました。
もしスポーツドリンクを蜂にお裾分けしていたら喜んで飲んでくれたかな?
てっきりどこかで訪花吸蜜して栄養補給しているのかと思っていました。
ちなみに、別の日には近くで建物のコンクリート土台部分を舐めているジガバチを見ています。
つづく。
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2012/10/29
ヤマジガバチの労働寄生#3:寄生♀の捕獲・標識
2012年7月下旬
依然としてジガバチ♀H白が巣坑を埋め固める作業を念入りに続けています。
日が高くなり、営巣地には木漏れ日が射しています。
さて次は、巣の乗っ取りを企んでいそうな♀Pにも個体識別の目印を付けることにしました。
もしかしたら、この辺りで労働寄生ジガバチ♀Pは一匹だけとは限りません。
巣穴の閉鎖に熱中している♀H白とは異なり♀Pはあちこち動き回るため、一時捕獲しないと個体標識するのは無理です。
この日は捕虫網を持参しなかったので、蜂の上から麻酔管を素早く被せて生け捕りにします。
どこかに出かけた♀H白の帰巣を待っている間に、巣の右の茂みに潜んでいた♀Pを捕獲しました。@2:32
そのまま日陰に持っていき、炭酸ガスで軽く麻酔してから腹背に油性ペンで水色の点を打ちました。
以降、この個体をジガバチ♀P水と呼ぶことにします(parasite、水色)。
カメラの背後でマーキング作業する一部始終の物音が録音されています。
(ボンベから炭酸ガスをシューッと出す音など)
炎天下でCO2麻酔すると体温調節できなくなった蜂が熱射病で死んでしまうことがあるので、必ず日陰で行います。
苦い経験となった関連記事はこちら→「オオモンクロベッコウの捕獲標識と麻酔事故」
麻酔から回復するまでの間に♀P水をじっくり接写しました。
この蜂は一体ヤマジガバチまたはサトジガバチどちらなのか、写真鑑定で同定できるでしょうか?
後日、同じフィールドで捕獲した♀♂はヤマジガバチと写真鑑定して頂きました。♀H白の動画撮影に気を取られて目を離した隙に、自力で飛び去りました。
♀P水が元居た林縁に飛んで行く姿を直後に目撃しています。
もしかすると捕獲・麻酔・標識された蜂がストレス(身の危険)を感じて遠くへ逃げてしまい二度と戻って来ないおそれもあります。
しかし、そこは一か蜂かの賭けです。
ジガバチ♀P水をマーキングしている間に♀H白が帰巣しました。@3:30
このとき小石を口に咥えて搬入した点が目を引きます。
実は出かけるときも同じ小石を咥えていたので、閉塞石ではなく巣口の押し固めに使う道具としての石槌と思われます。
再び外出する際も小石を咥えたまま飛び去りました。
つづく。
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