2012/06/14

クロヤマアリ集団によるコアシダカグモ♀亜成体の運搬・解体ショー【微速度撮影】

2012年5月中旬

前編からのつづき。)
クロヤマアリが集団でコアシダカグモの一種(♀亜成体?)の死骸を解体しながら巣へ運んでいく様子を微速度撮影してみました。

まずは5倍速の早回し映像でご覧ください。






山道は地面に枯葉などの障害物が多くて、アリにとってみれば半端ない悪路です。
重い獲物をそのまま引きずるには摩擦抵抗が大き過ぎますし長い歩脚があちこちに引っかかって邪魔です。
クモの節間膜を噛み切ることで、獲物はどんどんバラバラ死体になります。
アリさんマークの引越し社♪

アリが獲物を解体するのは洞察による協力ではなく結果論だろうか?
寄って集って獲物の体をあちこち力一杯引っ張れば千切れるような気もします。
しかしクモの節間膜を噛み切っていますから、やはり意図的な解体か…。
もし、獲物に引っかかった障害物に気づいて工兵のようにこれを排除したり道を整地していれば大したものです。

【追記】
『いつか僕もアリの巣に』p60より
働きアリは大きな昆虫をばらばらにして巣に持ち帰る。これは外敵が多い野外での労働をなるべくスムーズに短縮させる知恵。一匹で解体できない場合は作業に必要な仲間を招集する。(リクルート行動)


同じ素材で10倍速の早回し映像も作製してみました。
せっかちな方はこちらをご覧ください。





同定のためアリを2匹採集しました。
素人目にはクロヤマアリFormica japonicaのワーカー♀と思うのですが、どうでしょう?

標本a側面

標本a腹背

標本a顔

標本b側面

標本b顔



2012/06/13

クロヤマアリが集団でコアシダカグモ♀亜成体を運ぶ



2012年5月中旬

山道に座って弁当を広げると、目の前で黒いアリが地面に群がっていました。
邪魔な落ち葉をそっと取り除くと、大きなクモを襲っていました。

蟻はクロヤマアリかな? クロオオアリ?

一方、獲物はイオウイロハシリグモ?と思ったのですが「中部蜘蛛懇談会 クモの掲示板」にて問い合わせてみるとコアシダカグモの一種だろうとご教示頂きました。(※)
斑紋は死後変色しているかもしれません。
腹背の後部に白い▽斑紋があり、頭胸部の縁が黒いです。

右の歩脚は既に欠損しています。

クロヤマアリの群れが運搬中

頭胸部の縁が黒い。

顔(左触肢が既に切断されている)

アリは節間膜に次々と噛みついて、大きな獲物もみるみる解体していきます。
歩脚を一本ずつ根元から噛み切ると、せっせと運び始めました。
二匹のアリが歩脚の両端を咥え協力して運んで行きます。

やがてアリが獲物の腹部を頭胸部から切断して巣へ運び始めました。
慌ててアリから一時的に取り上げ、写真に記録しました。
腹面に未成熟な外雌器らしき構造を認めました。
(アリに噛まれた裂傷?)
膨らんでいない触肢と併せて考えると♀亜成体かもしれません。


切断された腹部をアリから取り上げた。腹端に白い▽模様。

腹部腹面に外雌器?

採寸できたのは腹部だけ。

コアシダカグモは既に死んでいるようで、徘徊性のクモなのに全くの無抵抗でした。
脱皮間際で無防備な時にアリに襲われたのでしょうか?
あるいはクモバチに狩られて毒針で麻酔されている可能性はどうでしょう?
腹部腹面に開いた小さな穴(未成熟な外雌器?)は、まさかクモバチの毒針に刺されたものではないと思いますけど、定かではありません。
(クモバチに狩られ麻酔されても肉眼で見えるほどの注射痕が果たして残るだろうか?)
クモバチの中には営巣地を探す間に麻酔した獲物をアリに奪われないように草の葉に引っ掛けておく習性をもつ狩り蜂が知られています。

関連記事→「オオモンクロベッコウのアリ対策

それをクロヤマアリが集団で強奪してきたのかと勝手に想像を逞しくしてみました。
ちなみに図鑑『校庭のクモ』p33にはオオモンクロベッコウ(=オオモンクロクモバチ)に襲われたコアシダカグモの生態写真が掲載されています。


(つづく→アリの運搬・解体ショーの微速度撮影


【追記】
※ nephila氏の助言により、コアシダカグモも近年は分類がややこしいらしく、今回の個体は「コアシダカグモの一種」とさせてもらいます。参考資料



2012/06/12

キバナイカリソウに訪花吸蜜するコマルハナバチ?創設女王



2012年5月中旬

鎮守の森の参道斜面に咲くキバナイカリソウの群落で訪花するマルハナバチがいました。
時期的に未だ創設女王の単独営巣期だと思います。
『置賜の花』p17によると、
「キバナイカリソウは距の先端部に蜜を蓄えている。この蜜はトラマルハナバチの女王によって最もよく利用されていて、イカリソウの花粉媒介昆虫になっている。」

『マルハナバチハンドブック』p23によると、

「イカリソウの仲間は長い距をもち、マルハナバチをパートナーにしている。」




薄暗い林床で花から花へ忙しなく飛び回るため、映像による同定はあまり自信ありません。
オオマルハナバチにしては胸部背面前縁の白線が細い気がします。
もし間違っていたらどなたかご指摘願います。
例えば、コマルハナバチにも胸背部前縁と腹部第2節に白色もしくは黄白色の帯を有する個体もあるらしい。
(『日本の真社会性ハチ』p210より)




キバナイカリソウのように蜜腺が深い位置にある花から吸蜜する際にオオマルハナバチは盗蜜癖があるらしいのですが、映像では確認できませんでした。
後脚の花粉籠に花粉団子は付けていません。


辺りは暗い杉林。

ストロボで白飛びしてますけど、肉眼では薄黄色の花です。


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