2012/05/14

ヒヨドリがヘクソカズラの果実を採食【野鳥】



2012年4月下旬

河川敷でヒヨドリHypsipetes amaurotisが地上の枯草に下りて何やら採食していました。
どうやら枯れた蔓植物に残った実を啄んでいるようです。
食事が済むと鳴きながら飛び立ち、近くの木の枝に止まりました。
しばらく川面を眺めてから、上流の方へ飛び去りました。
どれどれ何を食べていたのかな?と近寄って草の実を接写してみました。





ヘクソカズラのような気がするのですが、どうでしょう。
もし間違っていたらどなたかご指摘ください。
匂いを嗅いでみるのを失念…。
ヘクソカズラ生の果実はかなりの臭気を放つのに対して、乾燥したものは不思議と臭いが消えるらしい。
野鳥も臭みが抜けるのを待ってから採食するのだろうか?(※)


※ 『身近な草木の実とタネハンドブック』のヘクソカズラの項によると、一般に鳥は匂いに鈍感なのだそうです。


日本列島では木の実の運び手として、もともと照葉樹林につく鳥と考えられているヒヨドリが重要な役割を果たしています。多くの木や草の実はヒヨドリの口にあう大きさになっています。(『タネはどこからきたか?』p36より)

 


『マン・ウォッチングする都会の鳥たち』p222より
ヒヨドリやスズメを都市鳥というのであれば、ヘクソカズラは代表的な都市植物であろう。この種子をヒヨドリなどが食べ、種子散布の媒体となっているのである。
関東地方で採取した野鳥の糞を調べると、ヘクソカズラの種子の出現頻度は80%だったらしい。




【追記】
唐沢孝一『果実食鳥による種子散布』によると、
(ヒヨドリの:しぐま註)糞内種子の中には、自然に分布しているヘクソカズラとナツヅタの種子が多く含まれている。ツル植物であるヘクソカズラは、空地や工事現場などを囲む有刺鉄線や人家の金網などに巻きつき、秋〜冬に果実をつける。これを鳥が食べ、フェンスなどで休止して種子散布して分布を拡大する。ヘクソカズラが林縁に多いのも、ヒヨドリが林縁に止まりやすいことと関係している。ヘクソカズラは、直接的な人為の手助けなしに、鳥散布を通して都市環境に適応した植物といえよう。(『現代生態学とその周辺』第4章p212より引用)






2012/05/13

ショウジョウバカマの花で吸蜜ホバリングするビロウドツリアブ【ハイスピード動画】




2012年4月下旬

ようやく根雪が消えた里山の斜面にショウジョウバカマの花がピンク色に咲き誇っていました。
早春を告げるいわゆるスプリング・エフェメラル(※)の一つです。
※ スプリングエフェメラルの由来は、ギリシア神話に登場する妖精エフェメロス(1日限りの生存の意)。
『森のいろいろ事情がありまして』p10より

春を待ちわびた様々な昆虫が花蜜を求めてやって来ます。
ホバリングの名手であるビロウドツリアブ(ビロードツリアブ;Bombylius major)が長い口吻を花に差し込んで吸蜜する様子をハイスピード動画(220 fps)で撮影してみました。
ホバリング飛行の神髄をご堪能ください。
スローモーションで見ると、花弁に着陸している(脚を掛けている)間も激しく羽ばたき続けていることが分かります(アイドリング)。
ひたすら同じ場所で長いこと吸蜜したかと思えば、飛びながら少しずつ小さな花を変えて飲み屋をハシゴしています。
たまたま飛来した他の昆虫とニアミスするシーンも捉えられていました。

この日は初夏を思わせるほど日差しが強く、日向に居ると暑いぐらいでした。




【追記】
Newton special issue『植物の世界 ナチュラルヒストリーへの招待 第4号』の中でショウジョウバカマのポリネーターを解説した記事によると、
(ビロウドツリアブなど)ツリアブの仲間は飛翔しながら吸蜜するが、そのとき腹部が葯や柱頭にふれる。また、葯や柱頭を足でつかんだりすることもある。(p104より)
蜜腺は花被片の基部にあるが、花が杯状に開くので、ハナバチやクマバチのような大型のハチのみならずハナアブやツリアブのような小型の昆虫でも楽に吸蜜することができる。昆虫相がまだ豊富でない早春に開花する不利さを、可能なかぎりの昆虫を花にひきつけることによって補っているのだろう。(p100より) 


キジ♂が隣で鳴いても動じないスズメ【野鳥】



2012年4月下旬

河畔林を縄張りとするキジ♂(Phasianus versicolor)が土手を登って河川敷の遊歩道まで来ました。
やおら縁石に登ると、お立ち台で勇ましく母衣打ちを披露。
たまたま隣の縁石でスズメPasser montanus)が採食中でした。
至近距離で大声で鳴かれてもスズメは慣れているのか驚いて逃げたりしませんでした。

リサイタル特等席♪



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