2010年4月上旬
スズバチ(Oreumenes decoratus)の泥巣から秋に採集した繭を切り開いて取り出した前蛹を室内飼育していたら、いつのまにか蛹化していました。
冬の間はずっと前蛹のままで休眠し、変化が無かったので油断していました。
変態が進んですっかり蜂らしくなっています。
複眼だけ赤く色付いている他は全身が黄白色。
100円ショップで買ったプラスチック製ピルケースを飼育容器に用いています。
普段はこれを海苔の空き缶に入れて遮光しているのですが、ときどき観察のために取り出すと突然の眩しい光に驚いてピクピクと蠕動します。
今のところ動くのは腹部だけです。
スズバチ幼虫に寄生していたヒメバチの一種(キアシオナガトガリヒメバチ♀)と後に判明。
(つづく)
本種の生態に関する古い文献(PDFはこちら)を読むと
桝田長. "キボシトツクリバチとその寄生昆蟲の生態." 昆蟲 15.4 (1941): 153-170.
「幼虫及び蛹はその全期を通じて僅かの刺激に対しても腹部を自由に振り動かす」
との記述がありました。
確かに本当だ!と嬉しくなりました。
2009年10月上旬
石碑に彫られた文字の窪みに泥巣がありました。
徳利状の育房が3つ(a-c)固まっています(泥巣全体の横幅は約35mm)。
その場で泥巣を暴いてみると、貯食物は鱗翅目の幼虫でした。
育房aは蝿に寄生されており、育房cは発掘作業で蛹を傷つけてしまいました。
育房bから採集した繭を持ち帰り、切り開くと白い前蛹が入っていました。
このまま越冬するようです。
蜂屋のヒゲおやじさんに質問すると、スズバチ(Oreumenes decoratus)が作った泥巣だろうと教えて頂きました。
この育房bは一番最後に作られたようですが、入り口が閉じられていません。
スズバチは複数の育房が完成すると全体を泥で厚塗りする習性があるそうです※。
※ 同じ石碑で下の文字の奥には全体が塗り潰されたトーチカ状の泥巣があり、脱出孔が2つ残されていました。
従って、この泥巣は何らかの理由で途中で営巣を中断したケースと考えられるそうです。
この繭bもセイボウなどに寄生されている可能性が高いとのことでした。
果たして来年、うまく成虫が羽化してくれるでしょうか。
冬場の乾燥とカビ感染に注意しつつ飼育してみます。
しばらく飼っていると蠕動で繭の外に出てしまいました。
(つづく)
≪追記≫
この前蛹bは室内で休眠越冬してやがて蛹となり、4月末に無事成虫を得ました。
やはりこの無防備な育房bは寄生されており、ヒメバチの一種(キアシオナガトガリヒメバチ Acroricnus ambulator ambulator)♀が羽化してきました。(続編をご覧ください。)
2010年5月上旬
ヤニサシガメ(Velinus nodipes)の幼虫がガードレールを徘徊していました。
レンズを近づけると警戒してガードレールの陰に隠れようとします。
その度に裏から手を回して虫の近くを指でトントン叩き、こちら側に戻らせてから撮りました。
最後は手に乗せてみました。
樹脂を体に塗りたくる様子を観察してみたいものです。