2014年8月中旬
モンスズメバチの巣の定点観察1
里山の雑木林でクヌギの樹洞にモンスズメバチ(Vespa crabro flavofasciata)が営巣していました。
斜面に立つ木の幹に開いた小ぶりな樹洞は北(斜面の上側)に面しています。
樹洞の直径および地上からの高さを測定したいのですが、防護服を着用しないと危なそうで迂闊には近づく気になりません。
しかし前評判とは異なり、モンスズメバチが巣の近くで特に攻撃性が高いという印象は受けませんでした。
実はこの夏ずっと定点観察に通っていたミズナラ樹液酒場のすぐ近くにクヌギは生えていました。
前回(9日前)来た時に、モンスズメバチの巣の活動に気づかなかったとは不覚でした。
単に私の注意力不足かもしれませんが、つい最近ワーカーが羽化したばかりのコロニーかもしれません。
ひょっとすると、手狭になった母巣から樹洞へまさにこの日に引っ越してきたばかりという可能性もあります。
モンスズメバチとキイロスズメバチは、営巣の途中で引っ越しをする性質をもっています。
(モンスズメバチの)女王蜂は地表近くの狭い閉鎖空間などに巣を創設するが、働き蜂が羽化して巣が大きくなり手狭になると、大木の空洞などの広い空間に引っ越しをすることが多い。(『スズメバチの科学』p18より)
どうしてワーカーがこんなに興奮したように忙しなく巣に出入りしているのか、非常に不思議でした。
モンスズメバチの巣を見つけたのは初めてなので、これが普通の状態なのか分かりません。
出巣した蜂がすぐに舞い戻って帰巣する、という謎の行動を繰り返しています。
オオスズメバチなどの外敵に対してコロニー全体が警戒しているのか、発酵した樹液を飲んで酔っ払って騒いでいるのか、よく分かりません。
獲物としてセミをよく狩るらしいのですけど、肉団子を搬入している姿を全く見ていません。
帰巣しても樹洞内に入る個体は滅多に居らず、すぐにまた飛び立ちます(出巣)。
巣の周囲を飛び回る外役ワーカー♀の様子を240-fpsのハイスピード動画に撮ってみました。
スローモーションで見ると、帰巣しようとする個体に対して在巣のワーカー(門衛?)がスクランブル(緊急発進)で迎撃しています。
正面からぶつかるように軽い空中戦が行われます。
帰巣直前のワーカー同士で空中戦になることもあります。
もつれ合うように落ちても地上で格闘したり毒針を使った殺し合いには至らずすぐに別れます。
同じコロニーの仲間だと気づいたのでしょう。
何らかの理由でコロニー全体の気が立っていて、巣を守るために接近する仲間に対しても誤認攻撃を繰り返しているのかな?
あるいは、羽化したばかりでこれから外役に就くワーカー♀が巣の位置を記憶するための定位飛行なのかもしれません。
この騒ぎを眺めていると、素人目にはなんとなく互いに空中戦を仕掛ける遊びを楽しんでいるのではないか、という気さえしてきました。
三脚を立てて静かに撮影する私に対してモンスズメバチが攻撃を加えることはありませんでした。
帰巣直前に空中で脱糞する瞬間が偶然撮れていました。@5:37
ホバリング(停空飛翔)しながら白い液体を2滴排泄しました。
つづく→巣に出入りする様子のHD動画
クヌギの枝葉 |
クヌギの幹。モンスズメバチが営巣する樹洞(右下)の反対側にもう一つ樹洞がある(左上、枝の下)。 |
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