2013年10月下旬
ミズナラの幹に止まって樹液を吸っているオニベニシタバ(Catocala dula dula)は翅を閉じていると周囲の樹皮に完璧に紛れ込んでいます。
後翅の赤い模様を広げた瞬間を見たくて、240-fpsのハイスピード動画で長撮りしてみました。
シーン1:
近づいてきたハエに対して翅を広げて威嚇しました。
シーン2:
先客のアカタテハに対して翅を激しく広げて追い払いました。(占有行動)
この瞬間の後翅の黒紋からオニベニシタバと判明。
力関係の序列はオニベニシタバがアカタテハよりも上になるようです。
(オオスズメバチ>オニベニシタバ>アカタテハ>ハエ)
シーン3:
飛び立ちの瞬間を撮りたかったのですが、何度も小石を投げ付けたくらいでは逃げませんでした。
自分の保護色に絶対の自信があるようです。
蛾の横から幹を棒で叩いたら漸く飛んでくれました。
驚かせたら翅を広げて派手な後翅を見せてくれるかな?と思ったりもしたのですけど、飛んで逃げました。
シーン4:
シータテハを撮っていたら、目の前を偶然オニベニシタバが飛んで横切りました。
(オニベニシタバの)あざやかな後翅には、捕食者である鳥への視覚撹乱効果があるとされており、飛んで逃げる際に消失する色、この視覚情報の切り替えに鳥は惑わされるといわれる。
『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p27より引用
【追記】
福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると、
ヤガ科のシタバガ類は樹幹にとまっているときは、鮮やかな色彩をもつ後翅が樹皮状模様の前翅によって隠されているので、鳥などには保護色となってわかりにくい(1次防衛)。しかし、たまたま鳥に発見されると、後翅をパッと開いて飛び立ち鳥は鮮やかな色に幻惑されて攻撃をひかえる(2次防衛)という。シタバガ類の後翅が、種によって黄色・紫色・白色などと変化するのは、鳥の攻撃をさけるための適応と考えることもできる。 (p107より引用)二段構えの防衛戦略を解説するための1次防衛、2次防衛という用語は初めて知りました。
0 件のコメント:
コメントを投稿