ナミツチスガリ営巣の定点観察#3
2012年8月中旬
前回の観察から2日後にナミツチスガリ(Cerceris hortivaga)の集団営巣地を再訪しました。
林道を通る車によって巣穴や砂利が踏み潰されるのではないかと心配でしたが、お盆休みの頃だったので交通量はゼロでした。
ナミツチスガリ集団営巣地の位置関係。 蜂の出入りを見逃さないよう巣穴a,b,cに蓋を被せておく。 |
この日は3つの巣穴が見つかりました(左から順に巣a, b, c)。
3つの巣穴の位置関係はかなりつぶれた三角形で、ほぼ一直線上にあります。
巣穴a-b間の距離は32cm、b-c間は24cm。
ペットボトルを半分に切った透明容器を巣口に被せて蜂の帰巣を待ちます。
在巣の巣には被せた蓋に目印の一円玉を乗せて置くようにしました。
巣の横でしゃがんでいると、蜂はどうも警戒して帰巣してくれないようです。
少し離れて立っていれば大丈夫でした。
この記事では巣穴aに出入りする蜂の活動について映像をまとめました。
同一個体の2日前の活動はこちら→「在巣のナミツチスガリ♀が外出するまで」。閉鎖されていた巣穴がいつの間にか中から開きました。
巣口周辺に捨てた盛り土が湿っているのは、雨が降ったせいでしょう。
帰巣シーンは素早すぎて、獲物の有無は不明です。
ハイスピード動画で側面から帰巣シーンを撮らないといけませんね。
頭から巣に入った蜂はその体勢のまま(体の向きを変えず)、すぐに中から巣坑を一時閉鎖しました。
巣口は蜂がぎりぎり通れる幅しかありませんが、巣坑の奥で方向転換できるようです。
しばらくすると巣口に蜂の黄色い顔が覗いて見えます。
おずおずと外に出て来て飛び立つと、周囲の状況を記憶するため巣口に頭を向けたまま扇状に定位飛行しました。
帰巣するたびに中から土砂を脚で掻き出して巣口を戸締りしていす。
一方、外出の際は戸締りしないのが不思議で、寄生者に対して無防備のような気がします。
『狩蜂生態図鑑』p137によると、本種は
まず獲物をまとめて狩っておいて、巣口を閉ざし、地下でゆっくりと複数の房室を作り、でき上がると巣を開いてまた狩りをする。
最後の外出の際は、斜坑を大顎で整地しながら出てきました。
つづく→「帰巣時に迷子になるナミツチスガリ♀b」
出巣 |
開口状態の巣穴 |
巣穴の一時閉鎖 |
一円玉を並べて巣穴(一時閉鎖)を採寸 |
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