2025/01/28

ニホンアナグマが冬眠する営巣地を1〜2頭でうろつくホンドタヌキ:2月下旬【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2024年2月下旬 

シーン0:2/20・午後13:42・くもり・気温20℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)が冬眠する営巣地(セット)を自動センサーカメラで見張っています。 
今季は異常な暖冬で雪解けが早く進み、林床にちらほらと残雪があるだけです。 
まるで早春のような光景です。 

画面の左右に2つの巣口L、Rがあります。 
近所のホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通ってくるシーンをまとめました。


シーン1:2/21・午前0:01・気温2℃(@0:03〜) 
奥の林内を単独行動のタヌキが右へ向かっています。 


シーン2:2/24・午後19:08・気温-1℃(@0:14〜) 
3日後の晩に監視カメラが起動すると、すっかり雪景色に戻っていました。 
ただし積雪量は少なく、巣口LRは埋もれていません(開口したまま)。 
左から来たタヌキが回り込んで、アナグマの巣口Rと巣口Lを順番に点検しました。 
その後は、奥の林内へ戻って行きます。 


シーン3:2/25・午前3:57・気温-6℃(@1:14〜) 
日付が変わった未明。 
低温のために監視カメラの起動が遅れたようです。 
手前から来たと思われるタヌキが、アナグマの巣口Lの匂いを嗅いでから左へ向かいました。 


シーン4:2/28・午後21:38・気温2℃(@1:31〜) 
3日後の晩には、林床の残雪はほとんど消えていました。 
♀♂ペアと思われる2頭のタヌキが連れ立って左から登場しました。 
先行個体がアナグマの巣口Rと巣口Lを順番に点検し、最後は巣口Lを飛び越えて左へ立ち去りました。 
後続個体は、従順に後ろを付いて歩くだけで、通りすがりに巣口Lの匂いを軽く嗅いだだけでした。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 




防風林で秋に落雷を受けたスギの木

 

2023年10月中旬・午後・晴れ 

平地のスギ防風林で、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が通う溜め糞場phを久しぶり(17日ぶり)に定点観察しに来ました。 
新鮮な糞は追加されていませんでした。 
どうやら最近は使われていないようです。 

それよりも、このスギ林に大きな異変が起きていました。 
植林地(防風林)の真ん中で、新たにスギの倒木が増えて林床に散乱していたのです。 
以前、溜め糞場phを監視するためにトレイルカメラを設置したスギ大木の上半分が縦に裂け、幹が真っ二つに折れていたのです。 
このような状態を「中折れ」と呼ぶのだそうです。 
スギの朽木や枯木ではなく、緑の葉が茂る健康な生木が被害に遭っていました。 

秋は台風のシーズンですから、嵐による強風で折れたのでしょうか? 
それなら1本だけが倒れるのではなく、広範囲で何本もスギの木がなぎ倒されているはずです。 
防風林の中央部で他のスギに囲まれた1本だけ風倒するのは不自然です。 

幹の途中で縦に裂け目が入って折損したという状況からも、おそらく落雷したのでしょう。 
しかし、その木が焦げたり燃えたりした形跡はありませんでした。
(落雷木に必ずしも焼け焦げ跡が残るとは限らないのだそうです。) 
スギの防風林は樹高がほぼ揃っているはずなのに、なぜ中央の1本の木だけに落雷したのか、不思議です。 
「出る杭は雷に打たれる」のでしょうか?
その木がたまたま他の木よりも少しだけ高かったり、何らかの理由で他の木よりも電気を通しやすい状態にあった可能性があります(水分含有量が高いなど)。 
落雷は必ずしも最も高い木に起こるわけではなく、電荷の分布や樹木の状態など、複数の要因が関係するのだそうです。 

その杉の木にもしトレイルカメラを設置したままなら、落雷の過電流で壊れたり燃えたりしたはずなので、助かりました。 
初めて入る防風林なら、同じ光景を見ても「倒木の多い荒れたスギ林だなー」と思うだけでしょう。 
定点観察に通っていたからこそ、落雷木に気づくことができました。 

林業家にとってみれば落雷木は天災による痛い損失でしかありませんが、森林生態学的には良い面もあります。
鬱蒼と育ったスギ林の中には日光がほとんど射さず、他の植物はあまり育つことができません。 
落雷でスギ林の中央部に林冠ギャップができたので、ここだけ林床の日当たりが良くなり、新たに植物が育って森の更新が進むことが期待できます。 
また、新たなスギ倒木を餌としてキノコなどの分解者が長い年月をかけて腐朽させます。 
それまでの間、林床に放置された倒木は小型の哺乳類(野ネズミなど)に隠れ家や餌場を提供してくれます。 
落雷(の轟音)にキノコの発生を促進する効果がある、という面白い説があるのですけど、スギ林でも見られるのか楽しみです。


さて、落雷がいつ起きたのか、正確な日時を突き止められるでしょうか?
私が定点観察した9月下旬から10月中旬までの17日間のどこかで落雷したはずです。
今回、Perplexity AIに相談して初めて知ったのですが、気象庁は落雷の詳細なデータを記録しており、過去に遡って落雷の有無を調べることが可能です。 
気象庁は雷監視システム(LIDEN: LIghtning DEtection Network system)を使用して落雷を観測しています。 
このシステムにより、落雷の場所や時間を5分単位で記録しています。 
気象庁のウェブサイトでは、過去の気象データを検索することができます。 
少しやってみたのですが、忙しくて調べ切れていません。 



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落雷による林冠ギャップ

中折れしたスギ落雷木

真下に散乱する中折れの破片




以下は、タヌキの溜め糞場ph:倒木横の様子を撮った写真です。
糞に未消化の種子(銀杏およびリンゴ?)が含まれているのですが、落雷木に気を取られた私は、真面目に調べていません。







2025/01/27

暖冬で雪の溶けたスギ防風林を駆け抜けるニホンザルの群れ【トレイルカメラ】

 



2024年2月下旬 

シーン1:2/20・午後14:46・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
平地のスギ防風林で風倒木が何本も長年放置されています。 
画面の右下手前から奥に向かって根こそぎ倒れた(根返り)スギの根元に掘られた巣穴b(画面中央)を自動撮影カメラで見張っています。 
 そこでニホンイタチMustela itatsi)が越冬していたのですけど、最近ではなぜか姿を見なくなりました。 

今季は記録的な暖冬で、積雪量も例年よりはるかに少ないです。 
林床の残雪が完全に溶け去り、季節外れにまるで早春のような光景になりました。 


シーン2:2/29・午前7:10頃(@0:04〜) 
午前中に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが右から左へ続々と通過しました。 
どうやら先頭個体は撮り損ねたようです。 

手前から来た2頭が相次いで水平倒木の下をくぐり、奥へ駆け抜けて行きました。 
後続個体の子猿は、ちょっとした坂を駆け上がった勢いで、近くの細い落葉灌木に飛びつきました。 
子猿は朝から元気があり余っているようです。 
まるでパルクールの達人のような身体能力を、1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:25〜) 
子猿はすぐに地面に飛び降り、先行する成獣の後を追います。 
ニホンザルたちは、根返りスギやイタチの越冬用巣穴bには全く興味を示しませんでした。 

更に別の2頭が奥のスギ林を右から左へ遊動しています。 
つまり、少なくとも計5頭のニホンザルの群れが平地のスギ林を遊動していたことになります。 
カキノキなど果実がまだ樹上に残っている果樹を目指して移動中なのでしょう。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

ちなみに、細い水平倒木を丸木橋のように渡る野生動物がいるのではないかと予想していたのですけど、そのような使われ方は全くしてませんでした。
水平倒木という障害物の下をくぐり抜ける立体交差の獣道になっているだけです。


つづく→

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