2024/02/12

幼獣の上に座ってアロマーキングするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬〜中旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母親♀が巣外に連れ出した幼獣に対して頻繁にアロマーキングするようになりました。 
アナグマのマーキング行動にはスクワットマーキングとアロマーキングの2種類あります。 
地面に座って尻を擦り付け、臭腺や肛門腺で縄張り宣言の匂い付けをするスクワットマーキングはトレイルカメラでこれまで何度も撮れていたものの、アロマーキングは初見です。
普段は巣内でアロマーキングしているのでしょう。
アロマーキングとは、アナグマどうしのにおいづけであり、二匹のアナグマがおしりを向けて立ち、臭腺を直接たがいにこすりあう。日本では、私はまだアロマーキングを見たことはないが、イギリスでは、個体の持つ臭腺物質および臭腺内に生息する微生物を交換することで、グループ内の個体が同じ構成のにおい物質を持つために行われるとされている。(金子弥生『里山のクラスアナグマたち:フィールドワーカーと野生動物』p64-65より引用)

幼獣が育って自分で勝手に歩き回るようになる前に、「我が子である」と匂いで認識できるように母親♀がアロマーキングするのでしょう。 
私は幼獣の個体識別が出来ていないのですが、♀は4頭の幼獣に万遍なくアロマーキングしているはずです。 

2台のトレイルカメラで別アングルから営巣地(セット)を監視しています。 
新機種と旧機種を入れ替えました。 
今回の動画では、表示される気温はすべて異常値です。 
これから夏になると、暗視動画の連続撮影によるカメラの熱暴走が心配です。 


シーン1・6/10・午後19:25(@0:00〜) 
アナグマ♀が手前の巣穴Lの外に4頭の幼獣を連れ出していました。 
幼獣たちは覚束ない足取りで歩き回り、母親♀の体にまとわりついてきます。 
そのうちの1頭の上に♀が軽く座ったのは、アロマーキングですかね? 
その後、別個体の幼獣が♀の背後から股の間を通り抜けた際には、アロマーキングをしませんでした。 


シーン2・6/10・午後23:03(@0:22〜) 
深夜に母子2頭が巣外に出ています。 
♀がまたもや幼獣の上にちょっと座って尻を付けました。 
♀はそのまま幼獣を尻で押し潰したりしないでアクセストレンチに座り直し、痒い体を後足で掻き始めました。 
母親に尻で座られても幼獣は悲鳴を上げたり抗議したりすることもありません。 


シーン3・6/10・午後23:03(@0:22〜) 
別アングルに設置した旧機種のトレイルカメラにも同じアロマーキングのシーンが録画されていました。 


シーン4・6/11・午後19:41(@0:45〜) 
翌日の晩に、母子2頭が巣外に出ています。 
♀が幼獣の上を跨いで通り過ぎる際に、わざと幼獣の上にちょっと座って尻を擦り付けました。 
その後は幼獣の毛皮を舐めて毛繕いしてやります。(対他毛繕い) 


シーン5・6/13・午前3:44(@0:56〜) 
2日後の雨が降る未明に、母子3頭が巣外に出ています。 
足元にまとわりついてくる幼獣の上に♀が跨り、尻を擦り付けました。 


シーン6・6/13・午前3:52(@1:11〜) 
8分後、新機種トレイルカメラによる別アングルの暗視映像に切り替わりました。 
手前の巣口Lで待っていた幼獣を咥えて♀が外に連れ出しました。 
途中で幼獣を地面に下ろして、その毛皮を舐め始めました(対他毛繕い) 
ときどき幼獣の上に跨る行動が意図的だとすれば、アロマーキングなのでしょう。 


シーン7・6/13・午後18:34(@1:30)日の入り時刻は午後19:05。 
同じ日の夕方、母子2頭が右の巣穴Rから外に出ています。 
♀がときどき幼獣の上に軽く座ってアロマーキングしています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 

成獣間の対他毛繕い(アログルーミング)は何度も見ているのに、アロマーキングは未だ一度も見たことがありません。
アナグマ♀とヘルパー♂(1歳仔の息子)は巣内でアロマーキングしているのでしょうか?



ムラサキツメクサの花蜜を吸うベニシジミ【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2023年6月上旬・午前11:00頃・晴れ 

川沿いの堤防路に咲いたムラサキツメクサ(=アカツメクサ)ベニシジミLycaena phlaeas daimio)が訪花していました。 
共にありふれた普通種ですけど、意外にもこの組合せは初見です。 
翅を立てたまま(ほとんど閉じて)吸蜜しているということは、気温が暑いのでしょう。 
よほど花蜜の量が豊富なのか、なかなか飛んでくれません。 
よく見ると、クモの遊糸が吹き流しのように風にたなびいているのがキラキラと光って見えます。 

花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:14〜) 
すぐ横をヒゲナガハナバチ?が高速で飛来しても、ベニシジミは無反応でした。 
用事があって急いでいた私はベニシジミが自発的に飛び立つまで待ち切れず、帽子を投げつけたら前方に飛び去りました。 
緊急避難の羽ばたきが速過ぎて、翅表の斑紋をしっかり見極められず、春型か夏型か不明です。

2024/02/11

後足で立ち上がって樹上の枝葉を巣材として集めるニホンアナグマ【トレイルカメラ】

 



2023年6月上旬・午前8:12・気温20℃ 

朝からニホンアナグマMeles anakuma)が林縁で巣材を集め始めました。 
明るい時間帯の巣材集めは初見です。

関連記事()▶ 

 
これまでは林床の落ち葉を掻き集めて寝床(敷きわら)としていたのですが、営巣地(セット)の周辺ではもはや落ち葉が枯渇したようです。 
細い蔓を咥えて後ろに引っ張り、引きちぎろうとしています。 
緑の木の葉などを前足で手前に掻き寄せながら素早く後退し、そのまま左奥の巣穴Lに入りました。 

同じ巣穴Lから外にすぐ出てくると、さっきと同じ場所(林縁)に戻り、前足で立木に手を掛けながら後足で立ち上がりました。 
高い位置にある横枝に前足が届くようになったので、その枝葉を落とし、そのまま巣材とするようです。 
セット(営巣地)周辺の灌木で小枝がすっきり剪定されている理由がこれで分かりました。 
夜の林内でアナグマが後足で立ち上がる行動は暗視動画で何度か撮れていたのですが、何をしているのか暗くてはっきり分かりませんでした。
今回ようやく巣材集めの決定的な証拠映像が撮れました。

おそらく♀ではないかと思うのですが、今回はアナグマの性別を見分けられませんでした。 
別アングルに設置したトレイルカメラで同時に撮れてなかったのが残念でなりません。 


今回のポイントは次の3つです。 
  • アナグマは明るい時間帯でも巣材が必要になれば巣の外に出て集める。 (昼行性になることもある。)
  • 林床の落ち葉や枯葉、枯草が無くなれば、臨機応変に緑の生葉を集めるようになる。 
  • 後足で立ち上がって高所の枝葉を採集することができる。 

アナグマが巣材として採取した植物の種類までは映像から見分けられませんでした。 
植物質の物で肌触りが柔らかければ何でも良いのかも知れません。
もしかすると、防虫効果やアロマ効果などの薬効を狙って特定の種類の植物(薬草やハーブなど)を集めていたとしたら面白いですね。 
例えば猛禽類は、防虫や殺菌用の巣材として針葉樹の枝を緑の葉を付けたまま持ち込むことが知られています。 

宮崎学『ワシ・タカの巣 (森の写真動物記 3)』によると、
樹上に巣をつくるワシ・タカはみな、殺菌作用のある青葉を巣に運びます。えさがくさって、菌が広がるのをふせぐためです。 (p24より引用)


ランダムに記事を読む