2023/12/01

深夜の営巣地で交尾するニホンアナグマ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月下旬・午前2:56〜4:05 

草木も眠る丑三つ時に、巣穴Rの奥の林縁でニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma)が交尾していました。 
交尾に至る求愛の記録されていないのが残念です。 
いつものように夜這いに来た♂が求愛し♀が巣穴Rから出てきて交尾に応じたのか、それとも外出して帰巣途中の♀を掴まえて交尾したのでしょうか? 

体格はやや♀<♂。 
背後から♂にのしかかられた♀は、後脚を畳んで座り込みました。(腹這い?) 
♂は前脚で♀を抱え込むだけでなく、♀の首の皮に噛み付いて保定しているようです。 
♀にマウントしながら♂は腰をスラストさせました。 
アナグマの♂が筋肉隆々なのは、穴掘り作業をするだけでなく、交尾で♀を長時間抑え込む必要あるからなのでしょう。

巣穴の主である♀は、顔を正面から見ると左右の目の大きさが異なります(右目<左目)。 
♀が落ち着き無く動き回ろうとしても、♂が背後からがっちり抱え込んでいるので、逃れられません。 

♀が♂から逃れようともがくことで、ときどき向きが変わります。 
カメラに対して横を向いたり後ろ向きになったり正面を向いたりと、交尾シーンを全てのアングルから記録することができました。 

♀が立ち上がろうとする度に♂が背後から押し潰すように♀を押さえつけます。
交尾しながらコテンと横倒しになっても、すぐに起き上がります。(@18:15〜、@19:07〜)
横倒しのまま交尾を続ける体位のバリエーションは無いようです。 

交尾中の♂がときどき中腰になり、尻尾を左右に激しく振ることがありました。(例@14:33〜) 
♀の尻尾は交尾中にどういう状態なのか、見えません。 

少し遠い上に春の夜風がゴーゴーと吹くので、ニホンアナグマの鳴き声があまり聞き取れません。 
(トレイルカメラ自体が時計のように規則的に発し続ける内部ノイズも耳障りです。) 
たまに、ワンッワンッ♪またはウッウッ♪のような声で鳴く声がかすかに聞こえます。 
なんとなく♀が抗議して鳴いている気がするのですけど、♀♂どちらの発した鳴き声なのか不明です。 
ときどきかすかに聞こえるキチキチキチ…♪またはグルルルル…♪のような奇妙な鳴き声が、♂の発する求愛声(いわゆるジェジェ・ジェビーム♪)のようです。 
♀を交尾に誘ったり(求愛)、逃げようともがく♀を宥めるため鳴く声なのでしょう。


アナグマは一夫一妻ではなく、一妻多夫の乱婚型なのだとか。 
私は未だアナグマ♂を個体識別できていませんが、近所に住む複数の♂が♀の巣穴へ代わる代わる夜這いに来ていたはずです。 
今回の♀♂カップルが交尾中に、♀を強奪しようと別のあぶれ♂がやって来ることはありませんでした。 
あぶれ♂は遠慮して、少し離れた位置で交尾の順番待ちをしているのでしょうか?  
それとも♀との交尾権をめぐる♂同士の闘争で決着が付いているのかな? 

電力消費の激しい暗視動画を連続撮影するので、トレイルカメラの電池が消耗してきました。 
録画時間を1分30秒間に設定していたのに、後半は録画時間がどんどん短くなり、わずか数秒間で打ち切られるようになりました。 
それでも電圧が回復するとニホンアナグマ♀♂の動きにセンサーが反応してカメラが再起動し、健気にも動画を撮り続けてくれます。 
 遂に交尾時間が1時間を突破しました。 
アナグマ♂の持久力は絶倫ですね。 


♀が♂と長時間交尾している間、実は巣穴の中には生まれたばかりの赤ちゃん(幼獣)が居ます。 
定期的に授乳したり抱いて保温したりする必要があるはずですけど、♀がこれほど長く巣穴を留守にしていて大丈夫なのでしょうか?(育児放棄) 
母親に代わってヘルパーが赤ちゃんの面倒を見ているのかもしれませんが、アナグマの場合は若い♂がヘルパーなので、授乳は無理でしょう。 

アナグマ♀は出産したばかりの育児中に♂と交尾するのです。 
♂との交尾で受精しても遅延着床という仕組みがあって、次の赤ちゃんを翌年の冬から春にかけて出産するようになっています。 
通常は胚が子宮に侵入すると直ちに着床するが、イタチ科やクマ科、鰭脚類(アシカ科・アザラシ科・セイウチ科)、カンガルー、ラットなどの一部の動物種の胚は子宮内で浮遊状態を保ち、条件が整ってから着床する。これを着床遅延(ちゃくしょうちえん)と呼ぶ。wikipediaより引用)

 

(ニホンアナグマの)交尾期は2月〜4月、遅延着床がみられ、妊娠期間は約1年間におよぶ。産仔数は1〜4頭。(福田幸広『アナグマはクマではありません』の表紙カバー裏より引用)

交尾を終えた♀♂ペアが離れる瞬間を撮れずに残念でした。
交尾後の♀は巣穴Rに戻り、♂も自分の巣へ帰っていったはずです。

野生動物の交尾行動を初めて観察できて、とても感動しました。 
初回は早回し加工などはしないで、赤裸々な無修正ノーカットでお届けします。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


・♀は冬眠から覚めて少しすると巣穴で出産します。驚くことに出産後すぐに発情して交尾が始まります。
♀は交尾刺激を受けることで排卵します。そのため交尾は休憩を挟みながら何度も行なわれます。
・♂は交尾の最中もずっとジェジェジェビームを発し続けています。♀は時折「キュッ、キュッ」と声を発する程度です。
・♀は巣の中の赤ちゃんに授乳しながら複数の♂のプロポーズを受け続けたのです。
・交尾の間中、♂は♀の背中に噛み付いたままジェジェジェビームを出し続けているのです。(以上、福田幸広『アナグマはクマではありません』p50より引用)



 

↑【参考動画】 
ニホンアナグマの交尾行動  Japanese Badger's mating by しあわせ動物写真家・福田幸広 /Yukihiro Fukuda 

私のバイブルとなっている写真集『アナグマはクマではありません』の筆者による動画です。
深夜の夜這いに来た♂が巣口で求愛し、中から飛び出してきた♀と交尾を始めるところからトレイルカメラの暗視映像で撮れています。 
♂が♀の首筋に噛み付きながら交尾しています。 
確かに♂がジェジェジェ♪と鳴いていました。 
中盤は40倍速の早回し映像。 
交尾を延々と4時間近く続けてします。 
交尾を終えた♂はすぐに離れて立ち去り、 残された♀はゆっくり巣穴へ戻りました。



ハシボソガラスは刈田を耕すトラクターを利用して虫を捕るか?(野鳥)オートライシズム

 

2023年4月下旬・午前11:00頃・晴れ 

毎年春になって耕運こううん機(トラクター)が田畑を耕していると、近くに野鳥が集まっていないか気をつけて観察するようにしています。 
騒音を上げて動き回る巨大な機械は、野鳥にとって怪物のように見えるはずです。 
恐怖を克服して野鳥が集まるのは、耕された土に交じって露出したミミズやケラなどの土壌生物をいち早く捕食するためです。 
これはオートライシズムと呼ばれる行動で、片利共生の一種です。
畑を耕している耕運機の後をムクドリ・ハクセキレイなどがついて歩き、掘り起こされた土の中にいる虫を探していることがあります。 鳥が自分の生活のために、他の動物や人の活動を積極的に利用することを「オートライシズム」と呼んでいます。 (平塚市博物館サイトの解説より引用)

大田真也『カラスは街の王様だ』によると、”autolycism”の語源は、ギリシャ神話の泥棒の名前(Autolycus:アウトリュコス)に由来するそうです。


平地の田んぼで水入れする前の耕耘が始まりました。 
作業するトラクターの近くを1羽のハシボソガラスCorvus corone)がうろついていました。 
積極的にトラクターに近づいてきたのでしょうか? 

カラスが頭部の羽毛を逆立てているのは、緊張や恐怖の現れだと思います。 
その状態だとハシブトガラスのようにも見えて紛らわしいのですが、トコトコ歩いて移動する(ウォーキング)ことからハシブトガラスですね。 
ハシブトガラスなら足を揃えてピョンピョン跳んで移動する(ホッピング)はずです。 

土を耕すトラクターの背後に回り込めば虫が捕食できるはずなのに、ハシボソガラスは畦道から反対側の刈田へ逃げてしまいました。 
オートライシズムは後天的に学習する高度な採食行動だと思いますが、この個体は未だ会得していないのかな? 
仲間が集まれば、もっと大胆になるのかもしれません。

鳥のオートライシズムという賢い採食行動は、バードウォッチングの写真集や書籍でたまに掲載されています。
私も動画に撮ってみたいのに、なぜか私のフィールドでは農村部でもあまり見られません。 


当地では収穫期になると爆音器や様々な鳥よけグッズを駆使して農作物を鳥の食害から守りますから、野鳥がヒト(農民)を恐れて近寄らなくなったのでしょうか? 
私が最も懸念しているのは、当地の田畑では長年の農薬使用で虫の数が激減し、トラクターが土を耕しても鳥が捕食したくなる虫がほとんど出てこないのではないか?という可能性です(沈黙の春)。 

ちなみに、水田を区切る畦の側面が水漏れしないよう丁寧に泥が塗りつけられ、きれいに均されていました。
(この作業を正式には何と呼ぶのでしょう?) 

2023/11/30

求愛に来たニホンアナグマ♂を門前払いした♀が追いかけて交尾?【トレイルカメラ】

 



2023年4月下旬・午後18:39頃・(日の入り時刻は午後18:26) 

日が暮れて早々にニホンアナグマ♂(Meles anakuma)が♀の巣穴Rに来ていました。 
巣口Rに頭を突っ込んでいますが、♂による求愛声は聞き取れませんでした。 
中から♀が出て来ると、♂は慌ててセットの右へ逃げました。 
この♂は臆病と言うかとても紳士的で、♀の巣穴に押し入ったり、強引に♀を巣穴から外へ引きずり出したりしませんでした。 

アナグマ♀も、♂が逃げた方へゆっくり歩いて行きました。 
寝起きの♀は機嫌が悪いのではないかと、♂の安否が心配です。 

やがて右の死角から小声で鳴く声が聞こえるようになりました。 
怒った♀がしつこい♂を撃退する威嚇や喧嘩の鳴き声ではなさそうです。 
ニホンアナグマ♀♂がいちゃつく鳴き声だとしたら、遂に交尾が始まったのでしょうか? 
トレイルカメラは完全に固定されていますから、画角の外で何が起きているのか見れないのがもどかしいです。 



※ 動画編集時に自動色調補正を施し、後半は鳴き声が聞き取れるように音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


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