2023/10/09

池のミズカマキリ♀を素手で一時捕獲してみる

 



2023年3月下旬・午後14:40頃・晴れ 

雪解け水の溜まった池で初めて見つけたミズカマキリRanatra chinensis)を捕獲してみることにしました。 
早春のミズカマキリは意外に鈍く、私が岸辺に忍び寄って手を伸ばしても逃げません。 
網を用意してなかったので手掴みですばやく掬い上げたら、難なく捕まえられました。 

呼吸管が体長より長くなかったことから、この個体は♀と判明しました。 (※ 追記参照)
水中では右の鎌が欠損しているように見えたのですが、掌に乗せてよく観察すると正常でした。 
囚われてもミズカマキリは手足を緩慢に動かすだけで、鎌で反撃したり口吻を突き刺したりすることはありませんでした。 
早春で水温や気温が未だ低いために、動きが鈍いのかもしれません。 
前脚の鎌を畳んで揃えて前に伸ばし、前習いのような体勢になりました。 
歩行は中脚と後脚の4本で行います。 

ミズカマキリが飛ぶという予備知識はあったので、飛び去る様子を動画撮影できないかと期待しました。
(ミズカマキリは)秋にはよく飛び立つ。(『フィールド版ため池と水田の生き物図鑑:動物編』p88より引用)
しかし翅を広げて飛び立つ気配はありません。 
私の手のひらの端から転がり落ちるように脱出すると、自発的に身投げしました。 
元居た池に落水すると、岸辺に産み付けられたゼラチン質のヤマアカガエルRana ornativentris)卵塊と枯草がクッションのようになりました。 

いつかミズカマキリの飼育に挑戦してみたいものです。 


【追記】
森上信夫『虫のオスとメス、見分けられますか?』によると、ミズカマキリは腹端を腹面から見たときにて亜生殖板のV字の形状に性差があるそうです。
横から見ると亜生殖板は実際にとがっており、尾端から突き出しています。(p31より引用)

2023/10/08

雪解け後の農道に現れたハタネズミの掘ったトンネル網

 

2023年3月下旬・午前9:10頃・晴れ 

深い根雪がようやく溶け去ると、田んぼの農道に浅いトンネル跡があちこちにうねうねと掘られているのが見つかります。 
秋にはこれほど目立たなかった構造なので、冬の積雪期に小動物が地表と積雪層の間にトンネルを掘って縦横無尽に移動していたようです。 
私は幼少期から見慣れていたものの、てっきりアズマモグラMogera imaizumii)の巣穴だと思い込んでいました。
ところが最近になって、ハタネズミMicrotus montebelli)の掘ったトンネル網のフィールドサインと知りました。 
トンネルの天井は積雪層で覆われていることになります。 
冬は地面が凍結しているため地中深くにトンネルを掘れないのかな? 
雪が降らない暖地では、もう少し深いトンネルを地中に掘るのでしょうか? 

氷の板のように薄くなった最後の残雪を地表から剥がしてみたときに現れるトンネル網も撮影したかったのですが、思いついたときにはもう時期が遅かったです。 
来年の早春にまた改めて撮影します。 

地表のトンネル網を見る限り、ハタネズミは農道脇の側溝を横切れないようです。 
つまり、コンクリート3面張りの側溝がハタネズミの移動を妨げるバリアとなっています。 
あるいはもしかすると、側溝の下をくぐる深いトンネルを掘って隣の刈田に侵入しているのでしょうか? 

早春から季節が進むと、ハタネズミが農道を掘り返したトンネル網はいつの間にか消失します。 (目立たなくなります。)
田植えする前に農家のお百姓さんが丹念に埋めたり踏み固めたりしているのでしょうか?
それとも雨が降ったり雑草が生い茂ったりすれば、地表の凹凸は自然に風化するのかな? 

さて、早春の雪解けした農道に現れる複雑怪奇なトンネル網が本当にハタネズミの仕業であることを、どうやったら証明できるでしょうか? 
「百聞は一見に如かず」をモットーにしている私は、自分の目で実際に見なければ本にもっともらしく書いてあることも鵜呑みにできません。 
仮にトンネルに罠を仕掛けてハタネズミが捕獲できたとしても、本当にハタネズミが掘った巣穴なのか居候している巣穴なのか区別できません。 
決まったトンネルに定住しているのであれば、小型カメラを冬季のトンネル内に設置してみたいものです。 
野外に巨大な飼育施設(コンクリートの箱)を作り、土を深く入れて雑草を生やしてから、生け捕りにしたハタネズミを放飼したらどうなるでしょう?
もし同じ構造のトンネル網が再現されたら、疑り深い私も納得します。 
しかし、そんな壮大なプロジェクトは素人の手に余ります。 

難しいことを考えなくても、夏の田んぼの農道にトレイルカメラを適当に(雑に)設置するだけでハタネズミの活動がよく写るのかもしれません。 
田園地帯でよくホバリングからの狩りをするノスリやチョウゲンボウなどの猛禽に獲物を見つけてもらうのが一番確実です。 
猛禽の背中や胸にGoProなどの小型カメラを仕込んで、田んぼのトンネルから出てきたハタネズミを狩る瞬間を自撮りしてもらえたら面白そうです。(夢想)

関連記事(2ヶ月後の撮影)▶ 草地でハタネズミの死骸を見つけた!


【追記】
ポケット版 学研の図鑑〈9〉『フィールド動物観察:足あと、食べあと、ふん』でハタネズミについて調べると、
 ハタネズミは、地表から地下50cmくらいにかけて、トンネルのような通り道をほって、中にかれ草などを集めた巣を作ります。畑や野原にすててあるベニヤ板などをどかすと、トンネルがあらわれることがあります。(p88より引用)
下線部が観察のヒントになりそうです。
例えばベニヤ板の代わりに透明なガラス板を使えば観察しやすいかもしれません。(他の本で読んだことがあるような…)


午後の雪解け田んぼに続々と飛来・着陸するコハクチョウの群れ【冬の野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後・晴れ

雪が溶けた早春の刈田で採食するためにコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の群れが続々と飛来します。 
小群で旋回して周囲の安全を確認し、滑空して優雅に着陸する様子を高画質の4K動画で何度も記録することができました。 
三脚を使った流し撮りの練習に最適の被写体で、飽きませんでした。 

コハクチョウは編隊飛行の間も鳴き交わしているようです。 
♀♂つがいまたは家族群を単位として行動しているのでしょう。 
着陸の際に離れ離れになることもありましたが、餌場で互いに鳴き交わして再会するはずです。 

着陸シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@5:18〜5:55) 
滑空で行動を下げ、羽ばたきながら少しずつ上体を持ち上げて減速し、最後に両足を前に出して着地すると、少し走ってから止まります。 

仲間が多く集まっている餌場の方が心理的に安心して合流できるようです。 
しかし、餌場で白鳥の密度が高くなると、限られた餌をめぐる競争が激しくなるはずです。 
夕方が近づき、このまま餌場にねぐら入りするためコハクチョウの大群が集結しているのではないか?という気がしてきました。 

つづく→

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