2023/03/19

山道の溜め糞場を横切るオオキノコムシ

 

2022年9月下旬・午後15:10頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする細い林道(作業道?)に残されたタヌキの溜め糞場dを久しぶりに見に来ました。 
この山道は斜面の谷側にあるスギ植林地と山側にある雑木林との境界線になっていて、林床には広葉樹の枯れた落葉や落枝が散乱しています。 

黒光りする大型の甲虫が1匹、林道を歩いて横切りました。 
右の触角が途中から欠損した個体です。
溜め糞の糞便臭に誘引されて来たのかと思いきや、糞虫とは違って獣糞そのものには興味がないようです。 
林道上に転がっている落枝を挟んでタヌキが新旧2つの糞塊を残していて、オオキノコムシはその間を通り抜けました。 

甲虫に疎い私はキノコムシの一種だろうとしか現場では分からなかったので、逃げられないうちに採集しました。 
見たこともない巨大さに感動しました。(体長Xmm)
帰宅してから図鑑で調べてみると、オオキノコムシEncaustes cruenta praenobilis)と判明。
オオキノコムシのなかまでは飛び抜けて大きい。触ると甘い香りを出す。16〜36mm。北海道〜九州。5〜9月。サルノコシカケに集まる。( 『くらべてわかる甲虫1062種』p77より引用)
捕獲した際に甘い匂いを放ったかどうか、私は気づきませんでした。
現場の周囲を見渡すと、林道上に放置された倒木の多くが秋の雨で水気を含んで朽ちていて、キノコも発生していました。 
しかし、サルノコシカケは見当たりませんでした。 

もし私が採集しなければ、オオキノコムシはそのまま斜面の谷側に向かっていて、雑木林のエリアから杉林のエリアへと移動したことになります。 
好物のサルノコシカケを探しているのなら明らかに逆方向に行くべきだと素人考えでは思うのですが、ある程度はランダムウォークするのですかね? 
キノコ狩りをしない私はキノコに関して全く疎いのですが、調べてみると「サルノコシカケ」という和名のキノコは存在しなくて、サルノコシカケ科を含めていくつかの科を含む総称名なのだそうです。
しかもサルノコシカケが生える木は針葉樹と広葉樹の両方あると知って驚きました。
なんじゃそりゃ!(唖然)
スギの木に生えるサルノコシカケなんて見たこと無いのですけど、私が知らないだけで、あるのですかね?
DNA解析が登場する前の古い時代のキノコ分類学の名残らしく、混乱を招く総称(俗称?)は今後廃れていきそうです。
キノコムシ類の生態も面白そうですし、まずはキノコについてこれから少しずつ勉強していかないといけません。
「通い慣れた裏山にも未踏のフロンティア(自然観察のネタ)は幾らでも広がっているなぁ」と嬉しいやら気が遠くなるやら…。


採集したオオキノコムシの標本写真を後で載せます。
体長を測ること。


【追記1】 
この溜め糞場dの存在は数年前から気づいていたのですが、小規模のまま消失することもあり、季節消長が不安定でした。 
後日トレイルカメラを設置して、確かにホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が夜に来て排便したことを確認しました。(映像公開予定) 


【追記2】
YouTubeのコメント欄にて、kiokuima氏より「オオキノコムシは溜め糞場に生えた菌類を食べに来たのでは」との示唆をいただきました。
しかし、あちこちの溜め糞場を通年観察しても、キノコムシ類を見かけたのはこのときだけでした。
(獣糞の中に潜り込んでいるのだとしたら、見落としていそうです)
私は糞生菌やアンモニア菌にも興味があるので、溜め糞場に生えるキノコを今後も探し続けます。


【追記2
サルノコシカケの仲間の写真を探したのですが、キノコ類の写真をあまり撮っておらず、古い写真しかありませんでした。
2018年7月中旬、同じ山域の林道脇で立ち枯れしかけたクリの幹に生えているのを見つけました。
上面よりも下面に多くの黒い甲虫(おそらくキノコムシの仲間)が群がっています。






2023/03/18

雨夜のスギ林道で撮れたアライグマの尻尾?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月下旬・午後22:35頃・雨・気温16℃ 

里山のスギ林道でタヌキとアナグマの溜め糞場sをトレイルカメラで監視していると、雨が降る晩に謎の野生動物が記録されていました。 

カメラの死角(手前側)から何やらガサゴソ♪と物音がしています。鼻息? 
残念ながら全身像は一度も写りませんでした。 
謎の獣が方向転換した際に、太い尻尾だけチラッと写りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、尻尾にくっきりとした横縞模様がありました。 
したがって、これはアライグマProcyon lotor)と判明しました。 
在来種の哺乳類で横縞模様の尻尾を持つ者はいません。

【追記】
ネコの尻尾という可能性もあり得ますけど、ふもとの飼い猫がこんな山奥まで登ってくるとは考えにくいです。
 

私は外来種のアライグマをフィールドで見かけたことが未だ一度もありません。 
遂に山形県の山林にまで分布を広げてきたようです。 
日本各地でアライグマは在来種を圧迫したり農作物を食害したりと問題となっているので、心配です。

林道脇の法面でアライグマが一体何をしてたのか、気になります。 
スギの木の根元の崖を掘り返して餌を探していたのでしょうか? 
杉林で雨宿りしに来たのかもしれません。
林道の逆側のアングルからも別のトレイルカメラで狙っていたらスクープ映像が撮れたのに、残念無念…。 
アライグマがもしタヌキとアナグマの溜め糞場sに興味を示していれば、必ずトレイルカメラにしっかり写っていたはずなので、溜め糞を避けるように迂回したことになります。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
冒頭は短くまとめたハイライト、後半は全記録です。 
画面に何も写って無いのにアライグマの動く物音が聞こえるだけのシーンが続きます。 

草地を飛び回り巣穴に出入りするモンスズメバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 



2022年8月上旬・午前7:00頃・晴れ 

朝早くから河川敷を歩いていると、コンクリート縁石の横に開いた穴にモンスズメバチVespa crabro)のワーカー♀が出入りしていることに気づきました。 
6月に定点観察していたモンスズメバチのコロニーaは草刈り作業員に駆除されたと思っていたのですが、新しい巣bに引っ越し(逃居)してきたのでしょうか? 
新旧2つの巣は直線距離で北に(下流にa→b)約140m離れていました。 
蜂を個体標識していなかったので、同一コロニーとは限りません。
私が気づかなかっただけで、初めから独立した2つの巣があったのかもしれません。 
地中に営巣するモンスズメバチを見つけたのは2例目で、珍しくはないようです。 

イネ科の草(芝生?)が一面に生えた河川敷で元々は野ネズミの巣穴を再利用したのか、今回の巣口bはかなり大きく広げられています。 
数日前に集中豪雨が降ったのですが、この河川敷が氾濫するほどの増水はしてないので、巣内への浸水は免れたようです。 

複数個体のワーカー♀が連続して帰巣したり出巣したりすることがあり、活発なコロニーと分かりました。 
蜂が外役から戻ってくると、ブーン♪という羽音が聞こえます。 

黒っぽい小型のコオロギ?が巣口付近をウロウロしても、モンスズメバチ♀は獲物として狩るどころか全く無関心でした。 
門衛が追い払いに来ることもないので、コオロギは無害と判断されたのでしょう。 

この日は三脚を持参しなかったので、まずは手持ちカメラで動画を撮ります。 
私が巣に近づき過ぎると、警戒したワーカー♀が撮影する私の目の前をホバリングしてまとわりつき、誰何してきます。(映像なし) 
その度に落ち着いて後退したので、攻撃を受けずに済みました。 
黒い服を着ていたら危なかったかもしれません。 
モンスズメバチ♀が飛びながら大顎をカチカチ♪鳴らす威嚇は聞き取れませんでした。 
空中で透明な液体を排出したのは脱糞したのか、それとも毒液で警戒フェロモンを放出したのかな? (映像なし)

巣口を見下ろすように、帰巣する蜂の背側から撮ると、巣に何を搬入したのか、空荷かどうか確認できません。 
そこで巣口の横の地面にカメラを直置きし、240-fpsのハイスピード動画でモンスズメバチの離着陸を横から撮影してみることにしました。(@1:51〜) 
丸めたバンダナをカメラの下に挟み込んで、カメラの高さや角度を適当に調節しました。 
カメラという黒くて大きな異物が巣口の横に突然出現したので、帰巣した外役ワーカー♀は露骨に警戒するようになりました。 
しかし黒いデジカメに直接激しい攻撃を加えることはありませんでした。 
私は少し離れた場所から見守ります。 
しばらくすると、カメラの存在に慣れてくれた蜂がようやく落ち着いて巣穴に出入りするようになりました。 
後半からは緑の迷彩柄のバンダナを黒いカメラの上から被せてみたら、周囲の芝生に溶け込んで蜂はほとんど気にしなくなりました。
(この作戦はかなり有効です!)
 

空荷で帰巣したワーカー♀が真上から巣口に降下すると、周囲の草が蜂の羽ばたきでなびきます。 
まるでヘリコプターの着陸シーンのようで格好良いですね。
ホバリングしながらゆっくり降下しながらも、着陸するまで蜂は油断なく周囲を見回していました(空中で向きを変えています)。 
停飛しながらカメラ目線をくれることもありました。 
アシナガバチと違ってスズメバチは飛翔時に足を体側になるべく引き付け、空気抵抗を減らしています。 
その脚を伸ばして着陸します。 

トンネルから巣口まで這い出てきたワーカー♀は羽ばたきを始め、外役に飛び去ります。 

外役から戻ってきた個体が入巣しようとしたら、巣口から別個体が飛び出してきたので、着陸を延期しました。(出巣個体が優先?) 
一方、慌てて離陸した個体は巣口の横に生えた草にぶつかり、空中で少し体勢を崩しました。 

後半は手持ちカメラでもハイスピード動画を撮ってみました。 
巣口に置きピンしてから、飛来した蜂が入巣するまで上手く流し撮りすることができました。(@8:15〜) 
巣口の横に置いていたカメラが急に無くなったので、蜂は少し警戒しているようです。 
巣口の上でいつもより長くホバリングしています。 
あるいは営巣地の景色がまた変わったせいで、戸惑った蜂が少し迷子になっているのかもしれません。 
それでも結局は無事に帰巣しました。 
トンネルの入口で待ち構えていた門衛の誰何を受け、栄養交換をしたように見えました。 
門衛とすれ違って完全に入巣するまで、なぜか長く時間がかかりました。
(実時間でも長いので、早回しに加工しました) 

ラストシーンでは、出巣しかけた個体が巣口まで登ってきたものの、警戒・逡巡して巣内に戻りました。(@9:40〜) 

離着陸を繰り返す飛翔シーンをスーパースローで見ると、生きたモンスズメバチ♀は最先端の小型ドローンよりも高性能であることがよく分かります。 
何よりも静音性が段違いです。 
ハイスピード動画で迫力のある離着陸シーンが撮れたものの、期待したような獲物(肉団子)や巣材の搬入シーンは結局撮れていませんでした。 
撮れるまで愚直に粘るべきでしたが、太陽が高く昇るにつれて耐え難いほど暑くなりますし、徹夜明けで疲れていた私は撮影を打ち切って帰りました。 
周囲でミンミンゼミ♂がやかましく鳴いているのに、モンスズメバチは狩りに行かないのでしょうか?

※ 撮影順ではなく、ストーリーを考えて映像素材を並べ替えました。 

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