2022年2月下旬〜3月上旬
平地の河畔林に残されたタヌキの溜め糞場rvをトレイルカメラ(無人センサーカメラ)で定点監視しています。
野ネズミは冬眠しないのだそうです。
冬に雪国の山野を出歩くと、小さな足跡と尻尾を引きずった跡が新雪の雪面にときどき見つかります。
これは野ネズミのフィールドサインです。
しかし、本当に野ネズミが厳冬期にも元気に活動しているなんて、実際に証拠映像を見るまでは私も半信半疑でした。
体の小さな野ネズミは体温を保ちにくいはずです。
シーン1:2/27・午前1:10・晴れ
河畔林の雪深い林床を深夜にチョロチョロと走り回っています。
昼間は少しずつ雪が溶け、夜になると気温が下がって雪面は固く凍っています。
野ネズミは秋に貯食した餌を探し歩いているのでしょう。
この場所にはタヌキの溜め糞が雪の下に埋まっています。
タヌキの糞には未消化の種子が大量に混じっていて、野ネズミはそれを秋(晩秋〜初冬)によく食べに来ていました。
雪の下にトンネルを掘っておけば、地上が吹雪の嵐になっても厳寒になっても安全に餌場に通えるのです。
そのシーンをなんとか動画で記録してみたいのですが、どうやったら撮れるのか、難易度がとても高そうです。
シーン2:2/27・午前1:18・晴れ
数分後に野ネズミが再登場。
同一個体なのか別個体なのか、不明です。
雪面が固く凍っている(クラスト)こともあり、体重の軽い野ネズミは雪に潜らないで走り回っています。
シーン3:2/27・午前5:01・晴れ
約4時間後にも野ネズミが再登場。
一晩になんと3回も繰り返して野ネズミが登場したことになります。
画面中央の立木(ニセアカシア)の根元に出没しました。
木の根際の穴にもしかすると野ネズミの巣穴があるのかもしれません。
雪原に生えた木の根元は昼間に日光で暖まりやすいので、雪が早く溶けます。
野ネズミが垂直の幹を登ったかどうか、知りたいところですが、すぐに幹の陰に隠れてしまいました。
シーン4:3/8・午前3:04
9日後、林床の雪がだいぶ溶けました。
雪面が鱗状に凸凹しているのは、雨が降って雪面が溶けてから夜に再凍結、というプロセスを繰り返したためでしょう。
中央の立木の根際から野ネズミが登場しました。
垂直の幹を根際から登りかけたところで動画は尻切れトンボで終了。
カメラの電池が消耗していて、わずか2秒間しか撮れていませんでした。
あまりにも一瞬なので、1/3倍速のスローモーションでご覧ください。
木登りできるとしたら、アカネズミではなくヒメネズミ(Apodemus argenteus)ということになります。