やがて食草のカラムシを離れて、盛んに徘徊するようになりました。
食草に戻してやっても、しばらくすると再び自発的に落下しました。
繭を作る場所を探しているようです。
てっきり本種は地中に潜って営繭するのだと思っていた※ので、試しに植木鉢の土の上に幼虫を置いてみました。
※参考サイト:フクラスズメの観察日記@晶子のお庭は虫づくし
ところがなぜか落ち着かず、何度も植木鉢からの脱走を試みています。
鉢植えの植物が枯れた後に放置したままだったのですが、中の土がカビ臭い(ドブ臭い)ことに気づきました。
なるほどそれならフクラスズメ幼虫が嫌がるのも納得です。
改めて庭の表土を新たに採取してきました。
小石などを取り除いた後で、なるべくサラサラな土をすくって、プラスチックの豆腐パック容器に入れました。
大きなプラスチック飼育容器の中に土と食草カラムシの残りも入れてやり、幼虫を一緒に閉じ込めてみましょう。
土の中に潜るのが嫌なら、もしかしたら、カラムシの葉を綴って営繭用の巣を作るかも知れません。
新鮮な土を入れた容器からフクラスズメの終齢幼虫は脱走し、カラムシの葉裏に隠れました。
やがて予想通り、カラムシの葉を絹糸で綴り合わせて巣を作り始めたので、午後(15:50〜21:50)から微速度撮影してみました。
100倍速の早回し映像をご覧ください。
自身の周りに巣を作ると、次はその中で繭を紡いでいます。
カラムシの葉でしっかりと包まれているので、中の様子が見えなくなってしまいました。
日本人はカラムシの茎の繊維から織物を産み出して、一部地域の伝統的な特産物になっています。
一方、フクラスズメという蛾の幼虫は、カラムシの葉や実を食べて育ち、絹糸で繭を紡ぎます。
品種改良されたカイコのように、フクラスズメの繭からも絹糸を採取できたら面白そうです。
※ 透明プラスチックの飼育容器越しに撮った不鮮明な映像なので、照明がプラスチックの表面に反射して被写体が見えにくかったです。
それを解消するために、動画編集時に自動色調補正(イコライザー)を施しています。
その副作用でフクラスズメ幼虫の色彩がどぎつく強調されてしまいました。
繭を手で持ってひっくり返しても、中で幼虫や前蛹が暴れる振動は感じませんでした。
方眼紙に巣を載せて採寸します。
フクラスズメは成虫越冬なので、今年中に羽化するはずです。
ところが、待てど暮せど成虫が羽化してくれません。
冬が終わり春になっても未だに羽化しませんでした。
体内寄生されて死んだのかもしれません。
寄主から脱出した寄生者が飼育容器の蓋のスリットの隙間から逃げてしまったとしたら、私はそれを完全に見逃したことになります。
繭を密閉容器に入れておくべきでしたが、寄生された兆候が全く無かったのです。
繭を温かい室内に放置したまま越冬させるのではなく、寒い外気に晒すべきだったかもしれません。
あるいは、営繭の直前の幼虫を私がカビの生えた土に触れさせたせいでカビに感染して死んでしまったのでしょうか?
シリーズ完?
↓【おまけの動画】
同じ素材で早回し速度を落とした50倍速およびオリジナルの10倍速映像をブログ限定で公開しておきます。