2020/08/02

オドリコソウの花で盗蜜するオオマルハナバチ創設女王



2020年5月中旬・午後17:50頃・晴れ


▼前回の記事
オドリコソウの花で盗蜜するクロマルハナバチ創設女王【HD動画&ハイスピード動画】

用水路沿いの土手に咲いたオドリコソウの群落に訪花していたのはクロマルハナバチ♀がほとんどでしたが、1匹だけオオマルハナバチ♀(Bombus hypocrita)も来ていました。
大型の個体ですし、時期的にワーカー♀ではなく創設女王でしょう。
山地性のオオマルハナバチがここ(平地)まで遠征してくる個体が少ないのは納得です。
(ちなみにここで優占していたクロマルハナバチは平地性。)

吸蜜シーンをよく見ると、オオマルハナバチ♀も正当訪花せずに穿孔盗蜜していました。
雄しべに体が触れませんから、後脚の花粉籠は当然ながら空荷です。

Newton special issue『植物の世界 第2号:ナチュラルヒストリーへの招待』を読むと、更に興味深いことが書いてありました。

オオマルハナバチはこの花(=オドリコソウ:しぐま註)を盗蜜者として訪れ、花冠筒部の前部に穴をあける。その際、腹部や背部が花冠の上唇の中に入り雌しべと雄しべの先にふれるのである。その行動は盗蜜に似ているが、実際にはオオマルハナバチはポリネーターの役割を果たすことになる。
オドリコソウの花は、盗蜜者をポリネーターとして利用できるような形態をもつにいたったのであるとも解釈できよう。(p118〜120より引用)


昆虫をあざむく花:盗蜜者をポリネーターとして利用するしくみをもつと思われるオドリコソウ (p121:図10Bより引用)

決定的瞬間を捉えた見事な生態写真も掲載されていて、専門家の鋭い観察眼と緻密な記述に舌を巻きました。
ところが、私が撮った動画に記録された盗蜜行動と比べてみると微妙に違います。
私が見たオオマルハナバチ♀は常にオドリコソウの花冠の下唇の下に潜り込みながら穿孔盗蜜しますから、上唇の中にある雄しべや雌しべに体は全く触れていません。
間違いなく純粋な盗蜜行動です。
個体差なのか、地域によって異なるのか、興味深いところです。

カースト(女王蜂とワーカー)の違いによる体格差で説明できるかもしれません。
私も未だこの1例しか見ていないので、今後の観察が楽しみです。

参考サイト(@福岡教育大学):シソ科の唇形花(オドリコソウとヤマハッカ)  ← 唇形花の構造の勉強になりました。




ニワトコの葉を蚕食するヒトリガ(蛾)終齢幼虫【10倍速映像】



ヒトリガ(蛾)の飼育記録#3



▼前回の記事
排便中に糞を振り落とすヒトリガ(蛾)終齢幼虫

2020年5月中旬

ヒトリガ(Arctia caja phaeosoma)の幼虫aをノギスで採寸すると伸びた状態で体長60mmなので、おそらく終齢と思われます。(『イモムシハンドブック』p89の記述と一致)
河畔林から一緒に採取してきたニワトコ幼木を与えると、猛烈な食欲で若葉を次々に食べ始めました。
10倍速の早回し映像でご覧ください。
食休みのシーンは編集でカットしています。
太い茎に腹脚で下向きにしがみつき、葉縁を左右の胸脚で抱え込んで葉を摂食します。

脱糞シーンも3回撮れていました。(@0:23、1:44、 2:53)
食休みしていた幼虫が腹端を少し持ち上げて、脱糞しながら下半身を左右に激しく振って糞を振り落とします。
排便後は腹端を下ろし、尾脚も茎をしっかり掴みます。

つづく→#4:ニワトコの茎や葉を徘徊するヒトリガ(蛾)中齢幼虫




2020/08/01

ドウダンツツジの花蜜を吸うセイヨウミツバチ♀(二次盗蜜者?)



2019年5月中旬・午後12:45頃・

池の岸に植栽されたドウダンツツジの低木でセイヨウミツバチ(Apis mellifera)のワーカー♀が訪花していました。
小さな釣り鐘状の白い花に正当訪花を繰り返し、吸蜜しています。
後脚の花粉籠は空荷でした。

クロヤマアリ(Formica japonica)のワーカー♀もドウダンツツジの花筒の入り口から中に潜り込もうと苦労していますが(正当訪花)、結局入れず花蜜も舐めることが出来なかったようです。(@0:48〜1:10)
ドウダンツツジの花の入り口が外側に反り返っているのは物理的に侵入をブロックする「アリ返し」の役割があるのですかね?
体が小さくて移動距離が短い(飛べない)アリは、ドウダンツツジにとってあまり授粉の助けにならず、招かれざる客を排除したいのでしょう。

最後にもうひとつ、見逃せない事件が動画に記録されていました。
正当訪花を繰り返していた個体が最後に一度だけ採餌戦略を切り替えて盗蜜したのです。(@1:13)
ドウダンツツジの花をよく見ると古い穿孔跡が多数あり、白い花弁に褐色の傷跡が多数残っていました。
その穴に口吻を差し込んで吸蜜したので、この場合ミツバチは日和見主義的な二次盗蜜者(チャンスがあれば楽をして盗蜜したい)ということになります。

翌2020年こそはミツバチによる盗蜜行動について現行犯の証拠映像を撮りたいと思い、春が来るのを楽しみに待ち構えていました。
ところがドウダンツツジの開花が例年よりも早まったせいなのか、どうやら私はミツバチの活動を見落としてしまったようです…。
一時盗蜜者の正体を突き止めるのも、また来年の宿題に持ち越しです。

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