2020/02/10

クルマバッタモドキが♀1♂2で交尾【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月中旬・午後13:55頃

川沿いの堤防上の舗装路で3匹のクルマバッタモドキOedaleus infernalis)が身を寄せ合っていました。
すぐ横が河原の草むらになっています。

私が近寄っても3匹は全く動きません。
中央の大型の個体が♀で、その両側に♂が並んでいます。
腹端の交尾器が翅に隠れてよく見えないのですが、どうやら左側の♂Lと♀が交尾中でした。
クルマバッタモドキの交尾シーンは初見です。
それにしても、♀をめぐって2匹の♂同士が争わないのが不思議です。
もしクルマバッタモドキ♀が複数回交尾するとしたら、♂Rは順番待ちしているのでしょうか?
隙を見て♀と交尾するスニーカー戦略なのかな?
バッタの交尾は♂が♀の背中にマウントして行なうと思ったのですが、どうしてこの♀♂Lペアは横に寄り添っているのでしょう?



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お邪魔虫♂Rが登場したせいで変則的な体位になったのでしょうか?


(クルマバッタモドキの)オスはメスを見つけるとすぐには背に乗らず、まずメスの機嫌を伺うようにしながら前羽を後ろ足でこすり発音し、メスがそのまま逃げなければ背に飛び乗ることが出来る。交尾する気がないメスは飛んでオスから逃げてしまう。背に乗ってからもしばらくはメスの機嫌を伺い続け、メスに気に入ってもらえた時点でやっと交尾が成立する。オスは腹部をS字状に曲げてメスの腹の先を掴み、交尾が行われる。 (wikipediaより引用)

この3匹を後方から観察すると、ちょっと面白い行動が見られました。
♂が♀に近い側の後脚を動かして発音しているようなのですが、風切り音のせいで私には鳴き声が聞き取れませんでした。
♀への求愛なのか、それともライバル♂への牽制なのかな?
♂Lは左後脚を欠損しているので、解釈に注意が必要です。

私が右足の靴をそっと近づけると、右側の♂Rが真っ先に逃げ出しました。
触っていないのに警戒し、跳んで逃げました。
その瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:23〜1:57)
一方、交尾中の♀♂Lカップルは靴で軽く触れても無反応でした。
更に指で♂Lに触れて♀♂逆向きにしても逃げませんでした。
しつこく触れると、ようやく跳んで逃げました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、触れられた♂Lが先に跳んで逃げ、続いて♀も跳びました。

時間に余裕があれば♀♂カップルの邪魔せずに交尾を最後まで見届けたかったのですが、先を急ぐ別の用事があったので、雑な撮影になってしまいました。
色々と手出しをしたのは、現場では日差しが強くて影になってしまう上に、長い翅に隠れて交尾器の結合の有無が最後までよく分からなかったからです。


クルマバッタモドキ♀1♂2背側@路上+交尾
クルマバッタモドキ♀1♂2側面@路上+交尾
クルマバッタモドキ♀♂背側@路上+交尾


2020/02/09

ウスバキトンボ♀の腹部奇形?



2019年9月中旬・午前10:53

川沿いの草むらでウスバキトンボ♀(Pantala flavescens)が枯れた草の茎に止まっていました。
静止姿勢がどうも奇妙で、腹部がやや反り返っている海老反り姿勢でした。
腹端がヒクヒク上下に動いています。
羽化直後あるいは羽化不全個体なのかと思ったのですが、この枯れた茎の下部にヤゴの抜け殻(羽化殻)は見つけられませんでした。
もし腹部の奇形(先天性の異常)なら、水質汚染などが疑われます。
この♀個体の腹部が背側に反り返ったままだと、♂との交尾および産卵行動に支障を来す可能性が高く、だとすれば次世代を残しにくいでしょう。

トンボは交尾の際に♀が細長い腹部を腹側に丸く曲げて尾繋がりした♂の副性器に腹端を結合する必要があるのです。


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水たまりで単独打水産卵するウスバキトンボ♀?【HD動画&ハイスピード動画】

ウスバキトンボ♀:側面@枯草茎+腹部海老反り姿勢:奇形?
ウスバキトンボ♀:背面@枯草茎+腹部海老反り姿勢:奇形?

汗を舐めに飛来するウラギンシジミ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月中旬・午後13:20頃・晴れ


▼前回の記事
探索飛翔を繰り返すウラギンシジミ♂の謎【HD動画&ハイスピード動画】


昼下がりの公園で遊歩道をウラギンシジミ♂(Curetis acuta paracuta)が低空で盛んに飛び回っています。
その目的が最初は分からなかったのですが、直前まで私が別の被写体を撮るために長時間立っていた場所に執着しているような飛び方だと気づきました。
どうやら急に居なくなった私を探し回っているようです。

林縁の遊歩道で縁石の横に私が戻ると案の定、ウラギンシジミ♂はすぐに舞い戻って来て私の足に着地しました。
汗の匂いに誘引されるのかな?
褐色の口吻を伸ばすと、半ズボンから露出した私の汗ばんだ脹脛を舐め始めました。
汗に含まれるミネラルを摂取(塩分補給)しに来たのでしょう。
後で図鑑で調べてみると、ウラギンシジミにはそのような習性があるそうです。


・花にはほとんど訪れず、腐果や獣糞などで吸汁するほか、湿った路上で吸水も行う。(『フィールドガイド日本のチョウ』p97より引用)
・花にはめったに訪れず、腐った果物、動物の死体、糞などに集まる。♂は、夏に湿地などで吸水する姿が見られる。(『ヤマケイポケットガイド9 チョウ・ガ』p63より引用)
・秋型の♂は道上におりて水を吸うことが多い。(『標準原色図鑑全集1 蝶・蛾』1987年 第22刷 p61より引用)


翅を閉じたまま一心不乱に汗を吸汁しています。
黒い触角の先端がオレンジ色でした。
右の脹脛を舐められる様子を自撮りする私はヨガのポーズのようなかなり窮屈な体勢を強いられるため、ウラギンシジミ♂の翅裏をしっかり横から撮れませんでした。

地面から私の脚を登って来たクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が触角でウラギンシジミ♂の翅に何度か触れたものの、獲物とは判断せずに歩き去りました。
その間もウラギンシジミはしぐま汁に夢中で、アリに対して無反応でした。

ウラギンシジミ♂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:10〜)
右の人差し指を近づけると、翅に触れる前にウラギンシジミ♂は警戒して準備運動なしで飛び去りました。
♂の翅表には鮮やかな橙色の斑紋があります。
ところが再び同じ場所に舞い戻って来ました。
すぐに口吻を伸ばして私の汗を再び舐め始めました。
私の汗の味がよほど気に入ってくれたようです。
初めて出会った美しいウラギンシジミ♂に舐めてもらえて光栄でした。

脹脛を舐められると撮影が大変なので、次は前面の脛を舐めてもらおうと脚を投げ出して路上に座りました(脹脛は隠れます)。
すると、写真には撮れたものの(下記参照)、動画モードに切り替える前に逃げてしまいました。
毛深い脛毛が嫌だったのかな?

また、汗ばんだ腕を差し出してもなぜか無関心でした。


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ウラギンシジミ♂:翅裏@脹脛+汗吸汁
ウラギンシジミ♂@汗吸汁vsクロヤマアリ♀
ウラギンシジミ♂:翅表@脛+汗吸汁
ウラギンシジミ♂:翅裏@脛+汗吸汁


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