2019/12/25

ツユクサの花粉を集めるクロマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前11:20頃

道端に咲いたツユクサの群落でクロマルハナバチBombus ignitus)のワーカー♀が訪花していました。
この組み合わせは初見でした。
ツユクサは「朝咲いた花が昼しぼむ」性質がありますから、午前中にフィールドに出ないと訪花昆虫の活動は見れないのでしょう。

クロマルハナバチ♀は後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を満載しています。
花から花へと忙しなく飛び回りますが、採餌ルートはさほどシステマチック(効率的)ではなく、ほぼランダムのように見えます。
花畑をなるべく無駄無く巡回した方が良いと思うのですが、マルハナバチは一度採餌した花を記憶したり目印を付けたりしているのでしょうか?
小さな脳でどうやって巡回セールスマン問題を解いているのでしょう?
花の直前でホバリング(停飛)しただけで着陸せずに飛び去ることも多い点が興味深く思いました。
雄蕊の花粉量を瞬時に吟味して、花粉が少ない花を敬遠しているのでしょう。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:25〜)
蜂がツユクサの花に着陸すると体重で茎が大きくしなります。
採餌中に花から滑落しても慌てずに空中ですぐに姿勢を立て直し、次の花へ飛んで行きます。(@7:02)
空中で両足を擦り合わせているものの、口吻は伸ばしていません。(吸蜜してないので当然ですね)

森田竜義・濁川朋也『花の性型の可塑性:雄花を咲かせるツユクサの不思議な性表現』によると、

ツユクサの花には蜜腺がない。訪花昆虫に報酬として提供するのは花粉のみということになる。
花粉報酬花と呼ばれるこの性質…  (『花の自然史:美しさの進化学』第16章 p229より引用)



田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でツユクサを調べると、

両性花。蜜はなく餌は花粉だけ。奥の3つの雄しべが偽花粉を出す。
偽の花粉をつくる花。花には3つのタイプの雄しべがあり、花の中心に3本ある最も派手で黄色い雄しべが偽花粉を作る。黄色は昆虫にとって餌のサイン。誘われてその雄しべをなめているうちに、花の前方に伸びている雄しべの本当の花粉を昆虫の尻につけるのだ。昆虫に気づかれないようにと、(受精能力がある)本当の花粉をつくる雄しべは地味だ。(p75より引用)

本書の解説でツユクサの主な送粉者は「ハナアブ・小形のハナバチ」を想定していますが、大型のクロマルハナバチも訪花していることが今回の観察で分かりました。


▼関連記事(1年前の撮影)
ツユクサの花粉を舐めホバリングするホソヒラタアブ♀




クロマルハナバチ♀@ツユクサ訪花集粉
クロマルハナバチ♀@ツユクサ訪花+飛翔

真夏にカルガモとクサガメが集う池の岩場(野鳥)



2019年8月中旬・午後12:35頃

定点観察している蓮池の岩場にこの日は2羽のカルガモAnas zonorhyncha)が乗って念入りに羽繕いしていました。
羽繕いの後は片足を持ち上げて同側の顔を掻いたりしています。
翼や首、脚をグィーっと伸ばすストレッチ運動も行いました。
素人目には成鳥に見えますが、ようやく幼鳥の羽が生え揃ったのかな?

別の岩に1頭のクサガメMauremys reevesii)が乗って甲羅干ししていました。
岩場をカルガモに占領されているせいで、他の亀は上陸できないのでしょうか?
カルガモが岩場から亀を追い払う攻撃的な占有行動を見たことはありませんが、平和主義の亀は遠慮しているのかもしれません。

この日のクサガメは甲羅だけ日光浴しており、頭部はハスの葉陰に隠れている点が興味深く思いました。
これはたまたまでしょうか?
亀も日射病にならないよう気をつけているのかな?
昨年も同様の体勢になっているクサガメを見ています。

▼関連記事(1年前の撮影)
甲羅干し中の日射病に気をつけるクサガメ?♂

長時間の微速度撮影で記録すれば、亀が頭部への直射日光を避けようとして岩場で少しずつ位置を変えているかどうか、分かるはずです。



つづく→夜も岸から池の幼鳥を見守るカルガモ親鳥(野鳥)

クサガメ@蓮池:岩場+甲羅干し
クサガメ@蓮池:岩場+甲羅干し・全景
カルガモ2(野鳥)@蓮池:岩場+羽繕い+ストレッチ運動

2019/12/24

スイレンの葉で離着陸を繰り返すナツアカネ未成熟♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月中旬・午後12:15頃

睡蓮池でナツアカネSympetrum darwinianum)の未成熟♂がスイレンの葉の縁に止まっていました。
翅を深く下げて休んでいる間も、頭部をグリグリ動かして辺りを油断なく見張っています。
獲物を待ち伏せしているのでしょう。
私が撮影アングルのため少し岸に近づいてもトンボは逃げませんでした。

しばらくすると、ナツアカネ未熟♂は腹端を太陽に向けてやや持ち上げました。(@1:04)
これはオベリスク姿勢と呼ばれる避暑(体温調節)の行動で、体に日光が当たる面積を少なくしています。
スイレンの葉に落ちたトンボの影の長さの変化に注目して下さい。
(しかし影の長さは最小になっていませんでした。)
気温を測れなかったのが残念です。

急に飛び立ったものの、すぐに元の場所に舞い戻って来ました。(@1:20)
空中で獲物を捕らえ損ねたようです。
着陸直後に体の向きを太陽に対して微調節しました。

スイレンの葉に離着陸を繰り返す様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:28〜)
離陸後すぐに脚を胴体に引きつけて飛翔時の空気抵抗を減らしています。
辺りを一回りしてから戻って来ると、格納していた脚を出して着陸します。
動画に撮りながら足で蹴るふりをして何度飛び立たせてもすぐに同じ場所に舞い戻って来ます。(縄張り占有行動)


ナツアカネ未成熟♂:背面@スイレン葉
ナツアカネ未成熟♂:側面@スイレン葉
ナツアカネ未成熟♂:側面@スイレン葉
ナツアカネ未成熟♂:側面@スイレン葉+避暑:オベリスク姿勢

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