2019/01/10

オビガ♀(蛾)のコーリング行動:性フェロモン放出【10倍速映像】




オビガ(蛾)の飼育記録2018年#13



▼前回の記事
性フェロモンを放出するオビガ♀(蛾)のコーリング行動

2018年9月下旬・室温23.0℃

深夜にコーリングするオビガ♀e(Apha aequalis)を次は微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
腹端にある誘引腺の伸縮と共に腹部もヒクヒク動いています。

腹端が接していたティッシュペーパーの匂いを後で嗅いでみたのですが、オビガの性フェロモンはヒトの鼻には無臭でした。
残念ながら同時期に羽化した成虫♂が居なかったので、その後の交尾に至る配偶行動を観察できませんでした。
野外の暗闇で飛んでいるオビガ♂が♀の性フェロモンを嗅ぎつけて窓から室内に殺到し…といった『ファーブル昆虫記』に書かれているようなドラマチックな展開もありませんでした。



※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→#14:産卵


2019/01/09

水たまりで単独打水産卵するウスバキトンボ♀?【HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月下旬

砂利が敷かれた農道の轍に水溜りができていて、そこで単独打水産卵しているトンボ♀が居ました。
いわゆる「赤トンボ」ではなくて、黄色っぽい体色です。
水で濡れた腹端が白く光って見えます。

動画を優先したのでトンボの種類を同定できる高画質の写真は撮れておらず、採集もできませんでした。
なんとなく、ウスバキトンボ♀(Pantala flavescens)ではないかと思うのですが、どうでしょうか。

図鑑『日本のトンボ』でウスバキトンボの産卵を調べると、

交尾後は連結態のまま広範囲に飛び回り、間欠的に打水産卵する。♀は単独でも産卵し、♂が警護飛翔を行うこともある。(p451より引用)

ウスバキトンボだとすると、今季に世代交代をしながら北上してきたのでしょう。
南方性のトンボですから、ここ北国では幼虫(ヤゴ)が卵から孵化しても越冬できず死滅してしまいます。

ウスバキトンボ?♀の単独打水産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:16〜)
飛行中は脚を畳んで体に引き付け、空気抵抗を減らしています。
ホバリング(停空飛翔)で狙いを定めると、羽ばたきを一瞬止めて自由落下でスーッと高度を下げます。
墜落しないように再び羽ばたき始めると同時に腹端が下がり、その勢いで水面を叩いて腹端から産卵します。
浅い水溜りに打水産卵する度に水面に波紋が広がります。
水溜りの岸辺に近い浅い所を狙って産卵しているような印象を受けました。
決して深い中央部では産卵していません。

♀が単独で産卵中に近くで警護しているはずの♂が見当たらないのも不思議です。
撮影中は気付かなかったのですが、もしかすると水溜りの奥の草に止まっている赤っぽくて細長い物体(ピンぼけ)がウスバキトンボ♂ですかね?

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2019/01/08

防鳥テープの無効例:田んぼの稲穂を食害するスズメの群れ(野鳥)



2018年9月下旬

秋に田んぼの稲穂が実り始めると、スズメPasser montanus)など種子食性の野鳥に食害されないようにキラキラ光る防鳥テープ(別名:防雀テープ)が田んぼ中に張り巡らされます。

季節の風物詩のような田園風景です。
このテープは片面が銀色で裏面がメタリックな赤色になっています。
田んぼの畦道に杭や細い竹竿を突き立て、その間に防鳥テープを張り渡します。
秋風が吹くとテープが捻れて両面のメタリックな2色が目まぐるしく動いてチラチラと光ります。
このギラツキをスズメは嫌って田んぼに寄り付かなくなる、動かない案山子よりも防鳥効果がある、というのが商品の宣伝文句です。
しかし長年使われて防鳥効果が薄れているのか、このテープを大量に使っている田んぼを最近ではあまり見かけなくなりました。

それほど大きな田んぼではないものの、今時珍しく縦横無尽に(斜めにも)大量の防鳥テープを張り巡らせている所を見つけました。
ここは住宅地の裏なので、スズメ追いの爆音器を田んぼに設置すると近隣から苦情が殺到する、などの事情があるのでしょう。
宅地開発が進む前、この辺りは広大な田んぼだったのに、皮肉なものです。

▼関連記事
収穫前の田んぼからスズメ(野鳥)を追い払う爆音機♪

稲刈り前の田んぼに張り巡らされた防鳥テープの様子を私が動画に撮っていると、すぐ近くの電柱や電線にチュンチュン♪と鳴きながらスズメが続々と集まり始めました。
ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)も一羽、電線に止まり素知らぬ顔で羽繕いしていました。

田んぼから少し離れて野鳥の行動を見張ることにしました。
しばらくすると案の定、スズメが電柱や電線から下の田んぼに続々と舞い降りて稲穂を啄み始めました。
スズメは一旦田んぼに降り立つと、稲穂の茂みに隠れて居場所が分からなくなります。

せっかく苦労して張り巡らせた防鳥テープをスズメが恐れている素振りはありません。
防雀テープ破れたり!
食害シーンの証拠映像を撮るにはアングルがいまいちですけど、私が下手に田んぼに近づくとスズメは逃げてしまいますから、なかなか難しいのです。
いつか無人カメラを設置して田んぼの被害状況を長時間監視してみたいものです。

この田んぼの端で新築の家を建てているのですが、スズメは建築作業の騒音を全く気にしないようです。
田んぼから一段高くなっている横の道を車が通ってもスズメは無頓着です。
ただし通行人が歩いて来ると警戒して飛び去り、一時避難していました。(スズメにとって歩行者は警戒すべき不審者)
最後に私が動画を撮りながら田んぼにそっと歩み寄ると、驚いたスズメの大群が一斉に飛び立ち、電線に避難しました。
これほど多数のスズメが田んぼに潜んでいたとは驚きです。
スズメが一斉に飛んで逃げるシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイします。

動画の初めに登場するカラスも実は、田んぼに居た(悪さをしていた?)個体が私を警戒して飛び立ち、電線に避難していたのです。
スズメと異なり、しばらく待ってもカラスは田んぼに戻らず、食害シーンを撮れませんでした。(来季の宿題です)

市販の防鳥グッズに対して私がいまいち懐疑的なのは、野鳥がすぐに慣れてしまう同様の光景を子供の頃から見てきたからです。
もちろんこの記事は商品の営業妨害が目的ではありません。
そもそも防鳥グッズに100%の効果は期待できません。
地域の田んぼ全体で対策するか一部の田んぼだけで対策するかによっても効果は変わってきますし、スズメの慣れ具合は場所や状況によってまちまちでしょう。

この田んぼでも防鳥テープを張らなくなると、スズメによる被害がもっと酷いことになるのかもしれません。
なるべく安上がりな防鳥グッズを設置し、結果として何割の増収になったか?というコストパフォーマンス(費用対効果)が求められます。

例えば最新鋭のドローンを飛ばしたり二足歩行ロボットを導入して畦道を常に巡回させればスズメは怖がって田んぼに寄り付かなくなるかもしれません。
しかし防鳥効果を100%にしても、高額な対策コストに見合う収穫が得られなければ本末転倒です。

この田んぼだけ稲刈りが遅れているのは、稲穂の実りの状況が芳しくないためのようです。
鳥による食害が原因かどうかは米農家に聞いてみないと分かりません。
稲穂を食い荒らす野鳥と知恵比べを長年繰り返している稲作農家の苦労もよく分かります。
スズメは警戒心がとても強く、田んぼで稲穂を盗み食いする際も常に緊急避難場所を近くに用意しています。
鳥の習性を見てきた鳥好きによる私案としては、赤銀テープだけでなく他の防鳥グッズと組み合わせることをまずお勧めします。

次に、田んぼの周囲でスズメの避難場所を無くしてしまうことを提案します。
田んぼ内に防鳥テープを張り巡らせるだけでなく、電力会社と協力して田んぼ周辺だけでも無電柱化を推進するとか電線や電柱にスズメが止まれないような工夫をすれば、田んぼの防鳥効果が高まりそうな気がします。
ただし、電線にトゲトゲの障害物を装着すると今度は冬の積雪で電線が切れてしまうおそれがありそうで、雪国ではどうするか悩ましいところです。
(それでもスズメは田んぼの近くの民家の屋根や庭木に止まるようになるだけかもしれません…。)

藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

テープはよりをつけて張ってやると、風でよく動き、その度に太陽の光を反射してキラキラひかります。この反射光を鳥は嫌うようで、日の出前や曇天の日には効果が落ちるという試験結果があります。このテープは本来は、スズメを対象にして考えられたようですが、スズメ以外の鳥にも効果が期待できます。(中略)鳥に慣れがつくことから逃れることはできませんから、絶対的な効果は期待できません。(p144-145より引用)



「鳥獣害研究室-鳥害対策 - 農研機構」が公開しているサイトでも赤銀テープの評価は低いです。
防鳥テープ キラキラと光るテープを作物の上に張り巡らす。防雀テープともいう。見えにくいテグスと違って、鳥が当たっていやがるわけではなく、警戒して避けることを期待したもの。あまり効果は期待できないが、安価で気楽に使える。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀
田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀
田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀
田んぼ(稲刈り前)+防鳥テープ赤銀

スズメ群れ(野鳥)@電柱+電線:田んぼ横
スズメ群れ+ハシボソガラス(野鳥)@電柱+電線:田んぼ横

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