2018/12/17

鳥追いカイトは田んぼのスズメ対策に有効か?(野鳥)



2018年9月上旬
▼前回の記事(8月中旬)
水田を鳥害から守る鳥追いカイト(フクロウ型の凧)


実りの秋になり、黄金色の稲穂が広がる田園地帯のあちこちに設置された鳥追いカイト(凧)の数が増えていました。
収穫前の鳥による米の食害を防ぎたいのでしょう。
プリントされたデザイン(擬態)がタカとフクロウの2種類ありました。



幾つもの凧を田んぼに設置すると決して安い買い物ではないので、気になるのはその有効性です。
鳥追いカイトの防除効果を厳密に試験する際には、圃場に処理区と無処理区(無防除区)とを設ける必要があります。

カイトを上げていない区画で田んぼに隣接する民家の辺りにスズメPasser montanus)が群がっていました。
チュンチュン♪と賑やかに鳴き交わしながら、庭木のカエデの木と田んぼの端を往復するように飛び回っています。
民家のトタン屋根にも群れの一部が止まっています。
いざというときにすぐ避難できる場所を確保しつつ、稲穂を食べに来たのでしょう。

田んぼには稲穂以外にもイヌビエがたくさん生えています。
スズメがイヌビエの実も食べるのかどうか、証拠映像を未だ撮れていません。(イネの実の方が好み?)

さて次に、私がその場で向きを変えると、広大な田んぼの反対側の区画に設置された鳥追いカイトが幾つも見えました。
長い釣り竿を立て、その先から糸でカイトが吊り下げられています。
風が吹くと煽られたカイトが右に左に動き回ります。
ヒトに擬態した昔ながらの案山子に比べれば、激しい動きがある分だけ鳥追い効果がありそうです。

カイトの下面にはフクロウやタカと言ったスズメの天敵となる猛禽類の絵柄がプリントされていました。
しかしカイトの上面は意外にも白紙でした。(日焼けして退色したのではなさそうです。)
上空から田んぼに飛来する野鳥に対して脅かすには、コストをけちらずにカイトの上面にもリアルなプリントをした方が良いと思うのですが…。
それでも鳥追いカイトの周囲にはスズメの群れは見当たりませんでした。

この映像だけ見ると、まるで商品CMのように、確かに鳥追いカイトにスズメを追い払う効果がありそうに思えます。
しかし、この比較はフェアではありません。
鳥追いカイトが設置された区画は広大な田んぼの中央部にあり、近くにスズメの避難場所がありません。
スズメの性質からすると、元々あまり来ない(食害が少ない)区画である可能性があるのです。
民家に近い田んぼの端にもカイトを設置して、スズメが来なくなることを実証しなければいけません。

おそらく田んぼの区画によって違う農家が管理・栽培しているのでしょう。

藤岡正博、中村和雄『鳥害の防ぎ方』によれば、

(イネの)登熟期の被害はスズメ、ハト、カルガモによるものですが、スズメによるものがもっとも大きく、重要です。(中略)広く開けた水田地帯では、それほど大きな被害を受けることは少ないようです。しかし、人家の近くや電線の下、樹木の近くなどの水田では大きな被害が発生します。これらの場所では、スズメの逃げ場が確保されているからだと思われます。(p190より引用)

スズメの被害は、登熟した穀類の種子ばかりでなく、田んぼや畑に播種された種子にも発生します。
登熟:穀物や豆類の種子が次第に発育・肥大して、炭水化物や蛋白質が集積されること。(p60より引用)


もう一つの問題として、スズメの群れが稲穂の茂みに完全に隠れてしまうと、私にも見つけられなくなり、動画が撮れないのは当然です。
もしかすると、鳥追いカイトに慣れてしまったスズメの群れが、カイトのお膝元でもこっそり稲穂を食害しているかもしれません。
無人の監視カメラを田んぼのあちこちに設置したら面白そうです。
鳥追いカイト自体にGoProのような小型のCCDカメラを付ければ、カイト目線の映像が撮れるでしょう。

毎日、夕方になったら田んぼの凧を回収するのかな?

無風で凧が動かない日は防除効果が無くなるのでしょうか?
逆に台風が来る前には予め凧を取り外しておく必要がありそうです。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

2日に分けて同じ田んぼで撮った映像をまとめました。

2018/12/16

飛べ!ツバメシジミ♀【HD動画&ハイスピード動画】



2018年9月中旬

川の堤防の草むらでヨモギの葉にツバメシジミ♀(Everes argiades hellotia)が乗って休んでいました。
翅を閉じて葉表に静止しています。
夕方(午後17:35)なので、このままここで塒をとるのでしょうか?
採寸した訳ではありませんが、目視の印象では矮小化した小型の個体のようでした。

茂みに物を投げつけて飛び立つ瞬間を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:28〜)
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
ツバメシジミは翅を力強く打ち下ろすと同時に腹端を高々と持ち上げました。
翅表が黒褐色なので♀と判明。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ツバメシジミ♀@ヨモギ葉

クサガメ:親亀の上に子亀を乗せて?



2018年8月中旬

蓮池の岩場でこの日は大小3匹のクサガメMauremys reevesii)が日光浴していました。

大きな成体(おそらく♀)の甲羅の上に小形の♂(頭部、頸部が真っ黒で斑紋なし)が乗ろうとしています。
まさに「親亀の上に子亀」状態でした。
甲羅干しするお気に入りの岩場を巡って縄張り争いがあったのでしょうか?
なんとなく、優劣を決めるマウンティングでも交尾行動でも無さそうです。
単に下の亀の甲羅を乗り越えようとして手足が届かなくなり身動きできなくなったのではないかと、勝手に想像しました。
それにしても、下の個体が逃げたり嫌がったりしないのが不思議です。
寛容なのは本当に親子だから…? (亀は血縁認識して相手への態度を変えるのだろうか?)
下になった大型の個体の甲羅の後部が破損していて、V字の切れ込みの有無が不明です。(切れ込みがあれば♂)
前脚の爪が長いので♂だと思うのですけど、どうでしょう?


少し離れた岩ではもう一頭の個体(小形の若い個体)が平和に甲羅干ししていました。
泥だらけの甲羅が乾いています。


亀はスローライフなので、気が短い人は早回し再生でご覧下さい。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
クサガメの性別など、色々と間違っていたので訂正しました。
周囲に生い茂ったハスの葉に遮られて、岩場はほぼ日陰になっていました。
♂は日光を少しでも浴びようとして♀の甲羅の上に登ったのでしょう。(♂の甲羅の前半部だけが日を浴びています。)

クサガメ親子?ab@蓮池:岩+マウント
クサガメ親子?ab@蓮池:岩+マウント
クサガメ親子?ab@蓮池:岩+マウント

ランダムに記事を読む

  • 繭を作るノシメマダラメイガ(蛾)終齢幼虫のインターバル撮影10/08/2015 - 0 Comments
  • 柳の枝で樹液を舐めるコムラサキ♀とシロテンハナムグリ16/10/2019 - 0 Comments
  • クスサン♂(蛾)眼状紋による威嚇【暗視映像】02/01/2015 - 0 Comments
  • セイタカアワダチソウを訪花するシロスジベッコウハナアブ♀の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】09/03/2019 - 0 Comments
  • 飛べ! ツマグロオオヨコバイ【ハイスピード動画】31/05/2013 - 0 Comments