2018/05/27

ノスリを追いかけモビングするハシボソガラス(野鳥)



2017年5月上旬

住宅地と農耕地が混在する郊外の上空で、猛禽類とハシボソガラスCorvus corone)が1対1で空中戦を繰り広げていました。
繁殖期のカラスが天敵にモビング(擬攻撃)を行い縄張りから追い払おうとしているようです。
近くにハシボソガラスの巣があるのでしょう。

猛禽類の翼の下面をよく見ると、ノスリButeo japonicus)でした。

途中から攻守交代し、追い回されていたノスリがカラスに反撃しました。
カラスが必死に逃げ出した隙に、ノスリは戦闘空域を離脱しました。


※ 今回は動画編集時に手ぶれ補正処理はしていません。
背景がほとんど何もない青空だと、あまり効果が無いのです。



2018/05/26

出巣をためらうヒメスズメバチ♀の謎



柳の根際に営巣したヒメスズメバチの記録#3

前回の記事#2
2017年9月中旬

前回の動画の続きです。
柳の根際の地中に営巣したヒメスズメバチVespa ducalis)の巣穴がどうも壊されている(崩落した?)ようでした。
巣穴の手前にある地面を前庭と呼ぶことにします。
この前庭での休息と低空での定位飛行をひたすら繰り返しているおかしな♀個体がいます。
定位飛行で巣の位置を記憶したらさっさと外役に出かけるはずなのに、なぜか躊躇しています。

巣に出入りしている別個体が飛来すると、それに釣られるように前庭から飛び立ちます。
空中で擦れ違ったり、もつれ合うように飛んだり(ニアミス)するのですが、意図がさっぱり分かりません。
巣を守る門衛にしては、巣穴の方ばかりを気にしています。
門衛なら、別個体が飛来したときにもっと激しく迎撃に向かっても良さそうなものです。
前庭で休んでいる♀の目の前をコモリグモがチョロチョロと徘徊しても、蜂は攻撃したり追いはらったりしませんでした。
風が吹いて周囲の草が揺れると、その影に反応して蜂が身動きするのは警戒心の現れでしょうか。

続けざまに計5匹の蜂の出入りが記録映像に残されていました。
個体識別していないので、重複しているかもしれません。

もしかして、これは雄蜂♂なのかと疑い始めました。
オオスズメバチのように交尾相手の新女王が出巣するのを待ち構えている♂だとしたら、謎の振る舞いも説明できそうです。

V. mandariniaは♂が離巣する新女王を巣口周辺で待ちかまえ、その場で交尾をおこなうが、他のVespa, Vespula, Dolichovespulaのいずれの種も巣を離れた場所で♂が新女王を待ち受けるようである。 (松浦誠、山根正気『スズメバチ類の比較行動学』p23より引用)


ネット検索で見つけたのですが、『都市のスズメバチ』サイト内に「高層ビルの上部を集団飛行するヒメスズメバチの交尾行動」と題した詳細なレポートが掲載されていました。
名古屋市という都市環境では、高層ビル最上階の周囲をヒメスズメバチの雄蜂♂が群飛して、そこを目掛けて飛んでくる新女王と交尾するのだそうです。

時期的にヒメスズメバチの雄蜂や新女王が羽化していても不思議ではありません。
森林総合研究所の森林生物情報によると、

(ヒメスズメバチは)9月には営巣を終える。すなわち他のスズメバチより営巣開始が遅く,巣の解散は早い。これはアシナガバチの営巣期間に合わせるためと言われる。
しかし、♂はもっと触角が長いはずです。(自信が無くなってきた…)


前庭で休憩中の個体の触角。12節なら♀、13節なら♂なのですが、どうでしょう?

性別をしっかり確かめるために採集したかったのですが、この日は捕虫網などを持参していなかったので諦めました。
♀だとしても採集できていれば、体長も測れてカースト(ワーカー♀/新女王)が判明したはずです。


(ヒメスズメバチ)女王の体長24~37mm。働きバチは平均的には女王より小さいが,しばしば中間的な大きさのものが見られ,外形だけの区別は困難なことが多い。 (森林総合研究所の森林生物情報より引用)


一般的なスズメバチは、サイズが女王蜂>オス蜂>働き蜂の順だが、ヒメスズメバチには特に差は見られない。(wikipediaより引用)
スズメバチ類の新女王は一般に定位飛行を行わないらしいので、この個体はやはりワーカー♀なのでしょうか?
十分に成熟した♂と新女王は、相前後してつぎつぎと巣を離れていく。いったん、巣を離れるとふたたび戻ることがないため、ハタラキバチがはじめて巣を離れるときにおこなう定位飛行を巣口の周辺でおこなわずに、まっすぐに巣口を飛び離れ、思い思いの方向に飛び去る。 (松浦誠、山根正気『スズメバチ類の比較行動学』p22-23より引用)


やがて、前庭で休んでいる個体が更に奇妙な行動を始めました。

つづく→#4:ヒメスズメバチ♀の奇妙な扇風行動【HD動画&ハイスピード動画】



2018/05/25

潜水漁で川虫を捕食するカワガラス(冬の野鳥)



2018年1月上旬
▼前回の記事
川岸で雪を食べるカワガラス(冬の野鳥)


街中を流れる川で雪の積もっていない護岸に居たカワガラスCinclus pallasii)が飛んで、川中の岩に移動しました。
岩の上に積もった雪を繰り返し食べていましたが(前回の記事)、遂に岩から川に飛び込んで潜水漁を開始。

飛んで川から同じ岩に戻って来たカワガラスは、嘴に黒っぽい獲物を咥えていました。
それを岩に叩きつけてから捕食しました。
食後は嘴を川の水ですすぐと、またすぐに入水し、潜水漁を再開。
しかし空荷ですぐに戻って来ました。

少し休むと、雪が積もった岩から川に飛び込みました。
泳いで(川底を歩いて?)岩に戻ったカワガラスは、嘴に何か黒っぽい小さな獲物を咥えていました。
岩に叩きつけて殺してから捕食します。
岩から上流へ向かって飛び込んだときは、獲物を捕らえると水面に顔を出し流れに乗って川面をスーッと泳いで帰ってきます。

良い漁場を見つけたようで、空荷で戻ることがなくなりました。
川に入る度に毎回獲物を捕らえて帰ってきます。
水中で捕らえた獲物をその場で飲み込まずに、陸上に持ち帰ってから食べるのはなぜでしょうか?
生きが良くて暴れる獲物は、岸で岩に叩きつけて殺す必要があるのでしょう。

川の堤防から撮っている私の背後を車が通りました。
そのタイミングで、カワガラスは上流へ飛んで行き、漁場を変えました。

今度は川の中洲を拠点にして潜水漁を繰り返すようになりました。
泳ぎながら何度も潜って獲物を探しています。
息継ぎで頭を上げるときは常に上流を向いていました。
流れから何度も頭を出し入れしていたカワガラスが、川の中で足が付く浅い場所を見つけて立ちました。
上流を向いて休憩すると、再び入水。

映像後半は、また漁場を変えてからの様子です。(実は編集で順番を入れ替えました)

カワガラスを見る角度によって、黒というよりも褐色に見えるときがあります。

望遠レンズを使っても遠いので獲物の正体はさっぱり分からないのですが、おそらく川虫(水生昆虫)なのでしょう。
丸くて黒っぽい小石のような獲物は貝の仲間ですかね?
岩に叩きつけて貝殻を割り、中身を食べているのではないかと想像しました。

この川は渓流どころか街中を流れているので、清流というイメージはありませんでした。
しかし、厳冬期でもかなり餌の豊穣な川だとカワガラスに教えてもらいました。



※ 望遠レンズを装着したカメラを手持ちで撮影した映像そのままです。
いつもなら動画編集時に必ず手ブレ補正処理をするのですが、今回は川の流れが絶えず写り込んでいるために、副作用で却っておかしな映像になってしまうのです。
せめて一脚を持参すれば良かったですね。


つづく→小魚を捕食するカワガラス




【追記】
後澤正知『渓流の忍者カワガラス』を読むと、潜水漁の秘密を知ることができました。
カワガラスは、水中の水生昆虫を餌にしているのです。(中略)カワガラスが水面に浮かずに川底を歩けるのは、流れの速いところに潜って羽を広げ、水流の圧力を利用して体を押さえているらしいのです。カワガラスの羽毛は密に生え、尾の近くにある羽脂腺は発達していて、体中にぬった脂が水をはじきます。また足の裏はゴツゴツしていてすべり止めに役立っています。(上越鳥の会『雪国上越の鳥を見つめて』p223-224より引用。)
わずか4ページの短い報文ですが、営巣地の写真や繁殖の観察記録もあってとても参考になりました。


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