2018/04/19

チャコウラナメクジの好物は?【10倍速映像】



2016年10月下旬・午後23:04〜23:11

これまで野外でナメクジがキノコを食べる様子を観察したことがありました。


▼関連記事
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てっきりナメクジはキノコが好きなのかと思い、飼育中のチャコウラナメクジ(Ambigolimax valentianus)にキノコを給餌してみました。
スーパーで買ってきた普通のシメジは気に入らなかったようで、口を付けないまま干からびたので捨てました。

(映像はここから。)

栽培されたキノコではなく山で採れたブナシメジ(ホンシメジ?)を給餌してみたら、どうでしょうか?
他には煮干しと、気紛れで乾パンも与えてみました。

10倍の早回し映像をご覧下さい。
結果は、煮干しを少し齧っただけでした。

▼関連記事 
煮干しを食べるチャコウラナメクジ 【10倍速映像】

キノコは今回も口にせず、方向転換して立ち去りました。
ナメクジが好きなキノコは特定の種類に限られるのかもしれません。(それを突き止めたいものです)

動画を撮り始めるとナメクジはいつもすぐに居なくなってしまい、私としては物足りないです。
長撮り中の眩しい照明が嫌なのかな?
赤外線の暗視カメラで行動を監視すれば、より自然な振る舞いをしてくれるでしょうか。


キヅタの花蜜を吸うコガタスズメバチ♀



2017年9月中旬

ブロック塀を覆い尽くしたキヅタ(別名フユヅタ)のマント群落でコガタスズメバチ(Vespa analis insularis)のワーカー♀が何匹も訪花していました。
今回キヅタに訪花していたスズメバチ類の中でコガタスズメバチが最も多い優占種でした。
キヅタの花は雄性先熟ですが、コガタスズメバチ♀は雌しべが突き出た雌性期の花、多数の雄しべが伸びた雄性期の花、と両方の花から別け隔てなく吸蜜していました。
したがってキヅタの送粉者として働いていることが分かりました。
しかしコガタスズメバチは花粉が付着しそうな体毛が少ないので、送粉者としてハナバチほど有能ではなさそうです。

同じ花にハエが来ていてもコガタスズメバチは追い払ったり狩ったりしませんでした。
もっとも、飛翔能力はハエの方がはるかに敏捷なのでコガタスズメバチ♀が攻撃しても易々と逃げてしまうでしょう。
スズメバチ類も千客万来でしたが、異種間での争いも見られませんでした。
独り占め(占有)する必要もないぐらい蜜源が豊富なのでしょう。


コガタスズメバチ♀@キヅタ訪花吸蜜(雌性期の花)
コガタスズメバチ♀2@キヅタ訪花吸蜜(上:雄性期の花、下:雌性期の花)

2018/04/18

ユビナガコウモリの体表に寄生するケブカクモバエ?

2017年9月中旬・午後16:55頃(日の入り時刻は午後17:43)


▼前回の記事
昼塒で休むコウモリの群塊と鳴き声♪【暗視映像】(名前を教えて)

野生コウモリが昼塒として利用しているトンネルの天井で、コウモリ(種名不詳)が群塊を形成して休んでいました。
ストロボを焚いて撮った写真をチェックしてみると、何枚かに奇妙な物が写っていました。


コウモリ2頭が寄生されている
写真の中央部に注目

気になる写真を拡大してみると、3頭のコウモリの体表(毛皮)にオレンジ色(茶褐色)の昆虫が1匹ずつ(計3匹)がっしりと取り付いています。
無翅なのでクモと間違いそうになりますが、脚が6本しか無いので、れっきとした昆虫です。
クモバエ科という特殊な寄生バエの一種でしょう。
コウモリ専門に外部寄生して吸血するらしく、そのために翅は退化したのだそうです。
(コウモリバエ科という有翅の外部寄生虫も別に知られているらしい。)
本で読んで存在は知っていましたが寄生率は低いらしく、私のフィールドで実際に出会えてとても感動しました。
平凡社『日本動物大百科9昆虫II』によれば、

 クモバエ科は世界各地に分布し、コウモリバエと同様にコウモリの体表にのみ寄生し、吸血する。体は扁平で、翅はなく、頭部は胸背にある溝のなかに後ろ向きにたたみ込まれている。あしは非常に長く、爪は強大である。複眼は退化している。(中略)日本では10種が記録されているが、これも調査が進めばさらに多くの種が見いだされると思われる。 (p150より引用)


熊澤辰徳、 須黒達巳『ハエハンドブック』を紐解くと、寄生者らしい驚くべき特徴が簡略に記してありました。
(クモバエ科は)クモのような見た目で、眼や頭、翅が退化している。コウモリに寄生。クモバエやコウモリバエは、シラミバエ同様、体内で子育てを行い、子は前蛹という状態で産み落とされ、すぐに蛹になる。

 

(コウモリバエ科は)コウモリに寄生する。多くの種は外部寄生するが、(中略)♀がコウモリの耳内に穿孔し、翅と脚を自切して腹部から生じた袋内にすむ種が知られる。複眼は小さく退化し、脚の爪が発達している。  (p141より引用)


ちなみに、日本に吸血性コウモリは生息していません。
日本のコウモリは寄生虫から一方的に吸血される(可哀想な)宿主なのです。

また、写真でトンネル天井を注意深く見直すと、コウモリの群塊がぶら下がっている塒の周囲だけに黒くて丸い小さな物体が多数写っていました。



現場では照明の使用を極力控えたので、全く見過ごしていました。(気づいたとしても、コウモリの糞が天井に付着したのかも?と思ったことでしょう。)
おそらく、これはクモバエの蛹でしょう。

【参考1】 船越公威. "ユビナガコウモリに外部寄生するケブカクモバエの生態学的研究: 特に生活史からみた宿主への連合性に関して." 日本生態学会誌 27.2 (1977): 125-140. (ありがたいことにPDFファイルが無料で公開されています。ケブカクモバエ成虫および蛹の細密画が掲載されています。)

【参考2】 動物行動学エッセイ本のシリーズで有名な小林朋道先生の公式ブログ『ほっと行動学』より「山奥の洞窟であったほんとうの話」 (クモバエの蛹の写真あり)

次に入洞する機会があれば、改めてトンネル天井の写真を撮り直し、この蛹を採集して飼育してみるつもりです。

【追記】1年後に写真を撮りました。
野生コウモリを無許可で採集したり飼育するのは法律で禁じられていますが、寄生バエなら誰からも怒られないでしょう。
クモバエは天然記念物に指定されていませんし、レッドデータに登録された絶滅危惧種でもありません。
クモバエ類は宿主特異性が高いそうなので※、飼育下で成虫を羽化させることでクモバエをしっかり同定できれば、宿主であるコウモリの名前も分かりそうです。

※ 【参考】:小林朋道「ユビナガコウモリに外部寄生する ケブカクモバエの宿主識別行動」(PDFファイルが無料で公開されています)
Natural Environmental Science Research Vol.28, 1- 4 (2015)
洞窟の塒では複数種のコウモリが混群(混棲群塊)を形成している場合もあるのだそうです。
コウモリ観察歴の浅い私には未だコウモリの種類を外見から自信を持って識別できないのですが、もし写真同定できる専門家がご覧になりましたら、ぜひ教えて下さい。
今のところ、ユビナガコウモリ(Miniopterus fuliginosus)とそれに外部寄生するケブカクモバエ(Penicillidia jenynsii)のセットではないかと素人ながら勝手に予想しています。
ネット上には真っ白なケブカクモバエの写真も見つかりますが(例)、これは蛹から羽化した直後と思われます。
羽化後に宿主のコウモリから吸血すると黄褐色に変化するらしい。(参考:上記の船越公威によるPDF文献)

コウモリは塒(ねぐら)で多数の個体が集まって群塊を形成する種類もいれば、単独あるいは散在した粗群で寝るのが好きな種類もいるらしい。
それぞれの習性(寝方)に一長一短があり、群塊を形成するコウモリには寄生虫にとりつかれ易いというデメリット(コスト)があります。

天井からぶら下がりながら痒そうに毛繕いしていたコウモリは、吸血性寄生虫を取り除こうとしていたのかもしれません。
クモバエの死亡率は毛繕い中の宿主による捕食によって高くなるらしい。

余談ですが、洞窟内に生息するコウモリの糞・体毛、洞窟内の生物の死骸が大量に堆積して固まったものをバット・グアノと呼びます。
このトンネルには水が流れているので、塒の下は天然の水洗トイレになっています。
グアノにおける生態系(食物連鎖)も興味深いのですが、残念ながらここでは観察できません。



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