2017年3月下旬・午後17:15(日の入り時刻は17:54)、気温8.7℃、湿度38%
寒の戻りで朝から大雪が降った日の夕方、ショッピングセンターの軒下と駐車場の境界をハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が走り回っていました。
寒そうに体の羽毛を膨らませています。
人や車の出入りをあまり恐れない個体でした。
この後しばらくすると、雪が降りしきる中、ハクセキレイの塒入りが始まりました。
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2016年10月上旬・午後16:19~17:08(日の入り時刻は午後17:10)
▼前回の記事(連載の都合で順序を逆にしました)
早朝に集団離の屋上から飛び去るハシボソガラスの群れ(野鳥)
ハシボソガラス(Corvus corone)の塒入りをもう一度撮影しようとやって来ました。
今度は三脚を使います。
この日は晴れるとの天気予報が外れ、午前中まで雨でした。
曇り空で小雨が少しぱらついていたので、念のために傘を持参。
風が強く、カメラの三脚が振動するほどでした。
(撮れた動画を編集時に手ぶれ補正処理すれば、風による振動は取り除けます。)
本格的な塒入りが始まるまでの暇つぶしとして、雲の流れをちょっとだけ微速度撮影してみました。
10倍速映像を御覧ください。(@0:32~0:40)
画面の左から右へ強い西風が吹いていることが伝わると思います。
カラスが屋上に集結し始め、小規模な群飛も始まりました。
群飛とは別に、屋上から飛び立った個々のカラスが強風を利用して遊んでいることに気づきました。
ウィンドサーフィンのような風乗り遊びをしているようです。
逆風の風上に向かって飛び立つと一気に上昇し、空中を強風に流されていきます。
いかにも楽しそうで、翼と遊び心のあるカラスを羨ましく思いました。
よくまあコントロールを失って失速・墜落事故を起こさないものだと感心します。
あるいはカラスにとっては遊びどころか真剣で、屋上の左の部分に移動して集まりたくても強風のために苦戦しているだけかもしれません。
しかし、いざとなれば屋上を歩いて移動すれば良いはずなので、私の解釈は「遊び(ウィンドサーフィン)」派です。
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風速計が欲しくなりました。
マイクに入る風切り音のせいで、カラスの鳴き声はほとんど聞き取れません。
ときどき屋上からカラスが一斉に西へ(風上へ)飛び立ち、威嚇誇示をします。
群飛してもすぐに屋上へ戻って着陸します。
カラスたちは飽きもせずに、某施設の屋上から離着陸と小規模な群飛を繰り返しています。
この群飛を目がけて、近郊のあちこちから更に多くのカラスの群れが続々と合流してくるのでしょう。
北から(画面の奥から)アプローチするカラスが一気に高度を下げて屋上に着陸する様子が面白いですね。
洋上の空母に着艦する戦闘機を連想しました。
屋上の左に垂直に立てられたアンテナポールの先端の座をめぐってお山の大将遊びが繰り広げられました。(@10:45-11:13)(※追記参照)
参加した3羽が追いかけっこのような空中戦になり、最後は風に流されていきました。
映像の最後は、屋上からほとんどのカラスが飛び立ちました。(@15:03)
今までで最大規模の群飛になり、なかなかの迫力です。(壮観!)
確かに威圧感があり、圧巻でした。
撮影後、カラスは屋上からどこか別な場所へ塒を変更したのではなく、結局はこの屋上に戻って夜を過ごしました。
実はカメラのバッテリーが切れてしまい、尻切れトンボになってしまいました。
スペアのバッテリーを忘れてくるという痛恨のミス!
翌日の夜明け前に再訪して、屋上の塒から飛び去るまでを観察しています。(前回の記事)
つづく→
最近、松原始『カラスの教科書』を読んで、カラスの塒について認識を改めさせられました。
ねぐらというのは昔考えられていたほど不可欠なものではなく、秩序だったものとも限らないようだ。(中略)東京でPHSを使って追跡した例では、若いカラスたちは都内各所のねぐらを転々とし、どうかすると夜中に「やっぱ、あっち行くわ」とねぐらを変え、餌場も今日は新宿、明日は池袋と好き勝手に動いているらしい。しかも、どう考えても集団ねぐらではない場所で数羽、もしくわ単独で眠っている例も見つかっている。
おそらく東京ではフクロウに襲われる心配もなく、餌場なんてどこにでもあり、目を覚ませばそのへんで何か食えるに決まっているのだから、わざわざ規律正しく集団行動を取る必要もないのだろう。(p69より引用)
ねぐらは常に固定したものではなく、ねぐら自体が移動する事があるから、これをきちんとフォローしてないと見落とすことがある。カラスがどのねぐらに入るかも、ガチガチに決まったものではない。少なくとも、東京の場合はかなりルーズなようだ。そもそも繁殖個体は集団ねぐらに戻らない例があるし、少数でコッソリ寝ている個体もいる。そういう「目立たずに寝ている個体」がどれくらい存在するのかは、まったくわからない。(p253-254より引用)
「ねぐらには流行りすたりがある」 (p254より)
※【追記】
中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本を読んでいたら、似たような行動の詳細な観察記録を見つけました。
風乗りはどちらかというと季節限定で、夏はあまり見られず、秋から冬にかけての方が多いようです。札幌ではこの時期に北西の風が強く吹くからでしょうか。 場所は高層マンションやビルの避雷針付近でよく見られます。テレビアンテナ付近もいいのですが、最近はアンテナ自体が減ってきました。ねぐらが近くにある場所ほど見られる確率が高く、好んで行うのは圧倒的にブトです。(中略)カラスは、あの細長い避雷針の先端を狙って何羽も集まり、一番てっぺんにとまろうとするのです。でも、とまった後に独り占めすることはありません。 多い時だと10羽以上で1本の避雷針の先を争いながら風に乗って楽しんでいるように見えます。果たして、この風乗りに何か意味があるのか、それともただの遊びなのかはカラスに聞いてみないと分かりません。(中略)とまっている時間は短いのですが、そのカラスは実に満足気です。強風のことが多いので、すぐに舞い上がり、また次の個体がとまります。これを何度も繰り返しています。(中略)風乗りをしているカラスを双眼鏡で見ると、尾羽や翼を細かく動かしてバランスをとっているのが分かります。尾羽がなくても飛べないわけではありませんが、舵を取るのは主に尾羽です (@p113より引用)
この屋上の左に垂直に立てられた長いポールを、私はよく知りもせずに何か特殊なアンテナかと思ったのですが、確かに避雷針なのかもしれません。
波乗り遊びと避雷針(アンテナポール)の先端を奪い合う遊びは、ひとまず別々に考えるべきだと思います。
後者の遊びが強風時にしか見られないのは一体なぜでしょう?
無風だと難易度が下がってあまり面白くないのかもしれません。
私も素人ながら大胆な仮説を思いつきました。
強風時に飛ぶと羽根に静電気が溜まり(帯電)、逆立つようなゾワゾワする感覚がカラスもちょっと気持ち悪いのではないでしょうか?
避雷針に止まるとアース効果で体から静電気を放電できて気持ち良いのかもしれません。
だとすると、避雷針に着地した瞬間にバチッと足先から高圧電流が流れて衝撃があるはずです。
この遊びをカラスは嫌がりもせずに自発的に繰り返しているということは、軽い感電の刺激を楽しんでいるのかもしれません。
2017年3月下旬
川沿いの堤防の桜並木にカワラヒワ(Carduelis sinica)の群れがいました。
逆光で羽の色が見えにくいのですが、キリリ、コロロ♪という独特の鳴き声でカワラヒワと分かります。
ときたま枝先の冬芽を啄ばんでいるように見えたのが気になりました。
カワラヒワは種子食のはずですけど、ウソのように冬芽も食べるのでしょうか?
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それとも何か虫を捕食しているのですかね?
枝先を飛び回っている蚊柱を気にして顔を動かしている様子が興味深いです。
逆光の上に、カメラを向けると警戒して採食行動してくれない傾向があり、結局よく分かりませんでした。(決定的な映像が撮れませんでした)
このソメイヨシノの老木は、冬の大雪のせいで幹が一部折れています。
春はもうすぐ。(あと一ヶ月待たないと桜は咲きません)
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。