2015年9月下旬・深夜23:36
アカオニグモ♀の定点観察#20
垂直円網の下側を一部だけ取り壊したアカオニグモ♀b(Araneus pinguis)は網を離れ、クルミ幼木の黄葉した葉を糸で綴った隠れ家に身を隠してしまいました。
隠れ家は円網の左端にあり、葉裏に潜むクモは円網の中心から伸びた信号糸を常に触れています。
本当は何か虫を網に給餌して捕食する様子を観察したかったのですが、現場で獲物を調達できませんでした。
仕方がないので、音叉で実験してみます。
持参した音叉を叩いてキーン♪(ラ音 440 Hz)と鳴らしてからアカオニグモの円網に付けてみると、途端にクモが隠れ家から信号糸を伝って滑り降りるように網の中心に駆けつけました。
歩脚で四方の網を引き締め、網にかかった位置を確認しています。
ところが音叉に触れないまま、すぐに隠れ家に戻ってしまいました。
音叉の先を捕帯でラッピングしたり噛み付いたりするのを期待したのですが、やりませんでした。
音叉の振動がすぐに減衰してしまったせいか、本物の獲物ではないと見破ったのか、分かりません。
網から音叉を引き剥がそうとすると、横糸の粘着性が強くて苦労しました。
その際の振動に対しては隠れ家のクモは無反応でした。
以上、音叉に対する反応は、近くで営巣していた別個体♀aで試したときと同じ結果です。
今思うと、対照実験として、鳴らしていない音叉を網に付けてもクモは決して反応しないことを示す必要がありますね。
明け方に行われるはずの破網の続き→造網を観察したかったのですけど、ビデオカメラのバッテリーも切れたので、後ろ髪を引かれつつ観察を打ち切って帰宅しました。(深夜23:58)
つづく→#21:夜の隠れ家で身繕いするアカオニグモ♀b【蜘蛛:暗視映像】
2015年10月上旬
道端の花壇に咲いたハクチョウソウ(ガウラ)の群落でニホンミツバチ(Apis cerana japonica)のワーカー♀が訪花していました。
忙しなく飛び回る蜂は後脚の花粉籠に花粉団子をつけています。
蜂の動きがあまりにも素早いので、ハイスピードカメラで撮れば良かったですね。
ちなみにハクチョウソウを漢字で書くと、白鳥草ではなく白蝶草でした。
2015年9月下旬・午後19:28〜23:20
アカオニグモ♀の定点観察#19
同じ日の夜に再訪すると、アカオニグモ♀b(Araneus pinguis)は円網の中心部(甑)に占座していたので驚きました。
こちらに背面を向け甑で下向きに占座しています。
いつ見ても隠れ家に潜んでいて滅多に円網に出てこない♀aとは対照的です。
獲物を待ち伏せる位置の違いは何か理由があるのか、気になります。
- 単なる気質(大胆⇔臆病)の個体差?
- 発生ステージ(幼体→亜成体→成体)の違い? 体長は♀a>♀b。
- 空腹状態の違い? 天敵に襲われるリスクを承知の上で、網に虫がかかったら直ちに駆けつけられるよう臨戦態勢で待ち伏せているのか?
もし私が網に生き餌を給餌したら、アカオニグモ♀bはその場(甑)で捕食するのか、それとも隠れ家に持ち帰るのか、興味があります。
試しに実験してみたかったのですけど、現場では虫が調達できませんでした。
予め捕獲した獲物を持参する必要がありそうです。
♀bは腹背が未だ黄色っぽいのでは亜成体なのですかね?(体長は未採寸、外雌器の状態も未確認)
『まちぼうけの生態学:アカオニグモと草むらの虫たち』p5によると、
♀は成熟するにしたがい、おなかの色が黄白色から赤色へかわる。♂のおなかの色は黄白色のまま。
また、同書p16によれば、
あたりが暗くなってから、アカオニグモは隠れ場所からでてきた。食べるところのなくなったカメムシを地上に落とすと、網の中心で頭を下にして、動かなくなった。
その後、私も網の手前に座ってひたすら待ち続け監視していたのですが、油断していたらいつの間にかアカオニグモ♀bが網を取り壊し始めました。
円網の下側の一部だけ(アナログの時計盤に見立てると5時〜7時)扇状に畳んで、切れ網のようになりました。
網全体を一気呵成に取り壊すのではなく、クモはなぜか残った網の中心で上向きに休んでいます。
こうした破網のやり方(下側を先に取り壊す)は別個体♀aでも見ているので、アカオニグモ(またはもっと広くコガネグモ科)に特有の習性なのかもしれません。
▼関連記事
アカオニグモ♀a(蜘蛛):垂直円網の失敗作?【暗視映像】
つづく→#20:音叉でアカオニグモ♀bを騙してみよう【暗視映像】