2013年10月下旬
樹液が滲むミズナラの幹を歩き回ったり、立ち止まって身繕いしているオオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)がいます。
樹液酒場で吸汁している蝶を見つけると、駆け寄って追い払っています。(餌場の占有行動)
幹を徘徊パトロール中にもう1匹のオオスズメバチ♀と遭遇し、出会い頭に長い口付けを交わしました。(@2:05)
これは社会性ハチ類で見られる栄養交換と呼ばれる行動で、同じコロニーから来た仲間に口移しで樹液を分け与えているのだろうと初めは思いました。
2匹の体長にやや差があります。
ただの個体差なのか、それとも新女王とワーカーの組み合わせなのか、不明です。
近くでシータテハが鬼の居ぬ間に樹液を吸汁しています。
しばらくすると、ミズナラの木の周囲でオオスズメバチ♀同士が激しい空中戦をしていました。(映像なし)
慌てて録画を始めると(@3:00)、2匹が幹に止まってからまたもや口付けを交わしました。
喧嘩の続きで大顎で噛みつき合っているようには見えません。
挨拶の結果、同じ巣由来の仲間であると認識し、和解できたようです。
相次いで平和に飛び去りました。
ただし巣がどこにあるのか突き止めないことには、上の解釈も想像に過ぎません。
スズメバチ関連書を読むと、オオスズメバチは同じ巣の仲間と協同で餌場を防衛・占有し、異なるコロニー間では餌場を奪い合う争いがあるのだそうです。
とりあえずこの樹液酒場に何匹のオオスズメバチが通ってきているのか知りたいところです。
そのためには、蜂を片端から生け捕りにして個体標識する必要があります。
相手がオオスズメバチでは特にしっかり準備して挑まないと危険が伴いますので、今後の課題です。
せめてその場で体長を測れれば、ワーカー/新女王の区別が付いたかもしれません。
以前、コナラの樹液酒場でも同様の栄養交換を観察しています。
関連記事→「樹液酒場のオオスズメバチ」
【参考】
「都市のスズメバチ」サイトによると、
栄養交換は成虫同士でも頻繁に行われ,甘露や樹液などの液状の食物を口移しでやりとりします.行う場所は巣盤,巣口,外皮などですが,オオスズメバチでは樹液の採集場所でも頻繁に行われます.
【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
成虫間の食物交換は、社会性ハチ類の場合には、巣の中でおこなわれるのが原則である。(中略)ところが、オオスズメバチだけは、巣を離れていても、同じ巣の働きバチ同士が、頻繁に口移しによる食物のやりとりをおこなう。このスズメバチは、集団で他の社会性ハチ類の巣を襲い、幼虫や蛹を掠奪するという特殊なえさ集めをおこなっているが、その際に、成虫間の食物交換が、エネルギーの補給路として重要な意義をもっている。(p184-185より引用)
2013年8月下旬・室温23℃→24℃
キアゲハの飼育記録13
オオハナウドの葉裏に蛹化してから62日後、キアゲハ(Papilio machaon)の帯蛹aは未だに羽化しません。
この日は朝からときどき自発的に蠕動しています。
最近は朝晩が涼しくなったので、休眠から目覚めて羽化間近なのでしょうか?
この突発的な胎動を動画に記録しようとすると、いつ動くのか全く予測不能なので長時間監視するしかありません。
ジオラマモードの動画(10倍速の微速度撮影)で長撮りしてみました。
ところが、この蠕動運動もやがて見られなくなり、秋が来ても冬になっても成虫は羽化してきませんでした。
変態に失敗して蛹が死んでしまったのでしょうか。
蛹を解剖して中を調べてみるべきか、迷っています。
春になったら羽化するんじゃないかという僅かな可能性に賭けたい気もあります。
体内寄生されているのなら、蜂でもハエでも出てきて欲しいものです。
蛹化してから室内の卓上に放置していたのですが、もしかすると夜の照明で蛹の体内リズムが狂い、長日条件(秋が近い)と勘違いしたのかもしれません。
2匹の幼虫を飼ってみた結果、1匹(個体b)はアゲハヒメバチに寄生されており、もう1匹(個体a)も蛹で死んでしまいました。
機会があれば飼育に再挑戦し、キアゲハの羽化を見てみたいものです。
【追記】
2014年5月下旬
依然として羽化しない帯蛹の殻を割ってみました。
やはり変態に失敗したようで、中身はパリパリに干からびており正常な成虫の形にもなっていませんでした。
2013年10月下旬
ミズナラの樹液酒場にカトカラの仲間も来ていました。
前翅の模様が樹皮にそっくりで、動かなければまず見つけられないでしょう(保護色)。
ところがなぜか翅を半開きにしているので、赤い後翅が目立ちます。
エゾベニシタバにしては前翅の黒いギザギザ線が違います。
オニベニシタバ(Catocala dula dula)ではないかと思うのですが、どうでしょうか?
赤い口吻を伸ばして樹皮を舐めながら幹を歩き回っています。
樹液の滲む場所を探し当てると、口吻を差し込み夢中になって吸汁しています。
そこへオオスズメバチが飛来し、追い払われました。(@1:50)
さきほど後翅を少し広げ警告色?(眼状紋にしては不完全)を見せていたのは、オニベニシタバの緊張の現れだったのかもしれません。
今度はリラックスしているのか、樹液を吸いながら翅を閉じています(後翅の赤紋は見えない)。
しばらくすると再び同じミズナラの幹にこっそり舞い戻ってきました。(※)
(※)左翅の縁が破損しているので同一個体だと思ったのですが、改めてよくよく見ると微妙に違うかもしれません。
発酵した樹液の匂いに誘われて後からやって来たハエ(種名不詳)が図々しく近寄ると、オニベニシタバは突っかかるように威嚇して追い払いました。(@7:20、8:05)
相手がハエだと蛾然強気です。(餌場の専有行動)
威嚇の際に翅も少しだけ動かしましたが、後翅の派手な模様を見せつけるまでは広げませんでした。
昼間の樹液酒場は蝶が多いですけど、夜になれば他にも色々な蛾がやって来て面白そうです。
夜間の観察は今後の課題。