2014/01/04

地中の巣に離着陸するヒメスズメバチ♀【ハイスピード動画】



2013年9月上旬

地中に営巣するヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)を定点観察するため、6日ぶりに里山を登りました。
苔むした林道の真ん中に開いた巣口を写真に撮って前回と比べてみても変化なく、入り口の拡張工事は行われていないようです。
外被や巣盤の本体は巣坑の奥深くにあるようで、外からは見えません。
また、巣口を守る門衛という役割の蜂は居ないようです。

今回は巣穴の真横にカメラを置いて、出入りする蜂の飛翔シーンを側面からハイスピード動画(240-fps)に撮ってみました。
前回、上から見下ろすように撮ったときは当然ヒメスズメバチの背側しか見えず、帰巣する蜂の口元に巣材や獲物の肉団子が確認できませんでした。
その反省から今回は側面から狙うことにしたのです。
結果は残念ながら帰巣する蜂はいつも空荷でした。
巣を拡張する時期は過ぎていると考えれば、巣材を搬入しないことは理解できます。
肉団子を搬入しない点はどうでしょう?
この時期は餌が不足するため、狩りに出かけても不調に終わり手ぶらで帰って来るのでしょうか。
本種はアシナガバチの幼虫や蛹の体液を吸って帰るらしい※ので、他のスズメバチ類とは異なり肉団子の形で幼虫に給餌しないようです。

※ 関連記事→「ヒメスズメバチvsキアシナガバチ

長時間観察していると、本コロニーのワーカー♀は少なくとも6匹居ることが分かりました。
続けざまに帰巣する、あるいは続けざまに出巣する蜂を数えることで判明。
本などで得た知識では巣口は一つの筈ですけど、もし私の気づかない離れた場所に別の出入り口があったら、この推定はご破算になります。
正確に数えるために蜂を片端から捕獲して個体標識しようか迷ったのですが、なるべく介入しないことに決めました。
このときは後日、コロニーが解散したら地中の巣を発掘するつもりでした。
蜂を麻酔するための花火をこの巣口に突っ込んでみれば、もし秘密の出入り口があるとすればそこからも煙が立ち昇る筈です。
これも思っただけで、計画倒れに終わりました。

姉妹のワーカー♀が大体いつも連続して帰巣することも不思議です。
外役では仲間と行動を共にしているのでしょうか?
しかし私の知る限り、ヒメスズメバチはたとえ豊富な狩場(アシナガバチの巣)を見つけても仲間を呼び寄せたりしない筈です。

関連記事:「キアシナガバチの巣を襲うヒメスズメバチの個体標識
巣内の幼虫から栄養交換で得たエネルギーが切れて空腹になったら帰巣すると考えれば、外で飛び回る外役の時間はカラータイマーのように決まっているのかもしれません。
それで結果的に帰巣のタイミングも揃ってしまうのでしょうか。

飛翔シーンをスローモーションで見ると、アシナガバチとは異なり脚を体に引き寄せて飛んでいます。
なるべく体型を流線形にして空気抵抗を減らしているようです。

余談ですが、地面を徘徊するアリが決して巣坑に侵入しない点が興味深く思いました。
ヒメスズメバチの匂いを怖がって忌避しているのでしょうか?

雨が降っても巣坑は浸水しないのかな?
排水の工夫が施されているのかどうか、興味があります。
もしかすると、大雨が降り始めたら巣口を中から塞ぐのだろうか。

蜂を撮影しながら、こうした多くの疑問が気になりずっと考えていました。
つづく



2014/01/03

アオサギ(野鳥)の羽繕いと偵察飛行



2013年6月中旬

川沿いの建物の屋根でアオサギArdea cinerea)が羽繕いしています。
やがて羽繕いを止めて屋根から飛び立ちました。(@1:10)
低空飛行でそのまま川に着水するかと思いきや旋回して、今度は別の屋根に着陸。
再び羽繕いを念入りに続けます。
川の堰堤に降りて魚を採食したいようですが、対岸の堤防に立って撮影している私を警戒し、羽繕いで時間を潰しているのかもしれません。

この直後、意地悪なカラスが屋根にやって来て、アオサギと一悶着がありました。

つづく→「羽繕い中のアオサギを追い払うハシボソガラス【野鳥:烏鷺の争い】



キツリフネを訪花するトラマルハナバチ♀



2013年9月下旬

山裾に咲いたキツリフネの群落でトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。

薄暗い林縁で花から花へと非常に忙しなく飛び回るので、撮り難いです。
後脚の花粉籠に花粉団子の有無を確認できず、吸蜜だけでなく集粉も行っているのか不明です。



【追記】
加藤真『夜の送粉共生系』を読んでいて、とても興味深いことを知りました。
スマトラはツリフネソウ属Impatiensがいちじるしい適応放散をとげている場所である。そこでは黄色の花をつけるツリフネソウ類はおもに長舌のハナバチによって昼間に送粉され、赤紫色のツリフネソウは薄暮活動性のスズメガによって送粉されていた。 (『花の自然史:美しさの進化学』p84より引用)
個人的な印象では日本でも同じことが当てはまりそうなので、キツリフネとツリフネソウの送粉者をこれからも観察し続けていきます。



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