2013/02/07

ハラオカメコオロギ♂:鳴き声♪の声紋解析



ハラオカメコオロギ♂の飼育記録

2012年12月上旬・室温18.5℃

ハラオカメコオロギ♂(Loxoblemmus campestris)が飼育容器に慣れてくれたようで、隠れ家として一緒に入れておいた落葉の下でリ・リ・リ・リ・リ…♪とよく鳴くようになりました。
照明もあまり気にしなくなったので撮影には助かります。
前翅を持ち上げ互いに擦り合わせて発音します。
素朴な鳴き声ですけど趣がありますね(いとおかし)。

鳴いている後ろ姿を容器越しに接写すると後翅が無いことが一応確認出来ました。

羽化したばかりの個体には後羽が付いており、これを用いて良く飛ぶ。また灯火にも良く飛来する。 暫く経つと後ろ足を使って自ら後羽を抜き取り、本格的な繁殖行動に移る。(wikipedia「ハラオカメコオロギ」より)
その後、私の不注意でこのハラオカメコオロギ♂は飼育容器から脱走してしまいました。
色々とやり残したことがあるのに残念…。
今後の課題です。

  • 日が経つに連れて老化現象なのか(発音器が劣化?)濁ったような掠れ声で鳴くようになりました。客観的に声紋の変化を解析したかった。
  • 鳴き声に対する反応を調べるプレイバック実験もやりたかった。鳴いている動画をPCで再生・編集していると、ヘッドフォンから漏れ聞こえる自分の鳴き声に対抗するかのように卓上の♂が鳴き始めることがありました。
  • ♀と同居させたときの♂の誘い鳴きを録音したい。
  • 標本で後翅をよく調べたかった。
  • 腹部腹面の色を確認できず。(近縁種との識別ポイントのひとつで、ハラオカメコオロギは白っぽいらしい)


♂の前翅の端部は短い


後翅が無い?!




ハラオカメコオロギ♂の鳴き声♪を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMTS動画ファイルから音声パートをWAVファイルにデコードしてから適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。







比較のため、虫の音WORLDサイトから本種の鳴き声のMP3ファイルをダウンロードさせてもらいました。
私の録音よりも気温が高いのか鳴くテンポが速く、しかも背後におそらくエンマコオロギの鳴き声が混入しています。
同サイトの解説によれば、

リッ・リッ・リッ・リッ と4、5声ずつ切って鳴くが、ミツカドコオロギのように鋭くない。連続して鳴き続ける場合もあり。



もう一つの音源として、『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』付録のCDに収録されたハラオカメコオロギ♂の鳴き声を使ってみます。
こちらはWAVファイルでかなり明瞭な録音です。
プロ仕様の録音機材との違いが声紋にも歴然と現れています。


つづく→「鰹節を食すハラオカメコオロギ♂



2013/02/06

卵塊を毛で覆うシロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)



2012年11月下旬

前の記事はこちら→「シロオビフユシャク♀?(冬尺蛾)の産卵【15倍速映像】

産卵1日目

産卵1日目

産卵1日目


産卵3日目

産卵4日目

産卵4日目:翅は退化している。


早回し映像用に長撮りを繰り返す合間に、♀の産卵行動を接写してみました。
映像は産卵1〜2日目のもの。

腹端を左右に振って毛束を刷毛のように卵塊に擦りつけます。
♀は休憩を挟みながら昼夜を問わず断続的に植毛作業を続けます。

民話『鶴の恩返し』を連想させる行動ですね。
止まり木を徘徊してもきちんと卵塊に戻ってくるのは記憶に頼っているのか、触角などで探り当てるのでしょうか?

産卵6日目:生体(顔)
口吻は退化している

多くの冬尺蛾の成虫は口吻が退化しており、羽化後は飲まず食わずで繁殖行動に専念します。


多くの種では、雌雄ともに口器が退化して痕跡的にしか残っておらず、食物をとることができない。(『冬尺蛾:厳冬に生きる』p7より)
この♀も採集から7日後に老衰で死亡するまで止まり木を徘徊しては卵塊にひたすら植毛を続けるだけで、二度目の産卵は行いませんでした。
もし♂と再交尾すれば新たに産卵したでしょうか?
室温が冬尺蛾にとっては暑過ぎたのかもしれません。
有翅の♂をフェロモンで呼び寄せるコーリング行動も見られませんでした。
クモの♀が死ぬまで卵嚢をガードするのと少し似ているかもしれません。
しかしこの時期はもう寄生蜂もカメムシも活動していない筈で、考えられる外敵・天敵・捕食者(食卵)は何でしょう?



卵は銀色
産卵7日目(♀死後)

産卵3日目

産卵7日目(♀死後)


卵塊はフェルトのような厚い毛でしっかり被覆されました。
野外では樹皮に産卵されるので、保護色および断熱効果があると考えられます。

銀色の卵を産みつける様子をはっきり接写できなかったのが心残りです。


冬尺蛾♀が止まり木に静止するときは明るい南面を選ぶ印象を受けました。
止まり木を回転して向きを変え、走光性を調べても面白いかもしれません。
ちなみに『冬尺蛾』p163によれば、野外で産卵方位は南が圧倒的に多いらしい。

産卵3日目:生体@方眼紙

産卵3日目:生体:側面@方眼紙

産卵3日目:生体:腹端@方眼紙

産卵3日目:生体:腹端側面@方眼紙

腹端の毛束は日を追う毎に擦り切れ、産卵前後で体長も短くなりました。
採集時とは印象がまるで異なります。
野外で冬尺蛾の♀を単体で見つけた時に図鑑などと見比べても同定が難しい理由がよく分かります。

脚が長くザトウムシを連想する異形の虫です。

標本をピンセットで摘んで腹端の毛束で粘着テープを擦ってみて植毛できるかどうか、つまり脱毛しやすくなっているのかどうかを調べてみるのも面白いかもしれません。

冬尺蛾は卵で越冬し、早春に幼虫が孵化してくるらしい。
卵塊をこのまま室内で飼育してみます。


つづく→「シロオビフユシャク?(冬尺蛾)一齢幼虫の孵化【10倍速映像】

死後標本@方眼紙

死後標本:腹端@方眼紙

死後標本:腹端側面@方眼紙

死後標本:腹面@方眼紙

死後標本:腹端腹面@方眼紙

雪を掘るハシボソガラス【冬の野鳥】



2012年12月下旬

住宅地の電線から路上に一羽のハシボソガラスCorvus corone)が舞い降りました。
なぜか電柱横の新雪を嘴で掘り返し始めました。
穴掘りに脚は使わず、嘴で雪を左右に掻き分けています。
地面の枯れ草が露出するまで雪を掘っています。

雪を直接食べる摂食行動でもありませんし、餌を隠す貯食行動でもなさそうです。
特定の場所に執着しているようですし、探し物でしょうか?
雪の下に何か餌となる虫が越冬しているのかな?
雪が積もる前に隠しておいた餌(貯食)を取りに来たのかもしれません。
直前の行動をよく見ていないのですが、もし賢いカラスの有名な「くるみ割り行動」(堅いクルミの実を空から舗装路に投げ落として割る)をしていたのだとすれば、転がって道端の雪の中に埋もれてしまったクルミを探している可能性もあります。
難しく考えなくても、単なる雪遊びなのかな?
ヒトの雪かき行動を真似して遊んでいたりして。

さんざん雪を散らかしてから気が済んだ(諦めた?)のか、カラスはとことこ歩いて舗装路に出てから飛び立ち、民家の屋根に止まりました。
失せ物出ず?




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