2020/11/19

モンスズメバチの非夜行性コロニーの謎【巣内の暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#4

▼前回の記事 
桜の樹洞内の巣から飛び立つモンスズメバチ♀


2020年8月上旬・午前1:45頃・雨 

傘をさして4日ぶりにモンスズメバチVespa crabro)の巣を見に来ました。 
ヤエザクラ(八重桜)の樹洞入り口を上から下に塞ぐ外皮の成長は止まっていました。 
この日も巣口を守る門衛の姿はありません。 
巣から出入りする外役ワーカー♀の活動も皆無でした。 
弱い小雨なので、雨の影響とは考えられません。 
どうもこのコロニーには活力というか成長の勢いを感じません。 

私がモンスズメバチのコロニーを観察するのはこれで2例目ですが、もしこれだけを見ていたら、モンスズメバチが夜行性とはとても信じられなかったでしょう。 
必ずしも図鑑の記述通りではなくて例外も多いのが、生物観察の面白いところです。
6年前に観察した1例目のコロニーは山中の雑木林のクヌギ樹洞内に営巣していて、多数の外役ワーカー♀が一晩中(雨が降っても)近くの樹液酒場に通っていました。 
とても同種とは思えないぐらい、夜間の活動性が違います。 
地域性や個体群による違いがあるのかな?
もしかすると、この営巣地は周囲に樹液酒場が無くて、モンスズメバチ♀は夜遊びしたくても出来ないのでしょうか? 

いつものように赤外線の暗視カメラを樹洞内に差し込んで上を撮影してみましょう。 
少なくとも2層構造になった巣盤が見えました。 
育房内で丸々と太った幼虫が元気に蠢いています。 

巣盤にモンスズメバチの♀成虫が計12匹登場しました。 
巣盤の裏にもっと隠れているかもしれません。 
どの個体が創設女王か不明です。 
夜中もほとんどの♀個体が巣内で内役活動していて、身繕いなどをしていました。 
雄蜂♂は未だ羽化していないようです。 

私が樹洞の底に赤外線投光器を2台置いた際にどうしても振動を与えてしまい、巣内で寝ていた蜂を覚醒・警戒させてしまったかもしれません。 
生物の行動に影響を与えないような非侵襲性の観察は難しいです。 
ファイバースコープ(内視鏡)カメラを樹洞内にそっと差し込めば良いのかもしれませんが、最新機材は高嶺の花です。 

撮影中は気づかなかったものの、暗視映像を見直すと、樹洞内でモンスズメバチの巣盤の外縁に居候の昆虫が潜んでいるようです。 
長い触角がゆらゆらと動いているだけで、姿をはっきり捉えられませんでした。 
おそらくゴキブリではないかと予想しています。 

今回は温度計を持参し忘れてしまいました…。
体感では特に気温が低い夜ではありませんでした。 



 

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