2018年7月中旬
里山の林道を登っていると、道端の木の葉を巻いた揺籃(蛾の幼虫の巣?)にヒグラシ♂(Tanna japonensis)がしがみついていました。
回り込んで腹面を撮ると腹弁が見えたので♂です。
左前脚で頻りに胸背を掻いています。
後脚で腹部下面も掻きました。
背中が痒いのかな?
白い綿埃のような付着物は、もしかしてセミヤドリガ(Epipomponia nawai)という寄生蛾の若齢幼虫ですかね?
セミヤドリガは分布の北限が福島県のはずですが、温暖化で山形県まで北上してきたのでしょうか?
鳥の糞の白い飛沫が付着しただけのようにも見えます。
今思えば、ヒグラシ♂ごと採集してきちんと調べるべきでした。
夕方(日暮れ)なので、別個体のヒグラシ♂がカナカナカナ…♪と鳴く声が周囲の山林に響き渡ります。
最後は枝を引き寄せて、ヒグラシ♂が飛び立つ瞬間を動画に記録しました。
飛ぶ際におしっこは排泄しませんでした。
ところで、この木の葉の樹種を調べるのを忘れました。
映像で見分けられる方はぜひ教えて下さい。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
【追記】
YouTubeのコメント欄にて、tead deatさんより以下のような貴重なコメントを頂きました。
背中、というか複眼掃除ですね。終齢幼虫羽化前も似たような仕草します(その時はどちらかというと触覚やってるような?) (原文ママ)
セミヤドリガの幼虫はあのサイズだとそれほど蝋状物質出してないのでまだ赤茶色だと思います。先端で掃除してると思われたのですね、前脚の細い部分と太い部分の間で擦って掃除するので自分にはいつもの複眼掃除に見えるかなあと。複眼掃除という発想は私には無かったです。
しかしこの撮影アングルでは、前脚が複眼に触れてる(擦っている)ようにはあまり見えませんね…。
それに、主に左側ばかり掻いています。
昔に読んだきり忘れていた本、大串 龍一『日本の昆虫7:セミヤドリガ』を読み返して、セミヤドリガの幼虫の特徴を復習してみました。
1令:体は細長い円筒型で、体長0.8〜1.0mm、幅は0.2mm前後のごく小さい虫である。(中略)体色は薄い黒灰色だが、前胸背に目立った黒褐色の部分があり、また各節側面の毛の生えているあたりには褐色の点が並ぶ。2〜4令:この間は体が少しずつ大きくなっていくだけで、基本的には同じ形をしている。体は前後が狭まり、その端が尖った太短いウジ虫型で、頭部はごく小さく腹部が目立って大きくなる。(中略)体色は初め淡黄色で後に赤みが増し、白っぽい表皮をすかして紅色の内部が見える。5令:体長5mmくらいから成長して9〜10mm、体幅4〜5mmになる。(中略)体形は4令とよく似るが、体表面に白い粉をふいたように蠟物質が分泌されはじめる。この蠟物質は次第に厚くなり、体をほとんど覆い、腹面の内側を除いて全体が真っ白になる。蠟物質の分泌はいっそう盛んになり、粉状から綿毛状になる。(p35〜38より引用)
ヒグラシ♂:側面@?葉 |
ヒグラシ♂:腹面@?葉 |
0 件のコメント:
コメントを投稿